「こうしたい」と「つくる」の間に 一級建築士事務所アーク・ライフのブログ

東京都町田市の一級建築士事務所アーク・ライフです。住まい手の「こうしたい」と「つくる」の間で要望を共有し一緒に考えます。

梁組を合理的に改良

2020-03-27 00:14:43 | 19富山
今日午後は、大規模リフォームの打合せで出かけていました。

事務所に戻ってからは、かねてよりの住宅の構造の検討作業を再開。
基礎の図面は工務店さんに送ることができたので、柱や梁組などをより合理的にできないか検討していました。


基礎の図面です。
ここからさらに合理的にできそうです。

行きつ戻りつの検討を経て、はたと閃きました。
プランとの整合性を取りながら、屋根から基礎までシンプルに力が流れる梁組が実現できました。
その分基礎梁の数も減って費用的にも楽になる方向です。

設計するときは、プランや目に見えるところを改善しながらお客さんとキャッチボールするのが一番楽しい時間です。
このような地道な作業は時として苦しく感じるときもありますが、その作業を通して難題が突破できたときは、やはりうれしいです。

きちんとした構造性能で無駄のない基礎配筋

2020-03-26 12:42:15 | 19富山
昨日の続きです
昨日、きちんとした構造性能を持ちながら、無駄のない基礎配筋にするための検討をしていましたが、行き詰ってしまい、作業を切り上げて帰宅。
本日再検討していますが、今朝からの検討でいい方法が浮かび快調に作業を進めています。

この住宅で設計上考慮しなければならない積雪量は150cmです。
屋根の上に厚み150cmの雪がまんべんなく積もった時でも、耐震的に問題なく、柱や梁が曲がらず、基礎も壊れないように設計しなければなりません。

そのためには基礎の形式や、基礎の形状・寸法、鉄筋の量などを多くする必要があります。
単純に多くするのでは無駄も多く、安全が確保されているかもわからないので、基礎にかかる力(荷重といいます)を計算し、その力をどう受け止めてスムーズに流すかを考える必要があります。

住宅で用いられる基礎の形式は布基礎とベタ基礎があり、それぞれにメリットとデメリットがありますが、今回は積雪荷重が大きいので、ベタ基礎にしました。
ベタ基礎は建物の下全面に鉄筋コンクリートの盤(耐圧盤)を敷き、その面全体で建物の荷重を地面に伝えるので、建物荷重を分散して地面に伝えやすくなります。

ベタ基礎の耐圧盤に建物の重さを伝えるために必要なのが、基礎梁という、鉄筋コンクリートでできた高さの低い壁状の部分です。
建物の外壁や内部間仕切りの下に配置し、柱を通してかかる建物の重さを受け止め、耐圧盤に伝えます。

昨日から課題になっていたのが、耐圧盤と基礎梁を繋ぐ鉄筋の入れ方です。
つなぐ鉄筋がしっかり入るように基礎梁を大きくすれば問題解決なのですが、そうすると費用が余計にかかります。
昨日からの検討で、費用を余計にかけずに、きちんとした構造性能が出るようにするためいい方法が浮かびホッとしています。

このような地道な作業をとおして、住まい手が安心して、快適に生活できる住まいを作っています

概算見積もりの結果を待ちながら、実施設計の作業も進めています

2020-03-25 22:26:49 | 19富山
かねてよりの住宅設計で概算見積もりの結果待ちをしながら、実施設計的な作業も進めています。
通常は手戻りになるので、概算見積もりの結果を待ってからより細かい作業を進めていくのですが、スケジュール的な問題で先行作業となっています。

今日は基礎の図面を描いていたのですが、費用をかけすぎず、きちんとした構造性能を発揮できるようにと考えながらの作業でした。

住宅基礎の鉄筋組みは、通常行われている工事と、構造性能や基準から考えると当然こうしたほうがよいというやり方が大きくかけ離れている傾向にあります。今までも構造性能や基準を考慮した設計としてきましたが、当然通常のやり方よりも費用は高くなります。今回、構造性能や基準を踏まえたうえで、費用をより下げられるように、再度様々な基準書や資料などを見ながらということで時間がかかっています。

通常行われている工事と、構造性能や基準から考えた方法とで大きく違ってしまうのは
(1)ベタ基礎などの耐圧盤そのものの配筋量が大きく違う
(2)ベタ基礎を採用する場合に、本来は一定の面積毎に耐圧盤を支えるリブ状の基礎梁を入れる必要があるが、それが入っていない
(3)耐圧盤とリブ状の基礎梁との間で鉄筋がお互いに離れないようにする必要があるが(定着といいます)、あまり考慮されていない

これらをきちんと考慮すると、鉄筋の量やコンクリートの量がかなり多くなってきます。その分は本来かけるべき費用なのですが、それでも無駄にかけれうことの無いようによりスマートな方法はないかと考えながらの作業になっています。


積雪地でのプロジェクトが形になってきました

2020-03-10 01:22:00 | 19富山


積雪地でのプロジェクトが形になってきました。
このプロジェクトでは雪国北陸で暖かく、安心して、快適にすごすための住まいを目指しています。

画像は2階のホールの様子です。
東と南側を隣の家に囲まれた敷地で、日差しを有効に取り入れるために、屋根を南側を高くして、窓を設けています。
窓は当然トリプルガラスの樹脂サッシを計画し、夏の日射も有効に遮ることができるように考えています。

夏の日射を有効に遮るためには、窓の内側ではなく、窓の外側に日よけを設けるのが有効です。
簾のようなものも有効ですが、必要に応じて開け閉めする利便性を考えると、外付けのロールブラインドがコストパフォーマンスの良い選択になります。

日射を有効活用できる空間のある住まいですが、断熱性能が低いと室内の上下の温度差が大きくなり、快適ではありません。
必要十分な断熱性能を持たせることで、室内の上下温度差を小さくして、快適にすごせるように配慮しています。

また、積雪が多く、雪が沢山積もった状態でも地震に耐えられるようにする必要がある雪国で、このような空間をつくるときは構造的な配慮も欠かせません。
基本設計段階から、構造の検討をしながら快適で安全に過ごせる住まいになるように心がけています。

敷地と住まい手の要望に合わせて設計する住まいなので、沢山のやりとりをして判断を積み重ねながら進んでいきます。
12月の中旬にスタートした設計も、基本設計図面をまとめ、概算見積もりをして予算把握をする段階になりました。

概算見積もりを作成してくださる施工者と協力しながら、住まい手の幸せのために取り組んでいきたいと思います。