だいすき

基本的に自分の好きなものについて綴っていきます。嫌いなものやどうでもいいこと、さらに小説なんかもたまに書きます。

いつだってNOと云う

2007年08月29日 01時43分58秒 | 漫画やアニメが好き
 ジーンはいつだって息子であるカーターを愛そうと努力していた。
 しかしそれは彼女にとって、なかなかに難しいことであった。
 彼女はアメリカ人で第二次世界大戦を経験しており、自分の中に流れる日本人の血を嫌っていたからだ。

 そして、息子であるカーター・オーガスの肌は黄色く、その髪は黒かった。

 そのせいでカーター・オーガスは自身の責任とは別に、深い苦悩と葛藤に満ちた青年期を過ごすことになった。

 これは獣木野生先生の描く漫画『PALM』の中のお話。
 最新作である『蜘蛛の紋様』は、このカーターの青年期について語られている。
 前々から小出しに語られてはいいたことだけど、改めて読むと結構重い。
 中でも特に重かったのが、カーターが九歳のときに口にしたこの台詞。

「いえ、僕が悪いんです。聞くつもりは……」

 大人たちの会話をたまたま耳にしてしまった彼の台詞だ。
 それは本当に偶然で、カーターのことを心配していた伯父と母の言い争いを聞いてしまった彼が、それに気づいた伯父に向けて云ったのだ。

 ここだけ抜き取ると、なんてことのない台詞に聞こえるかもしれないが、カーターの苦しみを知れば、誰もがこのときの伯父と同じ台詞を口にするだろう。

「君は悪くない。……悪くないんだよ」

 世の中には勘違いしている人が結構多い。
 物事の本質に気づかず、自分を責めてばかりいる人や、曇った目で鏡を見てしまい、本当の自分に気づけないでいる人が。

 僕はそんな人たちの前に立って、いつだってNOと云う。

 それは違うんだ。

 悪いのはあなたじゃないし、

 あなたに輝きがないなんてことは、決してないんだ。

 と云う。

 いつだってそれは変わらない。

 だから、

 胸を張って、

 自信持って。

 あなたの信じる自分自身は幻なんだから、

 どうか惑わされないで。



 焦がれて止まない優しさがある。
 獣木野生先生の描く『PALM』が大好き。

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