あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

神奈川県民ホール「さまよえるオランダ人」 後味は悪くないけれど・・・

2016-03-30 22:51:42 | 日記
このホールは上のほうの席でも、遠いだけで死角はあまりないので、気に入っている。
しかも3、4千円くらいの券もあり、ありがたいので、よくこのホールでのオペラを観に行く。

先日の公演もタイトルロールのロバート・ボークを始め、歌手陣も、欲を言えば、というところはあったけど、総じて良く、舞台美術も良かったので満足。
この料金でこれだけのものを見せてもらえれば、かなりお得感がある。

「オランダ人」は、簡単に言えば、呪いにより死ぬことが出来ないオランダ人がゼンタの愛によって救われる、という救済のお話。
音楽も劇的に作られているので、「良かったねオランダ人、救われて」と感動する幕切れになっている。よほどひどい演奏、演唱、演出でない限りは。

最近のバイロイト音楽祭など、年末のFMで聴いていて、終演後の激しいブーイングに、いったいどんな演出だったんだ、と思うことも多い。
テレビ放映されたカタリーナ・ワーグナー演出の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」とかノイエンフェルス演出の(ねずみの)「ローエングリン」は、コンセプトはわかるが、後味は良くなかった(個人の感想です)。

昔のバイロイト音楽祭のクプファー演出のものも、後味は良いとは言えないけれど、心に深く残るものだった。

今回のミヒャエル・ハンペの演出は、後味は悪くはなかったけれど、個人的にはうーん。
最初からずーっと舵手が舞台中央で寝ていたので、「ひょっとして?」と思ったけれど、ラスト、オランダ人の船が沈んだ後、舵手が目覚めて、ダーラントや船乗りたちに笑われて終わるというラスト。
舞台上の登場人物たちの笑顔で終わる「オランダ人」は珍しいのでは?
さらなる深読みも出来る(観る人次第?)かもしれないけど、「オランダ人、良かったね」と、うるうるしかけた涙が止まるような感じだった。
最近の演出の傾向として、普通には終われない、という感じなのかもしれないけど、せっかく見事な美術装置、映像で楽しませてくれたのだから、普通に終わっても良かったのでは? という気がした。

マルカンデパート フォーエバー!

2016-03-22 00:13:44 | 日記
花巻のマルカン百貨店が6月7日で閉店するという。
以前訪れてからあの有名な大食堂のファンになっていただけに、ショックなニュースだった。

これはもう一度行っておかなくては、と日帰りで東京から向かったのだった。4、5月は多忙で時間がない。行くなら今だ。
そんなことをする余計なお金も時間もない身分であるが、捻出してでも行く価値がある、行かないと後悔すると思ったのであった。

百貨店に着いたのは11:30前だったが、1階の入り口からエスカレーターの乗り口、各階に「満席」の紙。満席だって行くしかない。そのために来たのだから。
しかし着いてみたら予想以上の長蛇の列。連休の中日ということもあり、家族連れが非常に多い。
休日はマルカンで、と思っていたファミリーも多かったことだろうが、それに加え私のようにお別れに来た人間もいるのだから。
「またにしよう」と帰ったグループは少なかった。

大食堂のある6階から階段で7階へてさらに7階の催事場をぐるんぐるん回って、ディズニーランドの人気アトラクション並みの列。300人はいたのではないか。
これでは食事は2時3時になるのではと腹をくくったが、結構すいすい進んで、12:40頃に入ることが出来た。

しかし並ぶ前見た時、「混雑によりメニューを減らしています」とあり、ナポリタンもオムライスもチキンライスもなし(;_;)
じゃあ人気メニューのナポリカツにしようと心に決めた。「ナポリカツ時間がかかります」とあったが、入って頼めればOK! と思っていた。が、6階に到達した頃は「ナポリカツ、オーダーを一時中止しています」になっていた……。

結局、マルカンラーメンとソフトクリームを頼むことに。レジで「ソフトクリームは一時間くらいかかります」と(◎o◎) まあいいさ、入っちゃえばこっちのもの。
ラーメンはあっという間に来た。ソフトクリームはラーメン食べ終わってからしばらくして来た(1時間はかからなかった)。
昼夜食べるつもりで来ていたが、もちろんお腹いっぱい。
ラーメンは辛めのとろみのあるスープで、具沢山。ソフトクリームは有名な超ロングサイズ。
お腹いっぱいになるはずだ。

バスで温泉の日帰り施設に行き、戻って来て入れてまだ食べられるようなら食べようと思ったのだ。

16:40頃再びマルカンに。
ナポリカツは完売の貼り紙に変わっていた。残念。
何でもいいから早夕食を、と思ったが、食事系のものはあまりなかったので、ならばいっそ、とホットケーキを頼んだ。

確かに建物は老朽化している。今時、エスカレーターは上りだけ。トイレはほぼ和式、という施設はない。
しかしそれだけに昭和にタイムスリップしたようなノスタルジーを沸き起こさせる。
マルカンに建て直すほどの資金はないらしいし、あったとしても建て替えてしまったらあの「味わい」は損なわれる。
いたしかたないのかなとは思うが、特にあの食堂はメニューを始め、システム、雰囲気、すべて「次の世代に残したい」世界遺産級のグレードだ。
特にメニューの豊富さ、値段の安さは、まさに「大食堂」。「ファミリーレストラン」の走り。おじいちゃんからお子様まで、一つの場所で食べられる。
今回行ってみて、ファミリーの多さを見て、その原点を感じさせた。

地元企業が引き継ぎを検討しているという記事も出ているが、私も宝くじが大当たりしたら出資したいところである。

マツモトクラブ(私の中で)2年連続グランプリ~R-1グランプリ2016

2016-03-06 23:43:39 | 日記
お笑いも好きな私、ネタ見せ番組がほぼなくなって寂しい思いをしているが、それだけにM-1グランプリ(THE MANZAI含む)、R-1グランプリ、キングオブコントは毎回楽しみにしている。
だが、なかなか私が一番面白いと思った人が優勝したことがない。
私の評価と審査員である芸人さんの点数と合わないことも多く……。審査員の方々は、ネタだけでなく演者である芸人の「背景」も加味しているのかな、と思うことも多々ある。

今までで、好きなグループが優勝したのは、「第2回キングオブコント」の東京03くらいのものである。

今年のR-1グランプリはハリウッドザコシショウが優勝。
地道に活動して来た方らしいので、良かったね、と思います。

ただ、決勝進出の3人とも1本目と同じようなネタで、皆さん1本目のほうが面白かった気がするので、そこは残念だった。
各ブロックで一番面白いと思った人が、視聴者投票で一番だったので、私の感覚は一般的なほうだと思うが、やはり審査員の方は違う見方をしているようだ。

私は去年、この大会でマツモトクラブにはまった。
昨年はファイナルステージに進出したので2ネタあったが、どちらのネタも大好き。去年はしばらくの間、マツモトクラブのネタの部分だけ毎日観ていた。
私の中では大ブレークしたのだが、一般的には去年は優勝したじゅんいちダビッドソンに、とにかく明るい安村、厚切りジェイソンがブレーク。
マツモトクラブはテレビ(バラエティー)向きじゃないのだろう、全く他の番組で見なかった。

それだけに今年の「R-1グランプリ」を楽しみにしていた。
マツモトクラブはファイナリストに入っていなかったけど、昨年同様復活ステージで勝ち上がり、本戦へ!

ピン芸って、漫才やコントより難しく、なりきり一人コントもフリップネタもありふれていて、食傷気味。よほど独創性のあるスタイルを持っているか、よほどインパクトがないと難しいと思う。
そういう意味でハリウッドザコシショウは確かにインパクトはある。

だけど、私はマツモトクラブのネタが好きだ。
一人コントというジャンルになるだろうけど、ドラマ性と緻密な設定で群を抜いている。
でも今年はファイナル進出はならず……。
優勝しなくてもいいからもう一ネタ見たかったなあ。
深夜に放送された「もうすぐR-1グランプリ」でちょっと見られたけど。
(この番組で放送された、ファイナリストになれなかった人たちのネタのほうがある意味本戦より面白かったかも……?)

「代役」で思い出した1981年二期会「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

2016-03-04 22:14:11 | 日記
先日の「トロヴァトーレ」で、主役のマンリーコをカヴァーだった城宏憲さんが演じられたのを観て、思い出したのは、1981年の二期会公演「ニュルンベルクのマイスタージンガー」である。

まだ私も10代。オペラにはまって間もなく、お小遣いで観に行っていた頃の話だ。

確かNHKの朝のニュース番組の中で、「大作に挑む」という感じで紹介され、「行かなきゃ」という気になり、観に行ったのだった。

主役のハンス・ザックスは、当時ドイツから帰国したばかりの木村俊光さんと、ジャングル大帝の主題歌を歌われ、役者としても活躍された平野忠彦さんのダブルキャスト。計4公演だったが、そのうち平野さんの2公演と木村さんの1公演の計3公演を、スタンドインだった松本進さんが代役として演じたのだ。

先日の「トロヴァトーレ」では、マンリーコだけでなく、予め告知されていたもののレオノーラ役も当初のキャストから変わっていたこともあり、開演前に理事長が説明に出ていらした。
「マイスタージンガー」の時も確か当時の理事長の中山悌一さんだったと思うが、開演前に挨拶に出て来られ、松本さんのことを「朝汐のような風貌ですが……」と説明されていた記憶がある。

当時、公演評で「怪我の功名」と書かれたものもあったが、公演は大成功だった。
ザックスという大役、例えば本役の人も代役の人も、同じ70点の出来だったとする。その場合本役ならちょっと厳しい評価になるかもしれないが、代役ならブラボー、となるだろう。
長い「マイスタージンガー」の中でも出番の多い主役・ザックス役を土日、翌土と3回歌いきったのだから、松本さんはまさしくブラボーなデビューだった。

ちなみに私が観たのは2日目の日曜日(エヴァ役は鮫島有美子さんだった)。翌週の日曜日、つまり千秋楽は木村俊光さんが復帰されたらしい。

私はそれがワーグナー作品初体験。当時は字幕もなかったので、あらすじを読むくらいしか予習出来なかった。ワーグナー作品の中でも特に長い上演時間の作品で、歌詞の詳細もわからなかったものの、楽しむことが出来た。

指揮はドイツで長く活躍されていた若杉弘さんだったが、ワーグナー歌いと言えるような人は殆どいなかった。
その後ワーグナーにはまり、様々な演奏を観聴きしてきた私。今聴いたら、恐らく不満に感じる部分もあるのだろうと思う。

だが、あの公演、大作に挑む日本人歌手(ジンガー)たちのエネルギーのようなものが、確かに伝わってきた。
当時まだワーグナー作品の上演も少なかった時代で、大作上演を見届けようと集まった観客が、大役を歌う新人歌手を見守ろうという空気もあったと思う。特にラストにはとても感動したのを覚えている。
もちろんワーグナーの音楽自体が素晴らしいこともあるが、その原体験があるからか、「マイスタージンガー」の終幕には今も概ね感動するのである。