あおこのぶろぐ

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代替公演ながら豪華キャスト・二期会「フィガロの結婚」

2022-02-11 17:20:16 | 日記
2年連続でこの時期に「フィガロの結婚」を観ることになるとは。

「影のない女」の代替公演。
コンヴィチュニー演出で、ワールドプレミエのはずだったので、関係者も無念だったと思います。

しかし、急遽の代替公演を、これだけ豪華キャストで開催出来るのは素晴らしいですね。

宮本亞門氏演出のこのプロダクションは、初演の時観て、その後観たんだったかな。とにかく久しぶりです。

かなり王道の演出です。
昨年観たホモキのものより、密室感があるし、初心者にもわかりやすいと思います。

「こうもり」公演から、二期会と津田塾大学の梅五輪オペラWGの皆さんが、共同企画で盛り上げようとしています。
音大・芸大以外の学生さんがこういうことをやるのはとてもいいと思います。
この公演、学生は2,000円(2,500円)で観られるそうですが、音大生以外の学生さんにも観て欲しいですね。

私も「フィガロ・・・」を最初に観た時は10代でした。
音楽も耳馴染みがいいし、内容も楽しいし、初心者向き作品です。

最初に観たのは、何度か書いていますが、ウィーン国立歌劇場の来日公演をテレビで、です。
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/b0bb70396c46f3b222003ac7dadc4201

その後、音楽大学の学園祭の発表会のようなものから、音大大学院修了公演なども観ました。
今回のプログラムに二期会の過去の公演の記録が書かれていましたが、ここに書かれていない、ほぼ二期会、という感じの日生劇場の公演も観ました。

プログラムによると1997年(池田直樹さん演出)まで訳詞上演、1998年から原語上演になっています。

で、私が勝手に提唱している、「オペレッタやオペラブッファは訳詞で」という希望ですが。
「フィガロの結婚」も中山悌一先生の名訳詞で何度も観ました。
それを是非復活させて欲しいところですが、確か伯爵のことを「お殿様」と歌っていました。
まあ、古い時代の話なのでおかしくはないけれど、ちょっと違和感もあるかな。
今風にアレンジして、訳詞上演を復活して欲しいなと思ったりします。


今回の公演(初日・2月9日)の感想。
アルマヴィーヴァ伯爵の大沼 徹さん、ヨカナーンもピツァロもウォルフラムも全部ハマるなあ。コミカルな役もうまい。色気もある。スザンナ、ちょっとよろめきかけたんじゃない? と思いました。
伯爵夫人の大村博美さん。威厳としなやかさのあるロジーナ。さすがですね♪
フィガロの萩原潤さん。いい声だし、うまいですね! 伯爵も歌われたことがあるそうですが、キャラ的にフィガロの方が合っている気がします。
ケルビーノは小林由佳さん。メゾだけど暗すぎずソフトな声で、見た目は「宝塚感たっぷり」。オクタヴィアンも楽しみです。
スザンナの宮地江奈さん、ヴィジュアルも声もスザンナにぴったりでチャーミングなスザンナでした。

1幕のラスト。
スザンナがフィガロに飛びついて、フィガロがスザンナをくるっと回すのが「定番」です。
ト書きに書かれているかわかりませんが、ほぼ、そうです。
音大の公演の時だったかな、どっしりした体格の人がスザンナを歌っていて、フィガロに飛びつくのだけど、ほぼ引きずるように半回転くらいしたという感じでした。これはミスキャストだろうと思いました。
今回の宮地さんは軽快にくるくる回ってました♪

主要5キャストがしっかりしていれば成功と言えますが、他のキャストの皆さんも良かったです。
石井藍さんのマルチェリーナ、畠山茂さんのバルトロのカップルもいい味でした。バジリオの高柳圭さんは、EXITのかねちーに見えて仕方なかった(ピンクの頭だし。寄せてる?)。

別キャストのほうは観に行けませんが、こちらも間違いなさそう。

指揮は「こうもり」に続いての川瀬賢太郎さん。演奏は新日本フィルハーモニー交響楽団。
川瀬さんは、アクティブでテンポの良い、時にゆったりと、場面にあった指揮ぶりで、楽しませてくれました。

とにかく安心して観られる上質なエンターテインメント作品ですので、出来るだけ多くの人が観てくれるといいなと思います。




当然かもしれませんが、「影のない女」出演予定だった方が「フィガロの結婚」に多く出ています。

「影のない女」中止が発表されたのは12月22日、新国立劇場の「さまよえるオランダ人」のキャスト変更が発表されたのは1月5日。

「影のない女」が上演出来ていたら田崎尚美さんや河野鉄平さんは「オランダ人」に出演されなかったのでしょうね。

新国立劇場「さまよえるオランダ人」・おかわり

2022-02-05 09:07:24 | 日記
幕切れの音楽が劇的で、演出によってはすごく感動出来る作品ベスト3は、「神々の黄昏」、 「タンホイザー」、 そして「さまよえるオランダ人」ではないかと思っています。
もちろん、演出だけでなく、歌、演技、演奏全て揃ってこそ感動出来るわけで、いい演出だなと思っていても演奏や演技が伴わなかったらイマイチな印象になる。
逆に言うと、ラストで感動出来るか出来ないかで、その公演の評価・印象が決まる気がします。

特に「オランダ人」は、音楽的にも演出的にもいろいろ出来る作品だと思うので、あらためて自分の過去のブログを読んだりして、過去に鑑賞した「オランダ人」を振り返ってみました。

幕切れの演出について絞ると、
神奈川県民ホール(=びわ湖ホール)の公演は、びわ湖リングのハンペ、ギールケコンビのプロダクション作品、とても良かったのだけど、ラストはどうしても「拍子抜け感」がありました。
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/b03895d19518ceba965a7e5b89c4f289


2005年の二期会公演は、ダブルキャストで、キャストによってラストが違いました。演出家(渡辺和子さん)本当の意図はどっちだったのか・・・。

昨年BSプレミアムで放映されたフィレンツェのもバイロイトのも、ちょっと微妙・・・。

2019年、演奏会形式の東京春祭であれだけ感動出来たのは、ひとえにターフェルの歌、演技、存在感によるもの。素敵だったなあ♥️
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/e873a7cb521afbf06e7eb4390df02ce8

ターフェルとか、エステスとかのオランダ人が心にあるから、河野さんが細すぎると思ってしまったのだわ。

エステス主演のVHSテープを幕切れだけ観返してみました。 クプファーの演出、やっぱりいいわ。
「救済」のない、文字通り救いのない終わり方なのだけど、ある意味リアリティーがある。本来の筋の方が無理があると言ったら無理があるし。
衝撃的だけど印象的。

(ビデオデッキがいつまで使えるかわかりません。コピーガードがかかっているからダビングも出来ない。過去に買ったテープをDVDに安価で交換してくれるサービスってないのかしら)


そして何度も観ている新国立劇場のシュテークマンの演出。
総合的に観て今年の公演が一番心に訴えるものがあったかもしれません。

なので2月2日(3公演目)、二度目の鑑賞しちゃいました。

そうしたら マリー役変更の告知が。



若い頃、オペラの演出に憧れていたことがあったので、かなり前から演出助手等でお名前を目にしてきた澤田康子さんには注目をしていました。私はその世界に飛び込む覚悟もなかったけど、着実にキャリアを積まれている様子に敬意を抱いてきました。
まさかこういう形で舞台出演されるとは!

カヴァーの方も出演出来なかったようで、歌唱の金子美香さんは直前のオファーだったそうです。
田崎さんと金子さんは2019年の東京春祭の「子供のためのワーグナー」でゼンタとマリーを歌っていましたね。

過去のこのプロダクションで歌って いた竹本節子さん、日本のマリーと言えばこの人、という印象があるので、今回無理だったのかなあと思ってしまった。

昨年の「ワルキューレ」の、1幕と2幕で違うジークムントと言い、
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/0511e1e3edd4beb9c298d54165779a29
レアなものが観られたわけですが、「置かれた状況の中で最善を尽くしてなんとしても上演する」という姿勢は素晴らしいと思います。


今回の「オランダ人」、2月2日はいわゆる見切れ席だったけど、初日より感動したかも。

苦境の時のほうが、何かしらのパワーを生み出す、ということかもしれません。
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/bdeb3ce0ab7c21cfb8ad3699ce73bf38