2月15日、新国立劇場の「ファルスタッフ」を鑑賞。
ニコラ・アライモのファルスタッフ、素晴らしかったです。
第一声を聴いて、「おっ、ファルスタッフだ!」と思いました。
イタリア人の声って、やや金属的な感じの人もいるけど、体だけでなく声もふくよかで私好み。
何度も歌っておられるだけあって、「自分のものにしている」感じで、愛嬌もあって、芝居も達者でとても魅力的でした。
他のキャストも良かったし、大きな不満はないけれど、アライモが抜きん出ていた感じ。
若いカップルを歌った東京音大同級生というお二人(村上公太さん、三宅理恵さん)も健闘、メグが脇園彩さんという贅沢さ!
フォード氏のエスピーノ、アリーチェのマンテーニャ、クイックリー夫人のピッツォラートも悪くない。
ただ、「太った人に税金を」という台詞(歌詞)のところは「自分(アリーチェ)とクイックリー姉さんに跳ね返ってますよ」と言いたくなったので、そういう意味ではミスキャストだったのでは……。
このプロダクションを観るのは、2004年の初演の時以来。
五度も公演するということは、「タンホイザー」と同様、装置等のコスト面に加え、無難な演出ということで制作しやすいのでしょう。
が、私は言いたい。
ガーター亭でのファルスタッフの座り位置を始め、舞台の左手(下手)で物語が展開することが多く、レフト側席からは見えないシーンが多かった。
新国立劇場の安い席で観る以上、見えないところがあるのは覚悟しなければならないにしても、偏りすぎ。
その辺は考えて欲しいなあ。
(S席の人のためだけにステージを作っているのか? と思ってしまう)
その点アンドレアス・ホモキ演出の「フィガロの結婚」は死角がなくて良かった。
アライモのファルスタッフには大満足で、声だけでも素晴らしかったけど、演技が見えなかったところもあったのが残念でした。
アライモ、とても素晴らしくて、他でも聴いてみたいと思ったけど、ヤーゴやロドリーゴを「観たい」かと言ったら微妙……。
まだ44歳らしいので、他の役のために、もう少しお痩せになったほうが……と思う私がおりました。
この公演、子供文化芸術活動支援事業として、お子様たちを招待しているとのこと。私も10代の時に初めて観て、好きな作品になりました。
観に来た少年少女たちが、リピーターになってくれればいいなあ。