振り返れば燧ヶ岳が見える。
この風景の広がりは日本ではないみたいに思える。
延々とした木道を引き返す。
入道雲が顔を覗かせる。夏空らしい一面。
見晴らしの良い森をゆったりと登って行く。
何処までも広がる草原。
山頂はこんもりとした森の中にある。
山頂前の草原越しの燧ヶ岳。
夏の陽射しを受けて輝く草原。
すっかりとほぐれた気持ちで池ノ岳へ戻って行く。
午後には雲が厚くなり、雷鳴が二時間程鳴り続き、夕立が水面を叩く。
平ヶ岳にもガスがかかり始める。
夕暮れが迫る頃雨が上がり、虹が掛かった。
すっかり雨雲が取れ草原が西日に染まる。
水面が西の空を映す。
茜空とはいかなかったが、沈む太陽が綺麗。心の中でベートーヴェンのピアノソナタ第8番第2楽章が流れる。
翌朝、日の出前。東の空が紅く染まる。
日の出の一時。この光景は何度見ても心が震える。
平ヶ岳がほんのりと朝日に染まる。
この景色も心に刻んでおこう。
初めての平ヶ岳。想像以上の情景に巡り会えた。こういう山が心の山だと改めて思える。次は黄金色に染まる頃に再訪したい。
初めての平ヶ岳。想像以上の情景に巡り会えた。こういう山が心の山だと改めて思える。次は黄金色に染まる頃に再訪したい。
この山は遠き山だからこそ、百名山などと愚にもつかない目的を持つ輩ではなく、山との出会いを大切にする方々にのみ訪れてもらいたい、と心底願う。
(2019年8月7〜8日)
(終わり)
(2019年8月7〜8日)
(終わり)