「ドン・カルロ」は私が一番最初に生で観たヴェルディのオペラ(1981年二期会公演)。少女だった私は、カルロとロドリーゴの友情や、ロドリーゴの犠牲死などに感動し、対訳もだけど、シラーの戯曲集を古本屋で見つけて買って読んだりして、しばらく熱を上げていました。音楽も全部好き。
ということで、今、実はめちゃくちゃ多忙な時期なのですが、10月13日、14日と観に行きました。
備忘録的に簡単に感想を書きます。
まず、東京初日、演出のロッテ・デ・ベアさんのプレトークを聴き、プログラムも読んだので、だいたいのコンセプトはわかりました。
逆に言えばそれがないとわかりづらかったかも。
きょとんとするところもありましたが、私は結構楽しみました。
初日の演出家たちへのブーイングは凄まじかった。というか、全体で6、7人くらいと思われるけど、うち二人くらいがものすごく大きく何度もブーしてた。
私も疑問や不満がないわけではないです。
たとえば、近未来の設定なのなら、女性陣の衣装も現代風にすればいいのに、とか思いましたし。
また、昔の私のようなオペラ初心者の少年少女も観ているかも知れないので、あらかじめ「お断り」があったは言え、過激表現や暴力はあまりないほうがいいなあと思いました。兵庫の「ドン・ジョヴァンニ」もそうでしたが。
ロッテさんが描きたかった世界はわかりましたが、プログラムも読んでなくて、初めてこのオペラを観る人にはわかりにくいかと思います。
ですが、芝居として見ると面白い。
細部に渡って演技、動きが細やかで、ある意味作品を分かりやすくしていると思いました。
例えばフィリッポの頭髪。
「ドン・カルロ」の公演で有りがちなのが、カルロよりフィリッポのほうが素敵じゃん、と思うこと。
それを考えるとフィリッポは年齢を感じさせるがっかりさせる見た目でなければなりませんから。
歌手の皆さんそれぞれ熱演で、特に大事なアリア中でも細かい演技を求められ、大変だったと思います。
演奏の感想もはしょらせて頂き、特筆すべきいや特筆したい点だけ書きます。
二日とも楽しみましたが、ヴィジュアル、歌唱、演技、総合的に見て、土曜日は特に満足度が高かったです!
初日組ではロドリーゴの小林啓倫さん、多分私は初めて大きな役で聴きましたが、良かったです! いい声だし。「死に方」も良かった。
この演出のロドリーゴはとにかく所作がキザ! しかも「自分に酔ってる」系の男。土曜の清水さんよりキザ男度が高かったです。
そして土曜日のエボリの加藤のぞみさん! 素敵でした! 歌も素晴らしい!
「むごい運命よ」の後、久しぶりに、演奏が終わらないうちに拍手が起こるのを聞きました。
個人的に、「むごい運命よ」と、「衣装をつけろ」と、「オテロ」の2幕幕切れの二重唱の後は、演奏が終わらないのに拍手が起こっても許せます。
そして土曜日のカルロ、城宏憲さん。
再三書いているように、このブログを始めたきっかけは城さんだったするので、ずっと注目していて、今回も城さんのカルロを観たいから、用事を投げうって観に行ったのです。
オペラ鑑賞においてヴィジュアルにこだわるワタクシ。
城さんは理想の歌い手さんと言って良いです。
声と見た目が良くても棒演技の人っているけど、城さんはそのままドラマに出たっていけるんじゃない? という感じ。
こういう方にこそメディアにもっと出てオペラファン獲得に一役買って欲しいです。
他の皆さんもほんとに良かったし、他にも感想はいろいろありますが、とりあえずこの辺にしておきます。