重松作品、これで何作目になるのかな。★★★★☆
この作品には、たくさんの主人公がいる。
交通事故に遭い、松葉杖がなければ歩けなくなった小五の恵美。
五年三組のヒーロー文彦ことブンちゃん。
クラスメートの中心にいたのに、突然はじかれてしまった中一の堀田ちゃん。
ブンと幼なじみなのに、気軽には話せなくなった中一の三好くん。
心因性視力障害になってしまった、中二のハナちゃん。
サッカー部で背番号16をつけていた、中三の佐藤くん。
小さな秘密を背負って、中三の秋に転校してきた西村さん。
ブンの親友で、ライバルで、相棒の中西基哉(モト)。
恵美の友だちで、重い病気を患っている由香ちゃん。
そのひとりひとりに語りかけるように、話は進む。
恵美と弟のブンの周りにいる友だちの10話。
「あいあい傘」「ねじれの位置」「ふらふら」
「ぐりこ」「にゃんこの目」「別れの曲」「千羽鶴」
「かげふみ」「花いちもんめ」「きみの友だち」
~このタイトルが、かなり良いです。
ぐりことか、にゃんこのめとか、はないちもんめとか。
重松さんと同世代の私には、グッときます。
懐かしくて、子ども時代に、タイムスリップすることができます。
そして、どの話も心に沁みます。
せつなくて、やさしくて、時に痛くて。
恵美の、素っ気ない言動に惹かれます。
「友だちだったら、ずっと一緒にいたいじゃん」と泣くハナに「わたしは、一緒にいなくても寂しくない相手のこと、友だちって思うけど」と話す恵美。
「『みんな』が『みんな』でいるうちは、友だちじゃない、絶対に」とも。
さいごの「きみの友だち」で、すべての話がつながる構成になってて、大人になったハナや堀田ちゃん、西村さんが描かれてます。
「花いちもんめ」で終わったほうが、私は好きでした。
でも、自信を持って、おすすめします。ぜひ