BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説20-6「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-06-18 21:10:51 | ★ディスティニー20章
 土曜の昼間の横浜アリーナ。
 今日明日はディスティニー・アンダーグラウンドのコンサートなのだ。
 開演まではまだ7時間くらいはあり、グッズ販売すら始まってはいない。
 しかし、せっかくのライブの一日を目いっぱい楽しみたい熱心なファンは、仲間と会場の敷地内でのんびりしていることも多い。
 となれば、たっぷりある待ち時間に、植え込みのところなんかに座って始めるのはメンバーに関するウワサ話だ…
「しっかし諒ったら市川なのに神奈川とか言っちゃうんだもん。」
「疲れているのかな…麻也王子もずっと、どこでも動き小さいって話だし。」
「あ、そういえば魔理ちゃん、麻也たん、前のライブの打ち上げでヤバかったらしいよ。」
「えっ? 紫諒さん、何なに、教えて…」
「前のライブの打ち上げで、ファンのオトコのコをお持ち帰りだって。」
「えー? えーっ? 」
「でもそしたら諒くんは…? ダブルベッドっていうのは…」
「うん...いや、あたしも確かにそう聞いてたんだけど...
もう冷めてる、ってことなんじゃない? 
それに諒の方が立場弱いじゃん。
子持ちとか離婚歴とか、そういう雰囲気消したくて麻也ちゃんとベタベタしてるだけなんじゃない? 
だから麻也ちゃんのワガママきくしかないんじゃない?」
「…まあ、ほんとのカップルじゃないなら別にいいのかぁ…」
「…はーい、コーヒーお待たせ…」
「ありがとー、ごめんね魔奈ちゃん…」
「魔奈、ちょっと、ヤバいって。麻也ちゃん、ファンお持ち帰りしてるって。」
「えーっ? 麻也ちゃんが? 何それ…今は諒ひとすじじゃないの?」
「魔奈ちゃん、スカートひっかかってるよ...」
「あ、ほんとだ。ありがとう...で、それより何で私のいない時にそんな話してんのよっ!何よ、誰を持ち帰ったのよ!  あの前のバンドの時からの化粧ババア?」
「えっ? そんな人いるの?」
「え? 紫諒ちゃんが知らないなんて」

★BLロック王子小説20-5「ディスティニー・アンダーグラウンド」

2019-06-18 20:24:02 | ★ディスティニー20章
 断るべきなのはわかっていたがこうして手まで取られると、そして今の自分の奥底は…
「裏メニューのところてんコースもございますよん」
「それは結構です、ってか横浜2日棒に振っちゃうじゃん!」
「なるほど棒だけに、上手いな麻也さん…」
「…じゃあ、ミルクのコースで…」
切羽詰まった麻也にも理性はあった。
(一本締めだったら、諒、俺のを絶対飲んじゃうじゃん…)
 それで諒の喉を傷めるのは嫌なんだ…と思いながらも、諒の舌使いを思い出して麻也の下半身は疼く。諒の愛撫が欲しくて麻也が自分のシャツのボタンを外しにかかると、諒にベッドの上に押し倒された…
 そそくさと服を脱いで、重なり合って…
…でも麻也にはわかってしまう…
(諒、やっぱりお疲れ気味だよな…なのに俺、元気すぎ…)
 恥ずかしいと思ったところで、諒は穴のあくほど麻也の顔を見つめてきて…
 あっ…とかすかな声をあげてのけぞった…
その表情の美しさに麻也は見とれた…
 そして諒も臨戦態勢…
「麻也さんずるい」
「何が?」
「可愛すぎる」
と、耳たぶを甘噛みされる。
麻也ももう我慢はしないつもりだ。
 麻也さん愛してる…
その言葉を合図に解放することに…
「あぁ…ん…諒…」
「麻也さん、俺もつれてって…」
…そしてまた激しくキス。諒の情熱が嬉しい。
 あまりにも早く麻也が自分を解き放ったのは、自分が早く満足したかったというよりも、諒は絶対に自分についてくるはずだったからだ。諒の睡眠時間を1分でも長くしたかった。
 それなのに、終わってしまえば体はだるくて、後片付けはいつものように諒に任せてしまっていた。
 麻也はベッドで仰向けになると毛布にくるまってぼーっと天井を見ていた。
(…諒の俺への愛情は変わってないんだな…こんな…俺が求めるばかりの夜が続いても…)
それで麻也はほっとする。
しかし…
(それなら…)
あの忌まわしい事件のことも受け止めてくれそうな気もするが…
(…でもやっぱりツアー中はやめよう…)
「麻也さん、薬のんでないでしょ?」
気がつくと諒に腕を叩かれていた。少しうとうとしていたらしい。
「あ…ごめんごめん…」
 麻也は急いで薬を飲むと、毛布に入ってきた諒に抱きしめられ、暗闇になっても諒の胸に頬をうずめていた。