オミクロン株の蔓延で新型ウイルス感染者が急増する中上演された新国立劇場「さまよえるオランダ人」。初日の1月26日、鑑賞しました。
入国制限措置により、指揮者がガエタノ・デスピノーサに変わり、歌手人はオール日本人キャストになりました。
が、私は楽しみにしていました。
田崎尚美さんのゼンタなら「間違いないな」と思ったし、城宏憲さんのエリック、楽しみで。
城さんのマンリーコを観たのがきっかけでこのブログを始めたのだし。
そして、オランダ人の河野鉄平さん、最近売り出し中、という感じだけれどちゃんと聴いたことがなかったので、楽しみでした。
とにかく、新型ウイルスの影響で公演中止となることだけが怖かったですが、無事開幕しました。
もともとのキャスト、ダーラントの妻屋秀和さん、ほんと、もう外れなし、安定、安心の演唱です。世界に誇れるバスですね!
マリーの山下牧子さん、マイスタージンガーに続いての乳母役ですが、もったいないくらいの美しさと歌唱。
舵手の鈴木准さん、妻屋さんとのコンビは、魔笛、フィデリオ等で既視感ありまくり。リリックな歌唱を聴かせてくれました。
そして代役の皆さん。
田崎さん、新国立劇場初登場というのが意外。すっかり日本のワーグナーソプラノの第一人者になった感じですね。
貫禄かつ繊細な歌唱で圧倒しました。去年のエリーザベト同様、乙女なヒロインをよく表していました。
城さんも良かったです! 城さんはイタリアオペラのイメージがありますが、この役はイタリアオペラっぽいし。演技も含めヴィジュアルが伴った実力派の貴重なテノールです。
昨年レルマ伯と王室の布告者を歌った「ドン・カルロ」公演を観ました。ドン・カルロのカヴァーをやってらっしゃいましたが、私は密かに「城さんのドン・カルロが観たかった~」と思っていました。
そしてオランダ人の河野さん。熱演、健闘、という感じでしたね。見た目が良いので、ゼンタが入れ込むことも納得出来る。個人的好みとしては、ちょっと細すぎるかな。オペラ歌手の方にこう思うことは珍しいですが。“ファントム”と思えばもちろん太すぎるよりいいのだけれど。とにかく今後の活躍に注目したいです。
合唱は新国立劇場合唱団(合唱指揮三澤洋史さん)。マイスタージンガーの時より人数が多かったのではないかと感じました。「オランダ人」はある意味「合唱オペラ」ですしね、迫力ありました。
指揮はデスピノーサ、オケは東京交響楽団。
私の勝手な想像が当たって、あの中に「オペラ座の怪人」を演奏した人がいるかも?? と思いながら観ていました。
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/8541d2add6d0d034cb882dffbf68e8c8
初日だからか、演奏には「あれ?」というところが何度かありましたが。
「さまよえるオランダ人」の演出は古今東西いろいろありますが、最も印象的なのは、ハリー・クプファー演出のバイロイト音楽祭のもの。主演のサイモン・エステスが私は好きで、ビデオテープ(!)も持っています。
最近BSで放送された昨年のバイロイトの演出は、歌手は熱演で、芝居としては面白いけれど、「なんか、なんかなあ」という感じでした。
読み替えは、なるほどなあと、どこか腑に落ちるところがなければならないと思うのですが、全く別の劇になってしまっている印象でした。
とにかくいろいろな演出パターンがありますが、このシュテークマンの演出はかなり王道に近い印象。
今回、ソーシャルディスタンスを意識して変更されたと思われるところも随所に観られました。
ラストは、いわゆる台本とはやや違う形ですが、オランダ人が「救済」されます。
今回の序曲について説明したデスピノーサの動画(救済の動機について)も興味深かったです。
最初(2007年)に観た時は幕切れに結構感動出来たのだけど、その後はそんなでもなかった。演技なのか演奏なのか慣れなのか。
でも、今回は、デスピノーサの指揮によるものか、河野さんの演技によるものかわかりませんが、ラスト、じわじわと感動しました。
妻屋さんが「日本人だけでもこれだけのことが出来るんだということを示すチャンスが再びやってきたんだと思います」と呟いておられましたが、まさにそういう公演だったと思います。
とにかくあと3回、無事に上演されることを願います。
余談ながら、オペラの幕が降りると、カーテンコールもほぼ観ずに席を立つ人が結構いたりするのですが、今回終演が午後10時頃にも関わらず、近くの席の人で席を立つ人がいなかったのが、個人的には特筆すべき出来事でした♪
入国制限措置により、指揮者がガエタノ・デスピノーサに変わり、歌手人はオール日本人キャストになりました。
が、私は楽しみにしていました。
田崎尚美さんのゼンタなら「間違いないな」と思ったし、城宏憲さんのエリック、楽しみで。
城さんのマンリーコを観たのがきっかけでこのブログを始めたのだし。
そして、オランダ人の河野鉄平さん、最近売り出し中、という感じだけれどちゃんと聴いたことがなかったので、楽しみでした。
とにかく、新型ウイルスの影響で公演中止となることだけが怖かったですが、無事開幕しました。
もともとのキャスト、ダーラントの妻屋秀和さん、ほんと、もう外れなし、安定、安心の演唱です。世界に誇れるバスですね!
マリーの山下牧子さん、マイスタージンガーに続いての乳母役ですが、もったいないくらいの美しさと歌唱。
舵手の鈴木准さん、妻屋さんとのコンビは、魔笛、フィデリオ等で既視感ありまくり。リリックな歌唱を聴かせてくれました。
そして代役の皆さん。
田崎さん、新国立劇場初登場というのが意外。すっかり日本のワーグナーソプラノの第一人者になった感じですね。
貫禄かつ繊細な歌唱で圧倒しました。去年のエリーザベト同様、乙女なヒロインをよく表していました。
城さんも良かったです! 城さんはイタリアオペラのイメージがありますが、この役はイタリアオペラっぽいし。演技も含めヴィジュアルが伴った実力派の貴重なテノールです。
昨年レルマ伯と王室の布告者を歌った「ドン・カルロ」公演を観ました。ドン・カルロのカヴァーをやってらっしゃいましたが、私は密かに「城さんのドン・カルロが観たかった~」と思っていました。
そしてオランダ人の河野さん。熱演、健闘、という感じでしたね。見た目が良いので、ゼンタが入れ込むことも納得出来る。個人的好みとしては、ちょっと細すぎるかな。オペラ歌手の方にこう思うことは珍しいですが。“ファントム”と思えばもちろん太すぎるよりいいのだけれど。とにかく今後の活躍に注目したいです。
合唱は新国立劇場合唱団(合唱指揮三澤洋史さん)。マイスタージンガーの時より人数が多かったのではないかと感じました。「オランダ人」はある意味「合唱オペラ」ですしね、迫力ありました。
指揮はデスピノーサ、オケは東京交響楽団。
私の勝手な想像が当たって、あの中に「オペラ座の怪人」を演奏した人がいるかも?? と思いながら観ていました。
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/8541d2add6d0d034cb882dffbf68e8c8
初日だからか、演奏には「あれ?」というところが何度かありましたが。
「さまよえるオランダ人」の演出は古今東西いろいろありますが、最も印象的なのは、ハリー・クプファー演出のバイロイト音楽祭のもの。主演のサイモン・エステスが私は好きで、ビデオテープ(!)も持っています。
最近BSで放送された昨年のバイロイトの演出は、歌手は熱演で、芝居としては面白いけれど、「なんか、なんかなあ」という感じでした。
読み替えは、なるほどなあと、どこか腑に落ちるところがなければならないと思うのですが、全く別の劇になってしまっている印象でした。
とにかくいろいろな演出パターンがありますが、このシュテークマンの演出はかなり王道に近い印象。
今回、ソーシャルディスタンスを意識して変更されたと思われるところも随所に観られました。
ラストは、いわゆる台本とはやや違う形ですが、オランダ人が「救済」されます。
今回の序曲について説明したデスピノーサの動画(救済の動機について)も興味深かったです。
最初(2007年)に観た時は幕切れに結構感動出来たのだけど、その後はそんなでもなかった。演技なのか演奏なのか慣れなのか。
でも、今回は、デスピノーサの指揮によるものか、河野さんの演技によるものかわかりませんが、ラスト、じわじわと感動しました。
妻屋さんが「日本人だけでもこれだけのことが出来るんだということを示すチャンスが再びやってきたんだと思います」と呟いておられましたが、まさにそういう公演だったと思います。
とにかくあと3回、無事に上演されることを願います。
余談ながら、オペラの幕が降りると、カーテンコールもほぼ観ずに席を立つ人が結構いたりするのですが、今回終演が午後10時頃にも関わらず、近くの席の人で席を立つ人がいなかったのが、個人的には特筆すべき出来事でした♪