だいすき

基本的に自分の好きなものについて綴っていきます。嫌いなものやどうでもいいこと、さらに小説なんかもたまに書きます。

ハリー・ボッシュより孤独

2010年04月16日 01時28分56秒 | 小説が好き
 いまはもうなくなってしまったけど、近くの図書館に『フィリップ・マーロウより孤独』という本が置いてあった。

 手に取ったことはないので、内容はよくわからないけれど、それでもずっと気になっていた。

 フィリップ・マーロウといえば、ハードボイルド史に名を残す、超有名な私立探偵だ。以前書いたと思うけど、僕が一番好きなタイトルである『長いお別れ』の主人公でもある。
 当時は名しか知らなかったけど、それでもハードボイルドの代名詞であることは知っていたし、このタイトル通り、孤独な香りのする人物なんだろうな、とは思っていた。

 だが僕は、そんなフィリップ・マーロウよりも孤独が漂う人物を、当時からひとり知っていた。

 ハリー(ヒエロニムス)・ボッシュ。作家マイクル・コナリーが生み出した、ロサンゼルス市警察の刑事だ。

 僕は当時からハリー・ボッシュの持つ雰囲気。世間というか周りの空気に馴染めない感じが大好きで、シリーズをそろえてもいいかな、なんて思ったりもしていた。それをしなかったのは、作品がいくつかの出版社に別れて出ていたのと、発表順に日本で翻訳されなかったからだ。
 揃えないのがきっかけか、いつしかシリーズとも縁遠くなり、最近では懐かしむこともなかったのだけど、今日たまたま本屋で新刊を見かけた。

 懐かしい。久しく感じていなかった感情から手を取ったのだが、訳者あとがきを読んでみて驚いた。相次ぐ不況の影響で、これだけ面白いシリーズが刊行の危機に陥っているという。このままでは最新刊がいつ日本で出版できるかわからないという。

 とんでもない話だ!

 それはとてつもなく、とんでもない話だ。

 こんな面白いシリーズが!

 あんなにも胸をせつなくさせるシリーズが、そんな理由で途絶えていいはずがない!!

 というわけでここに記します。

 どうか皆様買って下さい、とは云いません。僕自身、とても欲しいけど、尻切れトンボになるのは嫌だから、少し躊躇しているし、ハードボイルドなんて読む人を選ぶからね。
 だから、買わなくていいです。読まなくてもいいんです。

 ただどうか、話題にして下さい。

 なにかの際、誰かのと会話の中で、『そういえば』と切り出してください。

 ネットでこんなことを書いている人がいた、と続けて下さい。

 作家の名は『マイクル・コナリー』です。

 アメリカの著名なハードボイルド作家です。

 その人の本が、不況のせいで翻訳されにくくなっているんだって。だから、興味のあるひとは買って欲しいって。興味のある人の元まで、この声を届けて欲しいって書いてあったと伝えて下さい。

 その声が少しづつ広がっていけば、僕らはハリー・ボッシュシリーズの最終巻を読むことが出来るかもしれない。

 その心地よい孤独感に浸ることが出来るかもしれない。

 どうかお願いします。いつか誰かに伝えて下さい。

 そういえば……。

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