BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説20-15「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-06-23 21:45:33 | ★ディスティニー20章
「そうだけどさって一体なんだよ。まさか、ホテル街にでも消えていったとでもいうの?」
真樹が黙ってしまったので諒は真っ青になった。しかし、
ーいや、男性スタッフも何人か居ないんだって。だからその人達と一緒かもしれない。
「じゃあ、もう俺心配しないことにする…」
 「…真樹、もし何かあったらまた連絡ちょうだい。じゃあね」
 電話を切ってから、真樹にきつく当たったことを後悔したが…東京の初日以来、麻也はますます変だと諒は思う。さらに諒は思う。
(一体うちのマネージャー達も何をしているんだろう…2回も麻也さんを見失うなんて…)
 よっぽど彼らに何か言ってやろうかと思ったが,
麻也からの電話を待つために電話はかけられなかった。
 するとその時、また携帯が鳴り…ディスプレイには麻也の名が…
「もしもしっ!」
―りょお、あろねえ、俺、イタズラされてるの。ピアス痛い。たすけて…
 …間違いなく麻也の声だった。
 麻也のろれつの回らなさは異常だし、諒はどうすればいいのか、頭の中が真っ白になった。
 すると電話の向こうでは男の声で、
―電話なんかすんなよ!
…と、電話は切られた。
 あまりのことに諒は驚き、倒れそうになった。
(……ピアス嫌いの麻也さんが……)
 諒は気を取り直してリダイヤルしたが…誰も出ない。
(…あの背後の男は誰なんだ…)
気が気ではない。三田の携帯にかけることも考えたが、奪還の加勢を頼むことも考えたら男に電話した方がいいだろう。となれば、まずはやっぱり麻也のマネージャーの鈴木だ。これ以上真樹を疲れさせるのも嫌だった。
(それに、警察ならやっぱり鈴木さん通さなきゃいけないし…) 
諒は立場を振り捨ててでも、麻也を探しに飛び出したかったが、
(でも何より麻也さん、そこまで危機感じてるっぽかった? )
 ホテル街の話を聞いたせいか、そんな風にも思えてくる。
 でも…

★BLロック王子小説20-14「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-06-23 21:16:38 | ★ディスティニー20章
 それだけでも前の方のファンは大騒ぎになったのに、諒の強引なキスに、かなり麻也はたおやかに見られたっぽい…
 天使のキャラ、王子のキャラで温かな笑顔と、きつい男っぽい表情とのギャップが愛されてはいるのだが…
(ちょ、ちょっとこれは…)
 中身はいつも凛々しい麻也も珍しく当惑してしまった…

 しかし…そんなに大変なステージだったのに…
 今夜もマネージャー陣に言われて、喉をいたわるため諒は一次会で帰されたぐらいなのに…
 二次会まで行った麻也は…また姿が見えなくなってしまったのだ。
 この日も諒は提供用の楽曲の締切という名目で一次会で帰ってきたのだが、麻也はなかなか帰ってこない。真樹がついていっているから大丈夫だと思っていたのだが…それに電話をするのも麻也には悪いかなと思って控えていたのに…
 しかし遅い。
 さすがに真樹に電話をしようかと思っているところに、携帯が鳴った。
―諒ごめん、兄貴帰ってる?
困っている様子の真樹だった。
「いや、何の連絡もないし。またいなくなっちゃったの?」
すると真樹はまた言いづらそうに、
―…うん、まあ、そうなんだよね…
と、前回とは違って口ごもる。
「いや、真樹、どうしたの?」
真樹は困った時の癖で投げやり気味に、
―でも、今回は人が一緒だから多分大丈夫だと思うんだ…
「何だよ、はっきり言えよ、この間にも麻也さんが電話してきてるかもしれないじゃん。」
―心配はないと思うけど三田さんだよ。三田さん。
 諒は言葉を失った。
 ずっと専属のスタイリストで、メンバーの姉貴分みたいな三田が…?
「ええ、そんなバカな、だって三田さん酒飲まないじゃん。」
―それが今日は上機嫌で、俺たちが気づいた時は兄貴と飲んでるし。
諒はあきれ果てた。
「でも三田さんって確か旦那さんいるんでしょ」
ーうん、そうだけどさ…