あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

憂い悩みすべて忘れて・・・二期会「こうもり」

2021-11-27 13:32:00 | 日記
オペレッタもオペラと数えるなら、「こうもり」は、私が最初に触れたオペラ作品です。

もともと、学校の授業で聴いた「流浪の民」が好きで、「流浪の民」が入った合唱集のLPレコードを買ってもらいよく聴いていました。
その中に、ヨハン・シュトラウスの曲がいくつかあって、シュトラウスが好きになり、そして1979年、ウィーンフォルクスオーパーの日本公演「こうもり」をテレビで観てみたのが始まりです。

とても楽しかった。ミルヤーナ・イーロッシュ、ペーター・ミニッヒ、メラニー・ホリデイ、アドルフ・ダラポッツァといった方々が出演しています。

入り口がオペレッタだったから、すんなりオペラの世界に入れたのかも知れません。

音楽も名曲揃いで、「こうもり」はかなり好きな作品です。
その後一度フォルクスオーパーの来日公演を観に行き、二期会公演は何度も観ました。
中山悌一先生訳詞の公演を何度も観たので、今も歌詞を一部覚えています。
というか、今回観て甦りました。
(今回のタイトルは、甦った訳詞からつけました)

昨年のメリー・ウィドーは訳詞でしたが、今回は歌はドイツ語、セリフは日本語でした。 演出が外国人だから? ベルリン・コーミッシェオーパーとの提携公演だから?

前にも書きましたが、私は日本語上演希望派。
「ファルスタッフ」や「魔笛」はまだいいとしても、オペレッタはエンタメ性を重視して欲しいので、訳詞上演して欲しいです。
日本語上演だったら、口ずさみながら帰る人が続出するでしょう。


二期会「こうもり」、初日を観ました。
アンドレアス・ホモキ演出のこのプロダクションは4年前の公演をテレビ で観ました。
「なるほど」と思うところもあり面白いのですが、「フィガロの結婚」同様、上級者向けという気がしました。 初めて観る人は混乱するのでは? と心配します。 まあ、そういうのを抜きに楽しいからいいのでしょうけど。

そして今回の公演。
歌、芝居、笑いすべての面で、過去最高かも知れません!
又吉秀樹さんのアイゼンシュタイン、幸田浩子さんのロザリンデ、高橋維さんのアデーレ、澤原行正さんのアルフレード、宮本益光さんのファルケ、オルロフスキーの郷家暁子さん、フランクの斉木健詞さん、ブリントの髙梨英次郎さん、イーダの渡邊史さん、皆さん役にぴったりで歌、演技両面で満足!

エンタメ性、芸術性共に高い公演でした。

特に又吉さん。 え、コメディアンですか?  と思うほど、軽妙な演技。とても楽しかったです。

そして森公美子さんのフロッシュ。素晴らしい「オペラ漫談」で湧かせてくれました!

川瀬賢太郎さん指揮の東京交響楽団の演奏も、序曲からワクワクさせてくれました。

やっぱり日本語で口ずさみながら帰りたいなあと思ったのでした。





イーロッシュにもらったサイン。

新国立劇場「ニュルンベルクのマイスタージンガー」・本編(感想)

2021-11-23 22:34:51 | オペラ
前置きが長くなりましたが、初日と2日目を観た感想です。

とにかく豪華なマイスターたち!
日本が誇る主役級の歌手の皆様。
役不足、という言葉はこういう時に使うんじゃない?
と思うくらい。

村上公太さん、与那城敬さん、秋谷直之さん、鈴木准さん、菅野敦さん、大沼徹さん、長谷川顯さん、妻屋秀和さん!
その他大勢的な役ですが、皆さんそれぞれに役作りされていたようでした。

聴かせどころも多いコートナーはびわ湖のヴォータン・青山貴さん! 朗々とした声でぴったりでした。

夜警は2005年公演と同じ志村文彦さん。出番は少ないけど、しっかり爪痕を残してらっしゃいました。

エーファの林正子さん、19年前もこの役を聴いていますが、容姿も含め殆どお変わりないのが素晴らしい!
ただ、これは演出の問題なのだけど、衣装はあまり好きではなかった。
エーファの小悪魔性を強く、はっきり魔性の女的に描いたためかもしれないけど。
そのためザックスと、歌詞にあるような年齢差は感じられずより生々しい感じに(時折壇蜜に見えた)。
純だからこそ小悪魔、という感じに描いたほうが、ラストがもっと効いたんじゃないかな。と個人的意見。

マグダレーネの山下牧子さん、歌も演技も安定感! 素敵なマグダレーネでした。
なので、ダーヴィットとも「ちょっと年上のカップル」くらいに見え、違和感なかったです。
2日目、第1幕で椅子ごと倒れたのはハプニング?
ヴァルターとエーファが直し、ナイスフォローでした。

そして、ダーヴィットの伊藤達人さん!
とっても良かったです。歌もキャラも。とてもチャーミングなダーヴィットでした。
伊藤さん、一昨年、神田明神の「EDOCCO」でのミニコンサートで聴いたことがあり、よく覚えていたのですが、それからこんな短期間で大出世を果たすとは!
ダーヴィットに、夏にはパルシファルですからね。
今後楽しみです!
(たつんど、という名前もいいですね!)


そして外国の方々。

ギド・イェンティンスはエーファパパを好演。ザックスのカバーもしていたというので大変だったろうな。

ヴァルターのシュテファン・フィンケは、もっとなんというか、輝かしさみたいなものを欲しいなと思いましたが、ヴィジュアル含め、これ以上を望んだらバチが当たりますよね。

過去実際に観た中で最高のヴァルターは、2013年、東京春祭のフォークト様よねぇ。燕尾服でも、騎士感たっぷりでした。

その春祭でもベックメッサーを歌っていたのはアドリアン・エレート。

正直、新国立劇場公演に限らず、ですが、海外からわざわざ呼ばなくても、もっと歌える日本人もいるのに・・・と思うこともあるのですが、このエレートとか、ザックスのマイヤーとかを観ると、歌唱云々以前に日本人は太刀打ち出来ないものがあるって思いますね。
ヴィジュアルももちろんありますが、こなれている、というか余裕とというか、本場感、というか(エレートはウィーン出身ですが)。
演じる、でなく体現している、というか。

エレートのベックメッサーは、役作りをしている、を超えて、ベックメッサーに見えた。憎めない、ラブリーなベックメッサーでした。

そして、ザックスのトーマス・ヨハネス・マイヤー、素晴らしかった。
もう、ザックスそのもの!
声も見た目も風格と色気があり、役にぴったり。
終幕、「親方、私じゃだめ?」と寄り添いたくなりました(ダメだろう! と自主ツッコミ)。

イエンス=ダニエル・ヘルツォークの演出は、現代の劇場に置き換えられていたけど、読み替えというほどではなく、違和感なく観られました。
歌っている人以外にも人が出て来て動きがあるので、チェックするのが大変。

話題になっているラストシーン、私は有りだと思います。
2回観て、ラストシーンとファーストシーンとつながっていることに気づきました。

ただラストの感動感はやっぱりちょっと減っちゃったかな。

コロナ禍で合唱の人数が抑えられていたこともあるかと。

演出的にも不自然な「距離」がありましたが、それは仕方ないでしょう。
でも第2幕終幕は群衆にもっとドタバタが欲しかったな。

オケは大野和士氏指揮の都響、合唱は新国立劇場と二期会合唱団。

私にとっての原点である1981年公演は、とにかく舞台から凄まじい熱量が発せられ圧倒されたけれど、今回は正直なところ、オケも合唱も、ガツン! とくるものはなかった。
それはひょっとしたら、単に私が成長(老化?)したせいなのかもしれないけど。

でも、延期・中止になった分の思いもこもった、熟成された公演で、総合的にとっても満足でした♪




新国立劇場「ニュルンベルクのマイスタージンガー」鑑賞・前奏曲

2021-11-22 22:00:49 | 日記
延期、中止を経てようやく上演された新国立劇場の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」。

7月に二期会「ファルスタッフ」を観て、8月頭に「マイスタージンガー」。
ヴェルディの喜劇の後はワーグナーの喜劇だ! と思っていましたが、公演中止。

感染拡大している時期で、都心でオペラを観るのが怖いという気持ちも少しあったので、ほっとした気持ちも皆無ではなかったけれど、でもものすごくガッカリした文化会館公演の中止でした。
直前までゲネプロの情報も入っていたので、私たちファン以上に出演者、関係者の皆さんが無念だったことでしょう。

ストーリーがヨハネ祭の日(夏至のあたり)の話で、当初2020年は6月に予定されていたし、以前書いたように、初めて観た1981年の公演も7月。 2002年の二期会の公演も7~8月だったいうこともあり、夏の上野で観たかったんですけどね……。

「マイスタージンガー」が中止になったからということがあるのかないのか、この4ヶ月ずっと頭の中を巡っていた音楽が「ファルスタッフ」。
過去の録音や録画を聴き直したり観たりして余計「ファルスタッフ脳」になっていました。
それまで普段聴く音楽は、 ワーグナーを中心に、圧倒的にドイツモノが多かった私。
イタリアモノ、特にヴェルディ作品では「ドン・カルロ」が一番好きなのですが、今年新国立劇場の「ドン・カルロ」を観たけど、何故かそんなに残らなかったな。
好きなオペラランキングの順位を変えなきゃいかんかしら、と思うくらい、「ファルスタッフ」にハマっていました。

そして「マイスタージンガー」も(リングを一作品と数えれば)5本の指に入るくらい好きな作品です。

「ファルスタッフ」と「マイスタージンガー」の共通点。 喜劇である、のほかに人数の多い登場人物たちが一気に歌う場面があることなどがありますが、一番の共通点はやはり聴くとワクワクする、という点ではないでしょうか。
「マイスタージンガー」は前奏曲からワクワクしますよね。

1981年の公演は、とにかく何もわからず観に行ったけれど、ものすごく感動した。あれが私のマイスタージンガー原体験。

https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/bdeb3ce0ab7c21cfb8ad3699ce73bf38

2002年の二期会公演は、横須賀も含め3回観に行きました。
その頃ザックスに感情移入していたので、黒田博さんのザックスにキュンキュンしたのでした。

2005年の新国立劇場の公演も観たのだけど、何故かあまり記憶に残ってない。
エーファはハルテロスだったのか! と今になってビックリ。

2013年の東京春祭は、とにかくフォークト様とグロイスベック(ポーグナー&夜警)が印象的。

さて今年の公演は?
感想編に続きます。




1981年の公演評が載った雑誌はまだとってあります!