なに、それ？

　テレビである女優さんが高橋歩という人の本を「読むと元気になる」と紹介していた。

　それはいい。

　それはいいんだけど、その本がよくわからない。

　テレビの紹介コメントだけ聞くと、いろんな人の言葉、いわゆる名言とかそういったのを集めた本らしいんだけど、それって高橋歩さんが書いた本って云えるの？
　他人の言葉を集めて編集しただけでしょ。その作り手さんを著者とは云わないんじゃないの？

　さらに気になって調べてみたんだけど、この本は写真と様々な言葉を七つのキーワードごとにまとめたものらしい。
　そしてアマゾンの読者のコメントによると、その写真も高橋歩さんが撮ったものではないらしい。

　なに、それ？

　例えば僕がビートルズのCDから好きな曲を集めてきて（いや、ビートルズは好きでもなんでもないけど例えばの話）、CD-Rに焼いて、著作権協会かどっかに連絡して規定通りの著作料を払うことを申し入れたら、そのCD-Rを僕のCDとして、表のタイトルに歌手名kouとして売りに出していいの？
　でもって、「僕歌手なんだ。CDも出しているんだよ」なんて云って歌手面してもいいの？

　いや、わからないよ。僕はその本を実際に読んだわけではないから。ひょっとしたら、言葉と写真のひとつひとつに高橋歩さんの、自身の意見なり感想なりがついているのかもしれない。テレビで観る限りそんなものはなかったけど、映していないだけかもしれないしね。
　実際僕はそういう本を読んだことがある。インディアンの言葉を集め、それを聞いてきた作者のそのときの感想なりが書かれている本を読んだことがある。

　そういうものであるならば、それは確かに高橋歩先生の本といえる。

　ただ、いま集めた情報だけで判断するならば、この本は、

　『なに、それ？』

　と云わざるを得ない。