BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説20-9「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-06-20 21:11:38 | ★ディスティニー20章
 それでも横浜を含め関東圏のチケットは争奪戦だったと麻也は聞いている。
 少し無理なツアースケジュールのせいもあって、東京の次の週末が横浜になってしまった。それというのも、バンドの成長が予想以上に早く、会場を押えるのが大変だからで…      
 しかし...さすがに東京ドームには手が届かない...
 そんな横浜の初日は、東京と違って来客の少ないリハーサルの後を見すまして、メンバーたちの両親や彼女たちを招待したのだが...
 諒の両親はもちろん、今回も諒の息子の大翔は連れてこなかった。親戚に預けてきたという。麻也は密かにほっとしていた。
 いくら大翔の存在が世間に知られていても、やっぱり姿をファンに知られたり写真に撮られたりしては、というのがある。
 それに何より本人はまだ2歳、父親の仕事すらまったく理解できていないのだから、連れてきても仕方がないといえば確かにそうだ。
 でも諒には励みになるような、でも、ステージでみんなの王子にこれからなるというのに…
 そう考えるとやっぱり諒の両親の判断は正しかったのだ。
 麻也は大翔の写真は見ているが…理性では納得できても、嫉妬がやはりぬぐえない。絶不調の今日実際に会ったなら倒れてしまったかも…
 真樹の最愛の彼女の恵理は、カモフラージュに弟を連れてきた。のはいいとして、直人の彼女の志帆は突然兄を連れてきたので、さすがの直人もびっくりして直立不動になって話をしていた。
 やっぱり恵理の家と同じで、付き合っている男がミュージシャン、それも超売れっ子となると、付き合っている女の子の家では本当に心配なのだろう。
 しかし、楽屋に他の女性の姿はないし、落ち着いた直人の人柄に志帆の兄は安心したらしく、みんなにも軽く挨拶をするとにこやかに部屋を出ていった。
とはいうものの、直人はツアーが終わったら3人で会食を、と言われたと苦笑していた。