これが漆の木。大学の時の先輩が京都の漆屋さんにいるので、先日京都に行った時に工場や漆を塗った建物の事例を見学してきました。訪ねた漆屋さんの名前は佐藤喜代松商店さんです。
漆は、漆の木の樹皮にこのよう傷をつけ、染み出た樹液を掻き取って集めるそうです。一本の漆の木からは、年間約150mlの漆しか取れないそうです。漆の木から取れた漆の原液(樹液)をブレンドし、精製し、製品にするのが漆屋さん。
これは内外の木部に漆を塗った漆器屋さん。京都では普通の住宅街の中に、このようなお店があったりします。建築の中での漆の使い道は、床の間廻り位しか思いつかないと言ったら、事例を見せに連れて来てくれました。
漆器屋の床の間廻りの様子です。通常京都では、床框(床の間の段差部分にある木の部材)のみに漆を塗り、柱や天井は白木のままにすることが多いようです。一方建物の木部全体に漆を塗るのは北陸だそうです。このお店は京都としては珍しい漆の使い方をしているようです。
床框は朱溜塗り(下地に朱を塗って、その上に着色していない漆を塗った仕上げ)、柱や天井板は拭き漆の仕上げです。拭き漆をした木部は、朱溜塗りの部分と違和感無く溶け込んでいて、なかなか印象がよかったです。木部全体に漆を塗るのもありだなと思いました。
今工事中の現場で、この拭き漆仕上げを床の間の地板と家具類にする予定です。今から楽しみにしています。