多摩産材を活用した住まいづくりが佳境に入っています。まだまだ監理は続きますが、
そろそろ、大工工事が終わり頃になってきました。
左官屋さんが外壁の仕上げに掛かり始め、現場が活気付いてきました。
先日、床の間や玄関などの花釘や折れ釘などを求めて、大工さんに渡しましたが、
今日は、建て主の奥様と玄関や室内の建具の引手や家具の抽斗の取手を買い付けに、
赤坂の和風金物の店に行ってきました。
沢山陳列されている様々な種類の金物を見ながら、ある程度絞り込んで、現物を出してもらいました。
あれこれ迷い、番頭さんの説明を聞きながら、材質、製作法によって価格がずいぶん違う事を理解していただきました。
そして、その中から値段も重要な判断材料に入れて、形、大きさ、材質をあれこれ比べながら選んで、気に入った金物を買っていただきました。
店頭では、ないと思われた品物が倉庫を確認したら有って、しかももう必要な数をそろえるのは難しいという品物で、本当にラッキーでは有りましたが、予想よりも高くかかりました。
仙徳めっきがかかっている引手ですが、穏やかな黄土色で段々茶がかっていく変化も楽しめます。四角でなく、柔らかい中ほどが膨らんでいる舟形で、ちり落としになっている金物です。
同じ材質、形状でやや小ぶりの引手も一緒に買いましたが、これも予想より高く、全体の見込み費用より上回ってしまいました。
次に、抽斗の取手いわゆるブラカンを見せて貰いました。鋳物と打ち出しと見れば見る程、手作りの価値と良さが伝わってきます。
今回は、昔ながらの蕨手と言う形のブラカンで、鋳物で出来ている物を家具屋さんに渡す為に、必要な数だけ買っていただきました。
予定より多くの金物を買っていただいたので、予定より費用がかさみましたが、
価値も分かっていただいた上で、納得して買っていただくことが出来ました。
建築工事費総体の中では、少ない金額ですが、個人の懐から出すとやはり、昔ながらの良い物は高い感じがするかもしれません。
全ての人に勧める訳にはいきませんが、本物の住まいづくりにこだわり、ある程度費用を出す余裕のある方にとっては無くてはならない住まいの装備の一部であり、使いやすさ、手入れのしやすさを追求していくとこういう形になるという真面目な工芸品の一例だと思います。
住まいに使われる工芸品は、美的な要素だけでは済まず、機能を果たす事が大事で、用から生まれて美に達するというのが、その流れなのだと思います。
これは、住まいそのものにも言える事と思いますが、全体と部分の調和をどう構成していくかは、大変難しいものです。
その時、その場所、その家族で全部違ってきます。
私たちが出会う、その時に、住まわれる家族にとって一番良いと思うプランを提案していく事が一番かなと思いながらやっていく毎日です。