人間は凄い

６歳未満児が初めて脳死と判定され、両親はわが子の臓器提供を承諾した。
ニュースで報じられた時、人間ってなんと凄いんだろう、と体が震えるほど感動した。

脳死と判定されても、まだ息子さんの体の中には、暖かい血が流れているはずだ。
頬ずりすれば、まだほっぺたから暖かく柔らかな体温が伝わってくるはずだ。
人工呼吸器でもいい、このまま生き続けてほしいと何度も願ったに違いない。

そんな愛息の、まだ温もりを残している手を握りながら、ご両親は決断したのだろう。
「この子が、誰かの体の中の一部となって生き続けるなら・・・」

日本移植ネットワークを通じて、ご両親はコメントで、「息子を誇りに思う」と述べた。
そこに至る、ご両親の心の葛藤を思うとき、言葉が出ない。

心臓、肝臓、二つの腎臓が取り出されて、１０歳未満の女児２人、６０代の女性に移植された。
息子さんは、３人の命を救って生き続ける・・・

翻ってわが身。
70年近くも生きてきて、やがて消える命。

「お前は献体登録して、死後、誰かのためにその臓器を提供する覚悟はあるか」と
自問してみるが、結論は出ない・・・・・・。

「アリさま」は、意気地なしだが、このご両親は凄い。