三日月ノート

日々の出来事を気ままに。

ホラーにトライ:Night of the Living Dead

2013年05月09日 13時53分29秒 | 映画
ホラー映画はあまり見ないジャンルなのですが、自分の知らない分野には新しい発見があったりするもので、今回はホラー入門編として友人から紹介してもらった映画を見てみました。

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(原題: Night of the Living Dead)(1968年、アメリカ)

一言で言ってしまえば、死んだ人間が生き返って、生きた人間を殺して食べるというゾンビ映画なのですが、何故か「自分の身に起きてもおかしくないのでは?」という錯覚を起こさせる映画でした。

また、単純なストーリーの中で、人間のエゴや保身などがまざまざと浮き彫りにされていて、単なる「ゾンビ映画」ではなくなっています。

一軒家に逃げ込んだ男女6人(うち子供1人)が立てこもり、周囲を取り囲むゾンビからあの手この手で身を守ろうとするのですが、それと同時に、同じ屋根の下にいる者同士が見せる極限状態の人間性もまた、観る者の心に緊張感を与えてゆきます。

その閉ざされた空間に追い詰められた中で、かろうじてラジオやTVによって客観的に自分たちの置かれている状況を知るという部分は、ほんの少しでも外界と接触することは、生きる力を持ちこたえさせるために重要なんだなぁと再認識させられました。

ラストシーンですが・・・。
普通なら、「やった!助けが来た!!助かった~!!」と、ホッと安堵の溜息とともに「The END」となりそうなところですが、「そう来たか・・・」という終わりかた。
個人的には良かったです。

死んだ人間がどうして生き返ってしまったのかという理由、それを隠ぺいしようとする部分なども出てきたり、細部まで手を抜かない丁寧な作りは、洋画・邦画問わず、この時代の映画のいいところだなぁと思います。

・・・一つだけ後悔したのは、ゾンビたちが人肉をむさぼり喰うシーンのときに、ちょうどゴハンを食べていたということ。
サスガにいい気持ちはしませんでした。。。(逆に言うと、それもまたリアルだったということでしょうか・・・)


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映画:飢餓海峡

2013年05月03日 10時43分07秒 | 映画
TSUTAYAで他に2本一緒に借りたのですが、最近、気持ちがドンヨリしていたので、観るのが延び延びになっていた作品です・・・。

公開は1965年。
映画の最初に「東映W106方式」と出てきたので何かと思い調べてみると、16mmで撮影したフィルム映像を35mmに変換したものとのことでした。

映画に限らずフィルムで写真を撮影したことのあるかたなら簡単に想像がつくと思いますが、16mm→35mmとすることで、画面の粒子が荒くなり、より殺伐とした雰囲気を醸し出すことに成功しているようでした。

また、3時間という長い作品ですが、全く長さを感じさせず最後まで引き込まれるように観ることができました。
こういう作品、最近ではなかなか見ないですね。

観終わって最初に浮かんだのは「業(ごう)」という言葉でしょうか。キリスト教でいう「原罪」かもしれません。

戦後、極貧の生活を経験し、人生のある一瞬だけ交差した男女のそれぞれの人生を中心に物語が進みます。
男は過去の自分を消し去り、新たな人生を作り上げることでなんとか生きて行こうとする一方で、女は執念にも似た思いで男を思い続け、10年の歳月を超えてまでその幻影を追い続ける。

男にとって女は自分が消し去りたい過去に住む者であり、今の自分を生かすためにはあってはならない存在。
しかし女にとっては、男は自分をここまで生かしてくれた恩人であり、消してしまうことなどできない存在。

その二人が再会したとき、悲劇が起きてしまう。

自分では選ぶことのできない「生まれ」。
幼いころに育った環境。
ちょっとしたきっかけで思いもよらぬ方向に進んでいく人生。
社会の固定概念や一般的な善悪の基準。

起きた物事の一つ一つを善悪で区切ることは簡単だと思います。
でも、どうしてそれが起きてしまったのかということに思いを馳せるとき、単に善悪として簡単に切り分けていいのだろうかと疑問が起こります。

人間の生きることの哀しさが、最初から最後まで流れている映画でした。

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映画『小さな命が呼ぶとき(Extraordinary Measures)』

2013年03月02日 15時06分30秒 | 映画
DVDを借りて観ました。

難病の子供2人を持つエリートサラリーマンが子供を救うために会社を辞め、その病気の第一人者である研究者に頼み込み、なんとかして新薬を開発しようと奔走する、という実話を元にした映画です。

子供を救いたいという父親の思い。

自分の研究にプライドを持ち、誰にも邪魔されずに独自の研究を続けたい研究者。

法規制と企業倫理を守りつつ、利潤を追求する製薬会社。

「患者を救うための新薬開発」という共通の目標があっても、それぞれの持つエゴがぶつかり合い、なかなか物事が進展しません。

それでも徐々に各々が譲るべきところは譲り、一つの目的を達成するところへ行きつきます。

原題は「Extraordinary Measures」で、「非常手段」とか「究極の判断」とか、そんな意味でしょうか。

そしてこの映画の中にはExtraordinary measuresがいくつも登場します。

全体を通してとても地味な映画ですが、家族愛、人間愛、難しい状況の中での決断など、普段の生活でもこういう場面ってあるよなぁと思わせられるところの多い映画でした。

・・・それにしても、この邦題、もっと何とかならないんでしょうかね


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