あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

豪華キャスト! 福生市民オペラ「こうもり」

2024-12-29 17:02:02 | オペラ

今年最後のオペラ鑑賞は福生市民会館の「こうもり」(12月28日)。

ポスターを某駅で見掛けて、「えっ! なにこれすごい豪華キャスト!」と釘付けになり、年末の忙しい時期ではありましたが、やりくりして行きました。

以前ブログに書いた二期会「こうもり」の時、アイゼンシュタイン役だった又吉秀樹さんプロデュース(公演監督、台本、フロッシュ役)公演。

面白くないわけがない。

しかもロザリンデの田崎尚美さん、アイゼンシュタインの大沼徹さんをはじめとして、又吉さんが公演の最初に言っていましたが、まさに日本を代表する歌手の方々。

ファルケが大川博さん、フランクが三戸大久さん、オルロフスキーが五歳の谷利春瑠ちゃんと吉田連さん、アルフレードが中島康晴さん、アデーレが肥沼諒子さん、イダが高橋広奈さん、ブリントが高橋淳さん、演出は吉野良祐さん。

オーケストラはなく、河原忠之さんのピアノ伴奏。声楽伴奏と言ったらこの方です! まさに大活躍でした!

オーケストラでないから低料金だったのもありがたい。

また、日本語上演だったので、字幕を付ける必要もない。

合唱は「又吉秀樹のこうもり合唱団」ということで、おそらく地元のアマチュアの方々でしょう(熟女中心)。

 合唱団が第2幕で合唱を披露しましたが、私も合唱で歌ったことのある「怪獣のバラード」! 懐かしかった~。

また青梅の少年少女合唱団(正式名称はわかりません)の歌もあり・・・。

市民オペラならではのみんな楽しめるとってもいいステージでした。

セリフにも地元ネタがちりばめられていました。


ヒロイン・田崎さん、普段役柄的に重めの役が多く、私もいろんな役を観てきましたが、ロザリンデ、とても楽しんでいる感じでした(胸がポロリしちゃわないかドキドキした)。

そしてアイゼンシュタインの大沼さん、普段ワーグナー作品とか、シリアスな役が多い方ですが、これまでも明るいキャラクター、演技派のところが垣間見られていました。水を得た魚のようにイキイキして見えました♪

怪獣のバラードを合唱団にまぎれるように歌っていたのも良かった。 

 

中島さん、通常のアルフレード以上に多くの歌を歌い、まるでリサイタルのようでした♪

三戸さんはオペラ歌手らしい風貌の方ですが、このフランク役もピッタリ! 

アデーレの肥沼さん、小柄で躍りながら歌う姿は、「ブギウギ」のスズ子を思い出させました。歌も演技も「確か」でした♪   

ブリントの高橋さん、このキャスティングも豪華! と思ったら、福生在住なのですね!

イダの高橋さんも、これから活躍の場を広げそうな方。

又吉さんは公演監督、フロッシュ役で盛り上げ、そして又吉さんと同じ「それいけ! クラシック」のメンバー、ファルケの大川さん、オルロフスキーの吉田さんも大活躍!

Youtubeで今回の公演、配信してくれるかしら。

そして「本物の」オルロフスキー、春瑠ちゃんも熱演! お歌も聴きたかったのなあ。


シンプルな装置とプロジェクションマッピングでうまく舞台を表現。吉野さんの演出も王道かつ初心者にもわかりやすく、それぞれのキャラクターを生かしたもので楽しかった。どこまでが演出? と思うところも多々ありましたが。

 

そして以前書いたように、私はオペレッタは日本語上演希望派。

 https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/f4a221ba8a940fcb869b412c6d491153

こちらのタイトルに使った「憂い悩みすべて忘れて・・・」の歌詞を聴いて、「そう、これよ!」と思いました。

福生市民オペラ第一弾ということですが、こういう公演によって、オペラの裾野が広がると思うので、これからも注目しています。

第二弾以降も都合が合えば観に行きたいです。




ちなみに、私は多摩地区の高校出身なので、福生市民会館は高校生の時、合唱祭でステージに立ったこともあり、隣の球場には野球部の応援に行った思い出の地。

うん十年ぶりに行ったけど、いやー懐かしかった。

 


再演希望! 新国立劇場「ウィリアム・テル」

2024-11-28 14:43:48 | オペラ

ドイツ系がオペラ好きだけど、グラウンドオペラも大好き。ロッシーニの音楽も好き。

「ウィリアム・テル」は絶対観たい! と思いました。絶対好きなはず! と思って。

11月20日、初日を鑑賞しました。

実際、思った通り。 好きです。このオペラ。

なんと言うか、聴いていていやなところがない。

同じ台本で別の作曲家が作ったら、全く違う重々しいものになっていたかも、と思うくらい、ストーリーは重いのですが、美しく明るいメロディで聴きやすい。

初めて観るので、演出や演奏についてとやかく言う知識もないし、純粋に初見で楽しめました。

歌手の皆さんも申し分なかったです。

初見とは言え、マティルドのアリア「暗い森」はすごく聴き覚えあったので、いつ聴いたんだっけ、と調べたら、1981年のニューイヤーオペラコンサートでした。

松本美和子さんが歌っていました。オペラを聴き始めたばかりの頃で、あの頃はとにかくテレビ、ラジオで放送されたものを録音してよく聴いていたのです。

同じ頃、古本屋でシラーの戯曲集を買ったのも思い出しました。「ウィリアム・テル」や「ドン・カルロ」「ルイザ・ミラー」「群盗」など、オペラの原作満載だったので。

また、第3幕は明らかに聴き覚えがあったので、何かのハイライトか、オペラアワーか、BSで中継されたか何かで聴いたことあったのでしょうな。

 

とにかく音楽面でも視角面でも不満なく、気持ちよく観終わることが出来ました。

何せ、「影のない女」がちょっと後味が悪く(カーテンコールも含め)、消化不良感があったので。

これはオペラ初心者の方にも勧められます。

 

歌手の皆さん、演出、演奏にも大満足なのですが、その中で、特に印象に残ったことなどを書くと。

空から槍? の装置は、ちょっとトーキョー・リングを思い出しました。

歌手の方々の中では、エドヴィージュの齊藤純子さん、初めて聴きましたが、舞台映えするし、声も良く、印象に残りました。

安井陽子さんが少年に見えたのもすごい(次は夜の女王!)。

あと、序曲の「あの」部分を聴くと、ある年代の人はみんなそうじゃないかと思うけど、やっぱり「ひょうきん族」を思い出すなあ。

 

ちなみに「ウィリアム・テル」を日本初演した藤沢市民オペラですが、私は「リエンツィ」の初演を観ました。

藤沢市民オペラ、なかなかチャレンジングですよね。

確か訳詞上演で、さらに字幕もあったと記憶しています。

音楽がイタリアオペラみたい、と思ったのと、ストーリーが腹立たしいものだった、ということが印象に残っています。

これのおかげで、海外に行かずして、ワーグナーのオペラ系作品、全部生観賞出来ているのが、密かな自慢だったりします。

「妖精」と「恋愛禁制」は、東京オペラプロデュースの公演を観ています。

結構ワーグナーの初期作品も好きなんですよね。

これらを経て「オランダ人」「タンホイザー」と進んで行くんだなあと思うと感慨深い。

 

話を戻すと。

とにかく満足度が高かった今回の公演。

「ウィリアム・テル」、是非また上演して欲しい。

ついでに「リエンツィ」も原語日本初演、いかがでしょうか?

 


東京二期会 「コンヴィチュニーの影のない女」

2024-10-28 09:13:40 | オペラ

 「コンヴィチュニーの影のない女」について簡単に。

 

楽曲切り刻み、3幕カットで物議を醸しています。

初日(10/24)鑑賞。久しぶりにあれだけのブーを聞いた。怒号が飛び交ったのを聞いたは初めてかも。

 

「拍手なんかするな」

「金返せ」

終演後私がすぐに手を叩かなかったのは、一部の人に煽られて、ではなく、もう一場面、どんでん返し的なものがあるのでは?  と待ってしまったから。

拍手するかししないかは個人の自由ですが。

「金返せ」は、ひょっとしたらクラファンで入場料以上のお金を出していた人だったのかも? それなら「金返せ」と言う権利はあるかも、とは思いました。

 

シュトラウスの作品を使った舞台作品、と思えば、有り。原曲を使ってよく作り込まれていて、言いたかったこともわからなくはない。 一つのステージとして見応えがあり、面白かったと言えます。

ただ個人的には、もっとスカっと後味のいいものだったら良かったのに、と思いました。

 

ブーイングを聞くことは過去にもありましたが、記憶に新しいのは、新国立劇場の「フィデリオ」。

が、こちらでも書きましたが、私はカタリーナの「フィデリオ」は好きだった。

https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/a60a535af9c8cf93121faefc3e7db9de

 

今回のは、好きとは言えないかな。また観たいかって言うと微妙。

別キャストの公演は観たかったのですが、スケジュール的に無理でした。コンヴィチュニー氏のアフタートークも聴きたかったですが。

 

アレホ・ペレス指揮の東響の演奏と歌手の皆さんは素晴らしかった。

特に皇后(お嬢)の富平さん、とにかくきれいだし声も優しい美声で熱演。皇帝・伊藤さんは着実にキャリア積んでますね! 今後も楽しみ。藤井さんの乳母も凄かった。バラクの大沼さんはやっぱりうまい。その妻・板波さんの存在感! 

フルに、普通に聴きたかったという気持ちはあります。このキャストで第3幕聴きたかったなあ、と。後日演奏会形式で公演してくれないかな。

 


宮本亞門演出 東京二期会「蝶々夫人」

2024-07-20 22:26:40 | オペラ

初日の7月18日に鑑賞しました。

実はプッチーニのオペラは、決して嫌いではないけれど、私の中で優先順位が高くなくて、「蝶々夫人」を生鑑賞したのも何十年ぶりか。
個人的に、「ワルキューレ」、いえ、単独上演がまずない「ジークフリート」の生鑑賞回数のほうが、「全プッチーニ作品」生鑑賞回数より多かったりします。
でも改めて、イタリア人ながらアメリカと日本の音楽も取り入れたこの作品を創ったプッチーニの才能とチャレンジャー精神に感服しました。

「蝶々夫人」に食指が動かないのは、やはりストーリーが悲しいというか腹立たしいから、というところもあるし、西洋人が蝶々夫人を演じるのは違和感しかないし、日本人が演じていても「えっ15歳!?」と思ってしまうし。

 

ですが宮本亞門氏の演出は違和感と不快感を感じさせないものでした。「

蝶々夫人」を観て泣いたのは初めてかも。

宮本亞門氏の演出オペラ、結構観たことになりますが、どれもコンセプトがはっきりしていて、不快じゃないのがいいですね(『ドン・ジョヴァンニ』だけは、ちょっとなあ、だった印象はありますが)。 
今回のプロダクションも以前BSで放映した時に観ましたが、流し見だったので、初見の気持ちで観ていました。

「午後の曳航」もかなり演劇的でしたが、今回の「蝶々夫人」もそうでした。

今回、セットと言えるものは一つだけで、紗幕と映像で情景を表現。バルテック・マシスの映像はどれも、こういう柄の服があったら欲しい、と思うような私好みでした♪

歌手の皆さんも、出番が少ない役の皆さんも含め、歌も演技も良かった。

ダン・エッティンガー指揮の東フィルも、状況(演出)に沿った演奏で、オペラは総合芸術だと改めて感じさせる、舞台作品だったように思います。

 

特にメインキャストの皆さん、歌、演技、ヴィジュアル含め良かったです。

 

まず蝶々さんの大村博美さん。
いやほんとに大村さんが本当に10代の少女に見えました。
「ある晴れた日に」、セットの2階、と言うのでしょうか、すごいところで歌っていました。このアリアをあんなにヒヤヒヤしながら聴いたのは初めてです。吊り橋効果の変形じゃないけど、一層感動した、と言うか。第2幕のラストのハミングコーラスのシーンも、大村さんが涙を流していらして、こちらももらい泣き。

そしてスズキの花房英里子さん。名スズキと言われた永井和子さんが公演監督でしたが、花房さんのスズキもとても素敵でした。演技も声も。

ピンカートンは城宏憲さん。去年からドン・オッターヴィオ、ドン・カルロと観ましたが、聴く度に声も含め印象が違うように思えます。演出のお陰でクソ男でない、同情の余地があるピンカートンでした。

シャープレスの今井俊輔さん。会場のお客さんの会話などからも人気の高さを感じましたが、さすがの演唱でした。深く広い、リアリティのあるシャープレスでした。

ゴローは近藤圭さん。イヤなやつ、という役なんだけど、存在感抜群でした。

青年役のChionさんもでずっぱりですが深い演技を要求される役で、好演、熱演でした。

「坊や」役の大塚稜久くんも、動く場面が多く、大変だったと思いますがブラボーでした。
惜しむらくは「坊や」と青年の顔が似てなかったことかな。

衣装は髙田賢三さん。宮本氏の演出意図に合う素敵な衣装でした。

髙田さんもですが、多くの人を新型コロナウイルスによって失ったということを忘れてはいけません。世の中ちょっと緩んでいるけれど、今また新型コロナが流行っていますが、気をつけましょう!!


二期会創立70周年記念公演 「ドン・カルロ」

2023-10-14 22:55:42 | オペラ

「ドン・カルロ」は私が一番最初に生で観たヴェルディのオペラ(1981年二期会公演)。少女だった私は、カルロとロドリーゴの友情や、ロドリーゴの犠牲死などに感動し、対訳もだけど、シラーの戯曲集を古本屋で見つけて買って読んだりして、しばらく熱を上げていました。音楽も全部好き。
ということで、今、実はめちゃくちゃ多忙な時期なのですが、10月13日、14日と観に行きました。

備忘録的に簡単に感想を書きます。

まず、東京初日、演出のロッテ・デ・ベアさんのプレトークを聴き、プログラムも読んだので、だいたいのコンセプトはわかりました。

逆に言えばそれがないとわかりづらかったかも。

きょとんとするところもありましたが、私は結構楽しみました。


初日の演出家たちへのブーイングは凄まじかった。というか、全体で6、7人くらいと思われるけど、うち二人くらいがものすごく大きく何度もブーしてた。

私も疑問や不満がないわけではないです。

たとえば、近未来の設定なのなら、女性陣の衣装も現代風にすればいいのに、とか思いましたし。

また、昔の私のようなオペラ初心者の少年少女も観ているかも知れないので、あらかじめ「お断り」があったは言え、過激表現や暴力はあまりないほうがいいなあと思いました。兵庫の「ドン・ジョヴァンニ」もそうでしたが。

 

ロッテさんが描きたかった世界はわかりましたが、プログラムも読んでなくて、初めてこのオペラを観る人にはわかりにくいかと思います。

ですが、芝居として見ると面白い。

細部に渡って演技、動きが細やかで、ある意味作品を分かりやすくしていると思いました。

例えばフィリッポの頭髪。
「ドン・カルロ」の公演で有りがちなのが、カルロよりフィリッポのほうが素敵じゃん、と思うこと。
それを考えるとフィリッポは年齢を感じさせるがっかりさせる見た目でなければなりませんから。

 

歌手の皆さんそれぞれ熱演で、特に大事なアリア中でも細かい演技を求められ、大変だったと思います。

 

演奏の感想もはしょらせて頂き、特筆すべきいや特筆したい点だけ書きます。

二日とも楽しみましたが、ヴィジュアル、歌唱、演技、総合的に見て、土曜日は特に満足度が高かったです!

 

初日組ではロドリーゴの小林啓倫さん、多分私は初めて大きな役で聴きましたが、良かったです! いい声だし。「死に方」も良かった。
この演出のロドリーゴはとにかく所作がキザ! しかも「自分に酔ってる」系の男。土曜の清水さんよりキザ男度が高かったです。


そして土曜日のエボリの加藤のぞみさん! 素敵でした! 歌も素晴らしい!
「むごい運命よ」の後、久しぶりに、演奏が終わらないうちに拍手が起こるのを聞きました。
個人的に、「むごい運命よ」と、「衣装をつけろ」と、「オテロ」の2幕幕切れの二重唱の後は、演奏が終わらないのに拍手が起こっても許せます。

 

そして土曜日のカルロ、城宏憲さん。
再三書いているように、このブログを始めたきっかけは城さんだったするので、ずっと注目していて、今回も城さんのカルロを観たいから、用事を投げうって観に行ったのです。


オペラ鑑賞においてヴィジュアルにこだわるワタクシ。
城さんは理想の歌い手さんと言って良いです。
声と見た目が良くても棒演技の人っているけど、城さんはそのままドラマに出たっていけるんじゃない? という感じ。

こういう方にこそメディアにもっと出てオペラファン獲得に一役買って欲しいです。


他の皆さんもほんとに良かったし、他にも感想はいろいろありますが、とりあえずこの辺にしておきます。