全て越えて行く

新しい自転車を買いました。
まだ納車されていないのですが、その日が楽しみで仕方ありません。
今度の自転車は今までのママチャリと違い、車輪が細く、ハンドルの形も違います。自転車急便の人が乗っているような自転車です。
遠出をするのに適した自転車らしいので、いつか日帰りで出かけられたらいいな、なんて思ったりしています。
ただ、不安もあります。買ったお店が少し遠いのです。僕は車を持っていないので、電車で行き、自転車に乗って戻ってくることになります。当たり前のことなのですが、これが少し不安です。というのも、この自転車は慣れていない人には少し乗りにくいらしいのです。さらにお店の人が言っていた二つの台詞が不安にさせます。

「この手の自転車はペダルを回し、一番下に来た所で足が伸びきるような高さにサドルを上げるのが格好いいんです」

「このブレーキは自転車を止めるためについているのではなくて、スピードをコントロールするためについているんです」

つまり、サドルに座ったら地面に足はつかないし、ブレーキの利きも甘いということですよね。さらに車輪が細いということは、バランスを取るのが難しいということでもありますよね。
そんな自転車に乗って……いや、そもそも乗れるのでしょうか。
不安はつきません。
つきませんが、これでいいのだ、とも思っています。
この自転車を買ったのは前に話した『オーバードライブ』という漫画の影響です。
この漫画の最初で主人公が自転車部に入り、初めて学校の外で自転車に乗るというシーンがあります。そのとき主人公は大きく息を吸うのです。周りからの野次や不安感なんかと一緒に、大きく息を吸い込むのです。そして、そういった様々なものを乗り越えて先に進もうと自転車を漕ぎ出すのです。
僕も同じです。心配事や嫌なこと全てを乗り越えていこうと、そのためにこの自転車を買ったのです。
現実的な不安や心配事はあって当然なのです。なくては困るのです。僕はそれを越えて先に行きたいのだから。

乗り越えた先にあるであろう、まだ見ぬ世界が好き。