諒は麻也を優しく見つめると、
「まあ俺も焦ってるけど、麻也さん、この期間を楽しむことにしない?」
「えっ?」
「いやあ、この先ドームに何度立てるかわかんないけど、って、立つつもりだけど」
と、諒のいつもの生意気っぽい口調で、
「初ドームまでの日々なんて、人生で一度しかないじゃん」
「確かにそうだね」
「俺、楽しみだよ。ステージで、笑顔でギター弾きながら麻也さんが俺の方に歩いてくるのが…」
無邪気な諒の笑顔に麻也も引き込まれて思う。
諒が日本一のキャパのステージで、高々と手をあげ、キラキラと輝きながら歌い、客席が熱狂するさまを…
そんないいムードの時に、今度は真樹からメール…
ー兄貴、その後どう?
ーおかげさまでいい感じだよ。
ーじゃあ、諒を電話でからかってもいい?
ーふふ、やってみて。
するとすぐに諒の携帯が鳴った。
「ああ、真樹? うん、今は麻也さんといちゃいちゃしてたよ♪」