オーバードライブ ８巻

『愛してなきゃ描けない！」
『オーバードライブ』８巻の帯コメントにはこうあります。
　その言葉、よくわかります。
　自転車への愛が溢れるこの漫画は、今回も面白かったです。
　そして溢れているのは愛情だけではないと思います。より高みを目指す情熱と衝動。それはまさしく、主人公である篠崎ミコトが持つものと同じ。

　だから　だから！
　僕は　ここから這い上がりたい…
　ちっぽけでも　空っぽでも…
　”闘う”と誓ったんです！！

　こう叫ぶ主人公の姿に心が震えたのは、そこに作者の咆哮が見えたからかもしれません。

　ちなみに、巻末のおまけにこんなことが書いてありました。

　連載が決まり浮かれていた作者の耳に、とある編集の「この漫画つまらないな」という声が届いたそうです。
　二年かけて描いた第８話までの２００ページ近いネームが否定されたわけです。
　死ぬ気でつくたネーム。長い時間をかけて描いたそれには、怨念に近いものが込められていて、捨てるなんて到底出来ません。だいたいからして、そんなことをしたら連載に間に合わなくなります。
　かなり悩んだのでしょうが、結局は捨てたそうです。
　そのときの感想が、人間追い詰められた方が力を発揮したりする、というものだそうです。

　創作というのもがどうあるべきか？　ということは人それぞれだと思います。みんなが認める正しいというものは存在しないと思います。
　僕にとっての創作とは、魂を削る行為です。手にしたナイフで削って削って、どこまでも鋭いものに変えていきます。
　理想の形は弾丸のような、矢のような、槍のような。
　僕のもとより放たれて、あなたの心を貫くもの。
　それが僕の創作です。

　今回のおまけを読んで、改めて僕は甘いのだと、削り方が足りないと痛感しました。
　もっと硬く。もっと鋭く。

　良い作品からは良い刺激を得る事が出来る。
　『オーバードライブ』が大好きです。