「なぜ今?」
「うーん、何でかな」
すると、それを聞いた諒は眉をひそめて無言になった。
(あ、ヤバいかも…)
「諒に抱きついたら、もう全ての夢を抱き締めた気になっちゃったのかも」
「何それ~」
諒は照れくさそうに大声をあげた。
「諒は、俺の全部の夢が服着て歩いてるのかも。大好きなひと? 大好きなひと? あっ…」
「ふふっ、白状したな」
また諒の長い腕に捉えられそうになるが、麻也も笑いながら逃げる。
「ダメだよ麻也さん!俺と濃密に過ごせないと、他のごとが億劫になるんでしょ?」
「うん。そうだけど」
二人はまた手をつないでテレビを見始めた。
昨夜で安心したらしく、諒は、麻也を求めてこなかったような…
優しいキスを何度も受けたのは覚えているような気はするのだが…