中ノ森さん家のお嬢さん

　中ノ森バンド……すごいアーティスト名ですよね。
　こんなにも偏ったアーティスト名を見るのは久し振りです。いや、偏っているのは名前だけではなく、ジャケット写真とかその他のものも同様なんですが。
　これはやはり、中ノ森さんが偉大だということなんですかね。それとも、他の人がみんな恥ずかしがり屋で、強引に中ノ森さんを前に押し出しているんでしょうか。

　いや、まぁ、そんなことはどうでもよく。そういえばこの間彼女に口パク疑惑が発生していたな、なんていうこともなおさらどうでもよく。今回話題にしたいのは、彼女が歌う『キスしてほしい』についてです。

　この曲は元々ブルーハーツの曲で、僕の好きな歌でもあります。もちろん僕以外にも、好きだという方は大勢いると思います。ブルー発の曲のなかでも、人気の一曲です。
　そんな曲ですから、彼女達がカバーしたいと思う気持ちももちろんわかるのですが、残念ながら成功とは思えませんでした。
　この曲を歌うなら、もっと感情やら魂やらを振り絞って歌ってほしいです。なんていいますか、中ノ森さんの歌い方では、少しも感情が揺り動かされません。繰り返される「トゥー・トゥー・トゥー」という歌詞に、魅力を全然感じないのです。
　というか、この曲の主人公は少年で、男性が魂を振り絞って歌うところに魅力があるのだと思います。別に男女差別をしたいというわけではなく、少年の「キスしてほしい。二人が夢に近付くように、キスしてほしい」という思いを歌うのなら、それをテレビで流すというのなら、もう少し熱量が必要ではないでしょうか、といっているのです。

　でも、まぁ、僕が聞いたのはしょせんCM曲ですから、ライブで聞いたら全然違う印象なのかもしれないですね。
　ライブに行くことはないでしょうけど。

　カバーもいいけど、やっぱり本物の『キスしてほしい』が好き。