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嘆願運動の皆様へ VEPTRベプター解説 No.4 リスクとベネフィット

2008-05-05 21:40:40 | VEPTR COM JAPAN
FDAのサイトには誰でもがアクセスすることが可能であり、そこから様々な最新の
具体的な情報を入手することが可能です。ここでは、VEPTRを人道的医療機器として
承認した際に公開したSummary of Safety and Probable Benefitという資料から、
一部を和訳(意訳)してみました。
オリジナルは、下記のURLから見ることができます
  http://www.fda.gov/cdrh/ode/H030009sum.html

わかりやすくするために、かなり意訳しています。正確な和訳ではない心配もあり
ますので、オリジナル英文も一緒に並べます。

VI. ALTERNATIVE PRACTICES AND PROCEDURES  VEPTRに代わりうる治療方法
Currently available practices and procedures include both surgical and
non-surgical treatments. Non-surgical treatment consists of long-term
ventilator support; however, without surgery this condition is frequently
terminal. Surgical treatments for chest wall defects include use of sheets
of artificial materials, and,if the patient is old enough, sections of
autograft or allograft ribs. Treatment for fused ribs requires splitting
the fused ribs and inserting a spacer to prevent the ribs from refusing.
Treatment of patients with underdeveloped chests involves splitting the
sternum and inserting a spacer to hold it apart. Progressive scoliosis is
currently treated by surgical fusion and instrumentation.

現時点で保存療法/手術も含めて、VEPTR手術に代わりうる方法は、保存療法として
は、長期にわたる人工呼吸機による呼吸管理がある。しかし、手術をしない場合
この状態は多くの場合、患者の死亡により終了する。
胸壁欠損に対する手術法は人工材料で作られたシートの使用、あるいは、もし患者
が十分な年齢に達しているのであれば、他人骨(肋骨)を移植する。癒合した肋骨に
対しては、その癒合部分を切除し、再びその部分が接着しないように間にスペーサー
をいれる方法がある。進行性の側彎症の場合は、インスツルメンテーションを用い
て脊柱固定術を行う。

XI. RISK PROBABLE BENEFIT ANALYSIS
リスクと得られる可能性のあるベネフィットに関する分析
TIS is a life threatening condition that affects a small population of
children (less than 4,000 cases per year in the United States). TIS can be
seen in any three (3) of the following general diagnostic categories:

TIS(胸郭不全症候群)は、患者数は少ないが、幼児の生命を脅かす症状を示す。
(米国内で年間4000人以下に発症)。
TISは次に示す病気の患者において見られることがある。

*Flail Chest Syndrome     フェイルチェスト症候群
*Rib fusion and scoliosis     肋骨癒合や側弯症
*Hypoplastic thorax syndrome  胸郭形成不全症候群

The patient population of this study is a heterogeneous mixture with
respect to underlying cause (genetic, congenital, or acquired), severity of
symptoms, age, individual patient growth pattern, overall health and other
medical conditions concurrent with TIS.

この臨床試験に参加した患者は、様々な原因(遺伝性、先天性、あるいは後天的な
発症)をもち、重篤な症状であり、年齢もまちまちであり、患者の成長パターンも
まちまちであり、全体的健康状態や併発する病気もまちまちであった。

Each child with TIS presents a unique combination of factors that dictate
the breadth of treatment required. Surgical treatments for these patients
have included in situ spinal fusion, implantation of plastic sheets,
artificial ribs from cadaver donor ribs or autografi rib (rib sections
split from contralateral ribs). However, these are static treatments and
are not adaptable as the child grows.

TISを有するこどもたちは、それぞれが特異的な要因を内包しており、必要とする
治療方法も幅の広いものであった。これらの患者に対しての手術治療としては、
術中での脊椎固定、プラスチックシートの挿入、死体骨からの肋骨移植、患者自身
の反対側から切除した肋骨の移植などがある。しかし、それらは(骨成長が終わり)
症状が固定した患者用であって、これから身長がのびなければならないこども用と
しては用いられるべきではない。

Treatment with the VEPTR device has been shown to maintain or improve the
AVR in 92.0% of the patients, and the patient survival rate in the VEPTR
clinical trial was 95. 1%, whereas this condition is frequently terminal
with non-surgical treatment. In addition, the ability of the VEPTR to be
expanded allows growth of the thoracic spine and lungs while controlling
severe scoliosis.

VEPTRによる治療は、呼吸機能で患者の92%に改善や維持を示し、臨床試験における
患者の生命維持率は95.1%であった。これらの患者は、もし手術を受けなければしば
しば死亡に繋がる状態の患者においてである。加えて、VEPTRの伸張性は、胸郭脊椎
と肺を成長させうるだけの能力をもち、重度な側弯症をコントロールすることがで
きた。

Depending on the presenting condition of the patient, any number of risks
may be associated with the implantation and maintenance of the VEPTR
device. The adverse events experienced in the VEPTR clinical study were
presented in Table 6. Consideration also needs to be given to the age of
the patient at initial implantation, the numerous other congenital
anomalies these patients can have, and their activity levels.

患者の有する状態によっては、VEPTRデバイスを体内に取り付けることに関連した
リスクはありえる。臨床試験でのVEPTRによる有害事象は、表6に示した。
(和訳者注 : 今回の和訳では表6は提示していません)
このような患者では様々な他の先天的な疾患を有していることがあり、生活活動
レベルなども含めて、初回取り付け時の患者の年齢というものを考慮する必要がある。

In addition, there are numerous factors that predispose these patients to
wound infections, and the use of a prophylactic pre-operative and
post-operative antibiotic regime and protective bandages at the operative
site may decrease the wound infection rate.
The probable benefits associated with patients implanted with the VEPTR
device outweigh the risks present for this patient population.

また、これらの患者は手術創での感染にかかりやすい多くの要因を持っているので
予防のために術前後に抗生剤を使用したり、手術部位をバンデージで保護すること
で、感染率を減少させうるかもしれない。
VEPTRデバイスで手術した患者が得られるベネフィットは、これらの患者が有する
リスクを上回るものである。

XII. PANEL RECOMMENDATION パネルよりのリコメンデーション
This HDE was not taken to a meeting of the Orthopedics and Rehabilitation
Devices Panel because CDRH has determined that the safety profile for the
VEPTR device has been adequately characterized through pre-clinical and
clinical testing for use in this patient population.
当該人道的医療機器においては、整形外科専門医師によるパネルミーティングは
開催しなかった。なぜならば、FDAはVEPTRベプターデバイスについては、適応と
する患者に対する臨床試験結果と、前臨床試験結果より、十分に安全なデバイス
であるということが確認できた為である。
(訳者august03よりの備考:FDA審査では、審査官は必要に応じて臨床専門医師に
依頼して製品を認可すべきかどうかについて討議してもらう「パネルミーティング」
というものを招集します。しかし、このVEPTRを認可するにあたっては、FDA審査側
は、そのような専門協議をへなくても、臨床試験結果と前臨床試験結果から十分に
VEPTRの安全性が確認できたので、協議会は不要であったことがここに述べられています)

XIII. CDRH DECISION   FDA審査部門の決定
CDRH has determined that, based on the data submitted in the HDE, that the
Vertical Expandable Prosthetic Titanium Rib (VEPTR) will not expose
patients to an unreasonable or significant risk or illness or injury, and
the probable benefit to health from using the device outweighs the risks of
illness or injury, and issued an approval order on August 24,2004.

FDA医療機器審査部門は、人道的医療機器として申請された当該VEPTRの申請データ
をもととして、VEPTRが、重篤なリスクや疾病や傷害を患者に与えることは考えられず、
そのようなリスクを超える合理的なベネフィットが患者に与えられることが考え
うることを認め、2004年8月24日に米国内での販売を認める決定を下した。

(当該シリーズ No5に続きます)

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