~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

先天性側わん症治療器具 VEPTR(ベプター)とは

2007-10-21 13:11:06 | VEPTR COM JAPAN
特発性側弯症は、思春期に発症する原因不明の脊柱が彎曲する病気です。
これに対して、生まれたときから脊柱(椎体)に変形をもつのが先天性側弯症です。
特発性側弯症は、原因が不明であるがゆえに、そして思春期の女の子に発症する
率が高いために、本人にとって精神的負担がとても大きな病気です。周囲に隠した
いという気持ち、自分や親(母親)を恨めしく思う気持ち、姿(スタイル)に対する
コンプレックスから、自分の心のなかに閉じこもりがちになります。周囲の理解と
そして、なによりも誰よりも、支えとなってくれる「友達」の存在が、治療のはげ
みになるでしょう。治療は、変形の度合いにより装具療法を行い、装具が効果を
持たない場合は、手術により治療します。

一方、先天性側弯症は原因がはっきりしています。胸腰椎部の椎体の一部または
複数個が、正常な形.....いわゆる四角形を形成せずに、菱形、三角となって
しまったことから、その変形した椎体を中心として、成長するにつれて側弯カーブ
が強くなっていきます。装具はほとんど効果がなく、根本的治療には手術が必要
です。思春期特発性側弯症が原因で生命を脅かされることはほとんどありませんが
、先天性側弯症のこどもは、変形が進むにつれて、肺が大きくなるスペースを失い
呼吸器系疾患を頻回とわずらうようになり、ちょっした風邪から肺炎を引き起こす
など、あるいは、自発呼吸ができずに、人工呼吸器を必要とするなどの症状となり
重症患者は死亡することもまれではありません。

このブログは、もともとはVEPTRベプターを多くの人たちに知っていただきたいと考
えて始めたものですが、国内における特発性側弯症をめぐる情報環境が不十分だと
感じたことから、特発性側弯症に関する情報発信に集中してきました。
しかし、状況がまた変わってきたために、このブログ内でもあらためて先天性側弯
症とその治療機器であるVEPTR(ベプター)についての記事も書いていくことにしまし
た。


VEPTR ....ベプター と呼ばれています.....について説明してみます。
ちょっと専門用語が多いかもしれませんが、でも、私はできるだけ医学の専門性を
維持して、正確な情報を皆さんに提供したいと思いますので、我慢して下さい。
医学に関する情報の発信は、興味本位ではなく、真摯に、科学性を持ち、そして
倫理と、患者の立場にたったものでなければならないと思っています。

VEPTRは、生後6ヶ月以上の骨格が未成熟な乳幼児・児童における胸郭不全症候群
(Thoracic Insufficiency Syndrome:TIS)を適応とします。胸郭不全症候群とは、
脊椎、肋骨、胸骨から構成される胸郭が正常な呼吸や肺の成長を支持てきない病態
と定義づけられ、遺伝性疾患であるジュヌ症候群や先天性側弯症等、さまざまな疾
患名で診断がなされていますが、TIS患者に共通するのは、胸郭を含む脊椎の強度の
変形または肋骨癒合がみられ、そのために内部にある肺の成長を阻害している、
もしくは将来的に阻害する可能性がある状態です。TIS患者において胸郭変形の進行
を止めることができない場合は、やがて呼吸困難が生じ、放置すればその生命維持
を人工呼吸器に依存することとなり、最終的には死亡に至ります。すなわち、TISは
肺呼吸という生命維持に直結する機能を阻害する病態であるといえます。
現状においては、TIS患者に対して呼吸困難や呼吸障害がおきたときに人工呼吸器等
の補助呼吸が行われていますが、これは当然のことですが根治療法ではなく対症療
法にすぎません。日本で行われている積極療法としては、外科的治療法として側弯
症用インストゥルメンテーションで変形した脊椎の矯正固定術があります。でも、
この脊椎固定術では変形の進行をとどめるために脊椎自体を骨癒合するという処置
をするため、成長期にある患者においてはやはり一時的な処置でしかありえませ
ん。

VEPTRは、変形した胸郭に対し体軸方向に取り付けることによって、胸郭を伸長また
は拡張させ、内部にある肺が成長および機能できる状態にする機器ですが、最大の
特徴は、患者の成長に合わせて機器の延長が可能であることです。TIS患者専用に開
発されたVEPTRは、個々の患者の解剖学的条件に応じてその形状を組み合わせること
ができることはもちろん、固定術とは異なり脊椎自体を骨癒合させることなく、胸
郭と脊椎の変形を矯正することが可能です。また、一度埋植した本品は、ごくわず
かな皮切のみで成長に応じて延長させることが可能ですので、その侵襲性は低く、
患者にかかる負担は小さくなります。

VEPTRの最大の使用価値は、これまで根治療法の存在しなかった致死的な胸郭不全症
候群に対して、生命に直結する肺呼吸障害というリスクを低減させ、その生命維持
を可能とする治療方法を提供できるという点です。また、胸郭の変形を矯正するこ
とで患者のQOLを改善し、障害を持ちながらもその児なりによりよい人生を得られる
チャンスを提供できることもその使用価値のひとつです。


VEPTR.COM.JAPAN
http://sokuwan.googlepages.com/home

先天性側弯症のこどもの広場
http://bbs11.fc2.com/php/e.php/SOKUWAN_VEPTR/

(august03より : このVEPTRデバイスは、まだ厚生労働省により認可されていない
ため、健康保険による治療ができず、数百万円の自己負担による治療しかいまは
道がありません。皆さんのご協力をお願いします)


下記のURLにて
[PDF]資料7により、厚生労働省のワーキンググループによる検討報告書を
入手することができます
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GGIH_jaJP223JP223&q=%e5%81%b4%e5%bc%af%e7%97%87%e3%80%80%e7%97%87%e4%be%8b%e6%95%b0

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