久しぶりのデートで諒もよっぽど嬉しかったのだろうが、照れて諒をふりほどこうとする麻也も、自分でもびっくりするくらい元気になってしまった。
「諒、俺、今日楽器見たいかも…」
すると、突然諒は真面目になり、
「麻也さん、それはちょっと…はりきり過ぎじゃない? 他の買い物より大変だし…」
それで中をとって、恭一の店に行くことにした…
晴れきった夏の昼下がりは本当に暑かったので、麻也と諒は、近所の行きつけのイタリアンレストランに飛び込んでしまった。
暗めの店内で、諒はメニューを眺めながら、
「うーん、昼間だもんねえ。ワインの飲めない時間に…」
「まあ、俺も飲めないからお付き合いということで」
麻也がそう言うと諒ははっとして、
「あ、そうだった。ごめーん」
「薬もそんなに長い期間にならないと思うから、そしたら赤ワイン飲もうよ、ね?」
食事が済むと、さっさとタクシーに乗り込み、二人は久しぶりに恭一の店に向かった。