「こうしたい」と「つくる」の間に 一級建築士事務所アーク・ライフのブログ

東京都町田市の一級建築士事務所アーク・ライフです。住まい手の「こうしたい」と「つくる」の間で要望を共有し一緒に考えます。

多摩の木のすまいの和風金物を買いに行きました

2008-03-19 21:06:34 | 多摩の木のいえ

多摩産材を活用した住まいづくりが佳境に入っています。まだまだ監理は続きますが、
そろそろ、大工工事が終わり頃になってきました。
左官屋さんが外壁の仕上げに掛かり始め、現場が活気付いてきました。

先日、床の間や玄関などの花釘や折れ釘などを求めて、大工さんに渡しましたが、

今日は、建て主の奥様と玄関や室内の建具の引手や家具の抽斗の取手を買い付けに、
赤坂の和風金物の店に行ってきました。

沢山陳列されている様々な種類の金物を見ながら、ある程度絞り込んで、現物を出してもらいました。
あれこれ迷い、番頭さんの説明を聞きながら、材質、製作法によって価格がずいぶん違う事を理解していただきました。
そして、その中から値段も重要な判断材料に入れて、形、大きさ、材質をあれこれ比べながら選んで、気に入った金物を買っていただきました。
店頭では、ないと思われた品物が倉庫を確認したら有って、しかももう必要な数をそろえるのは難しいという品物で、本当にラッキーでは有りましたが、予想よりも高くかかりました。

仙徳めっきがかかっている引手ですが、穏やかな黄土色で段々茶がかっていく変化も楽しめます。四角でなく、柔らかい中ほどが膨らんでいる舟形で、ちり落としになっている金物です。

同じ材質、形状でやや小ぶりの引手も一緒に買いましたが、これも予想より高く、全体の見込み費用より上回ってしまいました。

次に、抽斗の取手いわゆるブラカンを見せて貰いました。鋳物と打ち出しと見れば見る程、手作りの価値と良さが伝わってきます。

今回は、昔ながらの蕨手と言う形のブラカンで、鋳物で出来ている物を家具屋さんに渡す為に、必要な数だけ買っていただきました。

予定より多くの金物を買っていただいたので、予定より費用がかさみましたが、
価値も分かっていただいた上で、納得して買っていただくことが出来ました。

建築工事費総体の中では、少ない金額ですが、個人の懐から出すとやはり、昔ながらの良い物は高い感じがするかもしれません。

全ての人に勧める訳にはいきませんが、本物の住まいづくりにこだわり、ある程度費用を出す余裕のある方にとっては無くてはならない住まいの装備の一部であり、使いやすさ、手入れのしやすさを追求していくとこういう形になるという真面目な工芸品の一例だと思います。

住まいに使われる工芸品は、美的な要素だけでは済まず、機能を果たす事が大事で、用から生まれて美に達するというのが、その流れなのだと思います。

これは、住まいそのものにも言える事と思いますが、全体と部分の調和をどう構成していくかは、大変難しいものです。
その時、その場所、その家族で全部違ってきます。
私たちが出会う、その時に、住まわれる家族にとって一番良いと思うプランを提案していく事が一番かなと思いながらやっていく毎日です。


多摩の森のいえの丸太梁の加工が始まりました。

2007-04-16 21:53:25 | 多摩の木のいえ

Dscn2435 10ヶ月以上前から選んであった杉の丸太が、皮をむかれ、磨かれて立派な梁となって、下小屋に搬入されました。棟梁が、墨付けし始めました。住まいが完成した時に見えてくる材(化粧材)に墨付けする時は、弁柄の朱墨で墨付けします。こうすると、黒い墨と違って、段々色が飛んでいくので墨跡が目立たなくなるのです。久々に、丸太に打たれた朱墨を見て、気持ちも高揚してきます。

Dscn2436

大きな丸太は、末口で直径33センチ、元では42センチありました。丸太同士を継いで行く為に、継手の工夫も必要です。

どの梁をどこに使うか、棟梁と相談しながら、決めていきます。一回では、決まらず、朱の墨で書いたり消したりして決めていきました。

Dscn2442

角梁と違い、丸太は、元や末といった向きや架け方にいくつかの決まりがあり、それを無視するとでたらめな組み方になってしまうので、末口の寸法を当ったり、元に廻ったり、木肌を比べたりしながら、最良と思われる組み合わせを探しました。

この次には、いよいよ、角材の松と杉の梁が製材されて、下小屋に搬入されてきます。 その前に、出荷前の、製材寸法や材質、含水率などの検査を行います。手間がかかりますが、多摩の杉や桧、松は色艶や杢目の感じもなかなか良いので、楽しみでもあります。