あおこのぶろぐ

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東京二期会と新国立劇場の「カルメン」

2025-02-27 23:45:37 | 日記
東京二期会を初日の2/20と二日目の2/22、そして新国立劇場は4日目の3/6を鑑賞しました。

上演演目がかぶる、というのはこちらでも再三書いてきましたが、今年はビゼーの没後150年ということで、かぶるのも納得します。が昨年の「トリスタンとイゾルデ」同様、時期がまるかぶり。

「カルメン」は、実は私が初めて生で観たオペラ。
1980年の二期会公演(小澤征爾指揮!)。母親に連れて行ってもらいました。その後も何度か観ているし、聴き馴染みのある作品ですが、ものすごく久しぶりの生鑑賞でした。私の中で、観たい度ランキングでは高くないので。

二期会自体、25年ぶりの上演なんですね。

今回は、「ドン・カルロ」のエボリか素敵だった加藤のぞみさんのカルメンなので、「観たい!」と思い足を運びました。
別キャストの和田さんも気になるなあと思い、2日目のチケットも追加購入。
結果的に和田さんが2日目は体調不良で降板、連続で加藤さんのカルメンを鑑賞することになりました。
結果的に加藤1日空けて3連投になったわけで、お疲れ様でした!

新国立劇場の「カルメン」は過去9回も上演されているけれど、一度も観たことがなかったのです。
でもこのプロダクションは、初演の時の写真とかを観て興味を持っていました。
二期会の「カルメン」を観て、こちらのアレックス・オリエの演出も観たくなり、足を運びました。


ということで、20年くらい観ていなかったのに、この2週間のうちに3回鑑賞したことになりました。


1980年公演のチラシ。よく残っていたもんだ。



まず二期会歌手の方々の感想を簡単に。

加藤さんは低音から高音まで無理なく響く声で、心地よく聴けます。「こういう奔放な女いるよね」という感じで、ドギつ過ぎずチャーミングなカルメンでした♪

初日のドン・ホセは城宏憲さん。
登場シーンから、真面目な若者という感じで、でもカルメンの「ハバネラ」の時からもうカルメンに釘付け。色気ムンムンのカルメンにイチコロという感じもよくわかるし、また、カルメンがホセに惹かれるのもわかる。
ホセが転落していくところ、そしてカルメンを殺してしまうところ、そして殺してしまって嘆くところも、納得出来るというか。
もちろんイリーナ・ブルックさんの演出意図に基づいてなのでしょうが、このお二人の好演により、違和感なく感情移入出来ました。

2日目のホセ、古橋郷平さんは、見た目的にホセのイメージとはちょっと違ったかな。2014年の「チャールダッシュの女王」で注目して、「リゴレット」も観たのだけど、当時はまだ粗削りといった印象でした。順調に経験を積んでいるようで嬉しかったです。何と言っても長身でかっこいいテノールは貴重ですから。今後一層楽しみです!

今井俊輔さんのエスカミリオは、まあとにかくキザ! 歌も存在感抜群でした。(カーテンコールでも)
与那城敬さんも二枚目でお色気ムンムン(『午後の曳航』も素敵だった)。エスカミリオはこうでないとねえ。

ミカエラは宮地江奈さん、七澤結さん、どちらも良かった。
宮地さんは素朴でピュアで、ミカエラらしいミカエラでした。
七澤さんは情熱的なミカエラ、という感じ。
七澤さんは「デイダミーア」、「コジ・ファン・トゥッテ」に続き、今年度3回目。デイダミーアもデスピーナも演出上バタバタ動いていた印象でしたが、しっとりと心に響く歌唱で、特に大きい拍手を浴びていました。

スニガ、モラレスも存在感があり、レメンダード、ダンカイロ、フラスキータ、メルセデスの密輸団、皆さん良かったけど、初日組のほうがキャラが立っていたかな?

合唱、NHK児童合唱団も大活躍でした。ダンサーの方々も様々な役割、シーンで大活躍でした。

そして沖澤のどかさん指揮の読響も、ドラマティックに音楽面で牽引していました。カーテンコールでも沖澤さん、ひときわ大きな拍手を浴びていました。


そして新国立劇場のカルメン。
カルメンのサマンサ・ハンキー、とにかく動きが多く出番も多く、大変だったろうなあ。ラストの殺されるところは鬼気迫るものがありました。
ホセのアタラ・アヤン、声はいいけど、うーん、今一つカルメンに惚れるところも惚れられるところも今一つ納得感がなかった印象。
エスカミリオのルーカス・ゴリンスキーは特に3、4幕の歌が良かった。でもM○ゲなのはいいとして、おなかが出ているエスカミリオはちょっと私の中でマイナス。
伊藤晴さんは、ミカエラは役不足では? と思うくらい、歌と存在で光っていました。でも「ホセ、ミカエラだってきれいでお色気もあって、カルメンよりいいんじゃない??」って思ってしまった。

そのほかの皆さんも実力者が脇を固めています。
合唱も安定。
デスピノーサ指揮の東響の演奏も、4階席にもいい感じに響いて来ました。


プログラムに、二期会、新国立共に過去の公演の情報が載っているのですが、見ると20世紀の二期会公演はすべて訳詞上演でした(主に宗近昭=柴田睦陸氏)。
今回の公演は共に原語上演。二期会は台詞、レチタティーヴォなしでしたが、新国立は台詞(フランス語)あり。そして噂には聞いていたけど、部分的に日本語台詞もありました。芝居的にはわかりやすいけど、一貫性はない。

新国立は主要キャストが外国人で、演出・スタッフも外国人。外国人歌手もフランス語はネイティブではないわけで、発音的にどうだったのかはわかりません。
二期会も外国人演出家で、“ワールドブレミエ”とうたっているし、原語上演も今時は当たり前かと思います。
でも、年末の福生「こうもり」で、訳詞上演の良さを再確認したので、せっかく定番となっている訳詞もあるのだから、「カルメン」もまた訳詞上演して欲しいと思いました。


(演出・その他編に続く)




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