6月3日、素晴らしいお天気に恵まれ、暮らし方研究会セミナーが行われました。
今回は国が海外の賓客をお迎えする迎賓館、東京の洋風建築の赤坂離宮に対し、和風建築で纏められた京都迎賓館を見学しました。
京都迎賓館は平成17年に建設され、平成28年7月から一般公開が始まりました。日本の伝統的住居である入母屋屋根と数寄屋造りの外観を映し、築地塀を巡らせた品格のある和風の佇まいを体現しています。
建築は、築地塀・正面玄関・聚楽の間・夕映えの間・藤の間・桐の間など、数寄屋大工・左官・建具・表具・畳・錺金物・漆・載金・庭園・石造工芸・垣などの伝統技能者による伝統的技能を活用して完成されました。調度品についても、西陣織や蒔絵、漆の技能を惜しげもなく活かした家具が配置されています。
案内人の指示に従い、ワクワクしながら正面玄関から迎賓館内部に入ります。堂々とした正面の扉は樹齢700年の欅の板を使用しているそうです。
最初に訪れた「聚楽の間」はロビーとして位置付けられた空間で、京指物の技能と有職織物を用いた安楽椅子が並んでいます。座面の朱色の布地は一際華やかで素敵でした。竹工芸の花籠や桐塑人形、木製照明器具など、どれを取っても日本の伝統技術の奥深さが実感されました。
「夕映えの間」は大臣会合などの会議や立礼式でのお茶のおもてなし、晩餐会の待合いとして使用されています。
比叡山と愛宕山、京都を見守る二つの山の幻想的な山容が東西の壁面を飾っています。縦2.3m、横8.6mのつづれ織りで描かれた絶妙の色使いは、眺める者の心をやさしく包み込んでくれます。これだけ様々な技術を駆使して織り上げる機会は、滅多にないだろうと思わせるほどの大作でした。
「桐の間」は和食を供する和の晩餐室です。一際目を引くのがテーブルで、全長12mの一枚板の天板の表面は漆仕上げで鏡のようでした。
約1時間の見学でしたが、京都の伝統工芸の粋を集めた建築美や庭園美、そして調度品の数々を存分に楽しめました。
見学終了後、午後2時半から4時半まで「NPO法人京都観光文化を考える会・都草」の田村さんの案内で、京都御苑歴史散策ツアーを行いました。
自由参加でしたが、セミナー参加者の大半の方が参加され、歴史に彩られた清々しい新緑の御苑を存分に愉しめました。
素晴らしい伝統の奥深さを実感し、日本が世界に誇れる技をいつまでも引き継いで欲しいと切に思いました。