あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

「観て」楽しむ 東京春祭「ローエングリン」

2022-03-31 22:03:08 | 日記
3月30日、3年ぶりの東京春祭ワーグナーシリーズを観に、上野に行きました。
財政難なので、配信でいいかとも思ったけど、今一番好きと言ってもいい作品だし、ヤノフスキの指揮だし、と来場チケットを買いました。

まず、N響・ヤノフスキが、本当に素晴らしかった!
ソリストも、耳だけならかなり満足。
東京オペラシンガーズもいつもながら安定しており、耳で堪能いたしました。

春祭の公演は、演奏会形式とは言え、これまで目でも楽しんで来ました。
フォークト様のローエングリンとか、ターフェル様のオランダ人とか。
歌手の演技に個人差があり、興味深かったりします。
今回は映像もないし、死角のある席だったので、耳だけで楽しんでもいいのだけど、
「観る」にこだわる私、視覚面に重点を置いた感想を書きたいと思います。


この10年で「ローエングリン」は一番聴いた作品。
普段もよく聴いているし(特にヤノフスキのCD)、生鑑賞回数も、新国立劇場、二期会、びわ湖で計10回くらいで、多分一番多い作品だと思う(タイトルロールは、フォークトか福井さんか小原さんで、3人だけだけど)。

今回のローエングリン(ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー)は、正直「見えなくていい」ローエングリンでした。
歌はいかにもワーグナー歌いっぽい声で、悪くはないけど、フォークト様の、出てきただけで騎士感たっぷり、とは大違い。
出っぱったお腹、ピンクっぽい眼鏡(多分老眼鏡)をかけている。
顔立ちは悪くないのに(カーテンコールで眼鏡無しで見たら、ルネ・コロに似てなくもない)、あのオジサン感。
フォークト様は勿論持って生まれた顔立ちや声もあるけれど、パフォーマーとしてプロ意識があるところをとても評価しています。
やっぱり老眼鏡のローエングリンは駄目でしょ。
代役でなくて元からのキャストなのだし、ほぼ暗譜で歌ってほしかった。

一方早めに変更発表されていたとは言え、当初のキャストではなかったエルザ(ヨハンニ・フォン・オオストラム )は、出てきた時から“姫感たっぷり”。
ヴィジュアル的に、生で観たエルザの中で一番イメージにピッタリかも。しかも譜面をあまり見ず、歌わない時も常に演技。エルザは観る価値ありました。歌も良かった。

エギルス・シリンスのテルラムントは、前回の春祭でも同役を歌っているし、「譜面見なくても大丈夫さ」感が漂ってました。
私の中でシリンスは「優等生の歌手」の印象で、「間違いない」。
だけど、新国立劇場の「オランダ人」、来日出来ていて、シリンスが歌っていたら、あれだけ感動しただろうか? とも考えてしまった。

アンナ・マリア・キウリは去年エボリ公女で観たけれど、オルトルートのほうが合っていると思いました。
ただ、歌わない時はずっと下(譜面?)を見ていて、1幕は寝てるのか緊張しているのか? と見えてしまった。
歌わない時も圧を出しまくっていたラング姐さんとは大違い。まあ直前の代役なので仕方ないか、とは思うけど、歌わない時ももうちょっと演技してほしかった気がします。

ハインリヒ国王のタレク・ナズミ、見た目も歌も満足。
譜面観る率は高かったけど、常に演技はしていたので私の中で高評価。

王の伝令(リヴュー・ホレンダー)は、私の席からは、殆んど全く見えなかった。 歌は、私のイメージより軽い感じの声だけど、いい声でした。

第3幕、一番の聴きどころで舞台の4隅に登場したバンダのみなさん、緊張しただろうな。大きな破綻がなくて良かった。1隅は見えなかったけど。

明日もう1公演あります。配信で観て、死角だったところを補いたいと思っています。


配信と言えば、子どものためのワーグナー、配信で観ました。
「ローエングリン」の聴きどころをうまくまとめていました。
コメディ風でもあったので、芝居の部分と曲の迫力との落差が激しい。
音楽はとにかく素晴らしいし、歌手も一流の方々。
観に来た子供たちがワグネリアンにはならなくても、オペラに親しみを持ってもらえるようになればいいなと思います。

それにしても田崎尚美さん、この3ヶ月でゼンタにクンドリにエルザを歌うって凄すぎます。





今年のR-1グランプリ (&今年度のお笑い賞レース)

2022-03-14 22:38:45 | 日記
今年もびわ湖ホールから宿に帰って観ました。

前半は集中出来ない場合中で観たので帰宅してから録画を観ました。順位には概ね納得。
優勝者を決めるのが、最後は点数でなく、2択で審査員が「どちらか」を選ぶというのは、難しいですよね。
49対51でも、30対70でも後者のほうに票が入るということなのだから。

常に選択制のTHE Wの時も思いましたが、もやっとするものが残る。最後まで得点制にしたほうが良かったのでは?

私の推しのマツモトクラブは、今年も参戦出来たけれど予選落ちでガッカリ。
グランプリ獲れなくても売れている人は大勢いるし(その逆も……?)これからも応援します!
やっぱり最初の年に獲ってもらいたかったな(ストリートミュージシャンネタとお賽銭ネタ)。

吉住は正統派一人コントで、目のつけどころも良くて、好感持てるけど、THE Wの時のネタは越えられなかったかな……。

渡部おにぎりも面白かった。琵琶湖のほとりにいて、トンビをよく見ていたところだったので余計。
でもいつも書いているように、基本的にR1はピン芸人を応援したいので。
「金の国」は、本当に今大注目の若手コンビでどのネタも面白い。おにぎりくんのキャラがいいし。KOCもそのうち獲るんじゃないかな。

優勝したお見送り芸人しんいちは、ディスりネタなんだけど、歌で「好き」「応援するよ」と肯定するところはいいと思います。
でも聴いているうちに「ただただディスってるだけじゃん」となって、ちょっと抵抗感も出て来てしまう。特に固有名詞や、名前は言わなくてもはっきり特定される人が出てくると。
もちろんその毒こそ持ち味なんだろうけど、個人的にはちょっとマイナス。
もっと「ほんわかクスッ」のものを増やして、最後に毒、くらいのほうが良い気がするなあ。
特に二ネタあったから余計。一ネタだけならポジティブに受け入れられたように思う。
或いは決勝で別タイプのネタを見てみたかった。

で、2年連続2位のZAZY。
人間性とかは置いておいて、フラットに見ていて、一番笑ったのはZAZYだった。
フリップ芸の進化版。絵とリズムを使う他にない世界。
結果発表後からその後の言動を見ても、よほど悔しかったんでしょうね。

決勝も得点制だったらどうだったのか興味ある。

今回初審査員のバカリズムの辛口採点も私は指示します。


ついでに今年度のお笑い賞レースを振り返ってみます。

キングオブコントの空気階段は文句なしだったな。
第2回大会の東京03に次ぐ文句なしの優勝ではないだろうか。

M-1の錦鯉。インディアンスも良かったけど、異論はありません。

そしてTHE Wのオダウエタ。
昨年の大会は過去一レベルが高かったのではないだろうか。
優勝は天才ピアニストかAマッソのどちらかだろうと思っていたので、結果を見て「えっ」と思ったうちの私も一人だった。

大きなお金が動いて運命が変わる大きな賞レース。やっぱり審査員が誰かに入れて多数決で決まる形より、得点制のほうが、もやっとするものは残らないような気がするなあ。



琵琶湖上空のトンビ

びわ湖ホールプロデュースオペラ「パルジファル」 視覚編

2022-03-12 21:36:55 | 日記
今回は木曜と日曜の2回公演。
特に3日は、平日ということもあり、空席が目立ちました。
シングルキャストだから、土日連続は厳しいということかな?
考えてみれば今まで、土日別キャストで上演したのだから、贅沢だったとも言えます。

来年のマイスタージンガーも木、日と予定されています。

沼尻さんの芸術監督として最後の作品、そしてびわ湖ホールでのワーグナー10作品目。
私がびわ湖ホールに通うようになったのは「リング」からですが、びわ湖ホールプロデュースオペラは以前、神奈川県民ホールでも上演していたので、「タンホイザー」、ローウェルス演出の「ワルキューレ」、「オランダ人」も観ていました。
「トリスタンとイゾルデ」以外は観ていることになります。

「マイスタージンガー」は大好きなので、シングルキャストだとしても、2日とも行きたいところです。
観るほうとしては、土日連続のほうが予定は立てやすいですが、ダブルキャストだったとしても、オーケストラの方々も大変でしょう。特に「マイスタージンガー」は。


昨年の「ローエングリン」は、フルステージ予定が新型コロナの関係でセミ・ステージになりました。

今回は、びわ湖リングで演出補を務めた伊香修吾さん構成のセミ・ステージ形式。
映像と照明で場面を表し、歌手はオーケストラの前に並べられた椅子に座ったり立ったりして歌いました。
恐らく出のタイミングとかは伊香さん監修でしょうが、歌手はそれぞれ演技しながら歌っていました。
去年も思いましたが、演出によっては、えーっと思って、音楽がよくても感動出来ない場合がありますが、そういうことはなかった。

「パルジファル」のラストは、きつく絡まりあっていた3本くらいの紐がすっとほどけるようなカタルシスを味わえる音楽。
決して邪魔をせず映像も含めラストも感動させていただきました。

余談ながら、2012年の二期会のグートの演出は「読み替え」と言われるものでしたが、ラストシーンはとても感動したのを覚えています。
今夏の宮本亞門氏の演出も楽しみです。


今回の公演、出演者もイメージ通りの衣裳で、演技ありなので、かなりフルオペラ公演に近い印象で楽しめました。

ただ、一点! どうしても気になったことが。
「パルジファルって少年(若者)なんだよね…?」とついつい思ってしまう。
演奏会ではなく、セミ・ステージなのなら、もう一歩踏み込んだ「扮装」まであっても良いのでは、と思ってしまった。
小道具(聖槍とか)を持つとか。

東京春祭のワーグナーシリーズは、同じように映像はあるものの、基本的に演奏会形式。譜面台があります。
譜面をほぼ見ず演技しながら歌ったフォークトさまや、「邪魔よ!」とばかりに退かしたラング姐さんのようなケースもありますが。

2000年から行われた飯守泰次郎指揮の東京シティフィルの「リング」などは、「オーケストラル・オペラ」といわれていました。
舞台上にオーケストラがいますが、簡易的に衣裳あり、小道具有り、演出ありの上演形式でした。
また2016年、サントリーホールのザルツブルクイースター音楽祭のティーレマン指揮「ラインの黄金」は、ホールオペラで、簡易な装置があり、芝居が繰り広げられていました。

来年の「マイスタージンガー」は粟國さん演出でのセミ・ステージということ。

出来ればフルステージで観たかったですが、フルステージだと費用もかかって大変かとは思います。
(オーケストラの方にとってはどちらが負担なんでしょう?)

いずれにしても、粟國さんが演出担当なさるなら、オーケストラルオペラ、またはホールオペラのレベルにして欲しいと思っています。



今回、一日は初めてびわ湖ホールのサイドの席に座ったのですが、サイド席の前にあるのは金属製の細かい穴の開いたフェンス。
新国立劇場などはステージを見ようと思ったら乗り出すしかなくて、後方の人に迷惑をかけることになるけど、びわ湖ホールはフェンスから(もちろん見づらさはあるけど)見えるのでいいな、と思いました。
新国立も是非シースルーフェンスに変えて欲しい! と思いました。無理でしょうけど。



びわ湖ホールプロデュースオペラ「パルジファル」 音楽編

2022-03-09 22:23:27 | 日記
ワーグナー好き、ではありますが、私にとって「パルジファル」は優先順位が低い作品です。
私は基本的に「元気のいい、勇ましい」曲が好きなのです。
「パルジファル」は、舞台神聖祝典劇というだけあって、宗教曲に近いイメージ。
一旦聴くと、いつも心が浄化されるような気持ちになり、いいなあと思うのですが、「聴きたい観たいランキング」では下のほうになってしまいます。

実際、上演回数も多くないこともあり、ワーグナー作品の中では私が観た回数も多くはありません。

私が舞台で観たのは2005年の日生劇場の公演、2012年の二期会、2014年の新国立劇場(フランツがタイトルロール)。
演奏会形式では第3幕だけなら2011年のゲルギエフ(!)指揮マリインスキーオペラ特別公演、グルネマンツをルネ・パーぺが歌っていました。

去年の春祭はチケットを買っていましたが、中止になってしまいました。

今回、完全シングルキャストになるとわかっていたら、どちらか一日しか買わなかったと思います。
3日はクリスティアン・フランツが歌うということだったので、両日買いました。

フランツは、前にも書きましたが、トーキョー・リングとびわ湖リングでジークフリートを観てきて勝手に親しみを感じていていました。
また、びわ湖公演の祭、食事中のフランツと遭遇したのですが、本当に純粋な少年のような姿にすっかり魅了されました。
なので、フランツのパルジファルが観たかったのですが・・・。
まあ、年末くらいから「こりゃ無理か」と思いましたよ。
でも、はっきり告知されるまでは、一縷の望みにかけて2日間とも取ったわけですよ。
案の定来日は叶わず。
パルジファルは2日とも福井敬さん、クリングゾルはやはり来日出来なくなったユルゲン・リン氏の代わりに友清崇さんが歌うことになり、完全なるシングルキャストになりました。

それでもチケットを取っていたので、変則な遠征日程で両日行くことにしました。

2日置いて2回観るのは、海馬にあった記憶が長期記憶されるように、強く脳に刻みこまれたようで、すっかりパルジファルの世界に浸っています。まさしく洗脳?

過去の鑑賞歴を思い出しても、一部「惜しい」というか「残念」というところがあったりしたものですが、今回マイナス点がなかったと言えると思います。
合唱、小姓の皆さん、クリングゾルの魔法の6人の乙女たちまで、本当にレベルが高かったです。
聖杯守護の騎士が 西村悟さんと、もともとは友清崇さんが歌う予定でした。友清さんがクリングゾルに昇格して、的場正剛さんが歌いましたが、豪華ですよね。

ソリストの皆さんも熱演、好演。

歌いっぱなしの斉木健詞さんのグルネマンツが、文字通り物語を牽引していました。

田崎尚美さんはエリーザベトやゼンタの乙女感から一転、魔女オーラ出しまくり。クンドリにしか見えなかった。

グリングゾルの友清さん、「フィデリオ」の時も思ったけど、悪役好みの私の好きな声。イメージもぴったり。

苦悩の王・アムフォルタスは青山貴さんが好演。理想のワーグナー声で、舞台を引き締めていました。

ティトゥレルの妻屋秀和さん。出番が少なくてもったいない感じでしたが、存在感抜群。

そして何より沼尻竜典さん指揮の京都市交響楽団!
毎年思っていましたが、特に「パルジファル」は音楽の深みを感じさせ、本当に素晴らしくて、ワーグナーの音楽を堪能させてもらいました!


今回の公演、片寄純也さん、大沼徹さん、山下浩司さん、泉良平さんという、2012年二期会公演で歌っていたメンバーもカヴァーで控えていたそうです。
ダブルキャストでも良かったのでは??

これだけの歌手を集めて高水準で上演出来るのはまさしく沼尻さんの力でしょう。来年は芸術監督として最後に「マイスタージンガー」を上演。勿論観に行く予定です!