イラク国内の安全保障がトルコ軍によって脅かされているにも関わらず、米国が明確な態度を示さないので、イラクとしては米国との間で結んだ安全保障防衛条約の破棄を考えていることが明らかになりました。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

安保理に提訴なら、「米国のイスラム国支援」が誰の目にも鮮明に

イラク、トルコ陸軍の侵入を黙認する米国に苛立つ

イラク国会の安全保障防衛委員会が、米国との間で締結している安全保障条約を破棄する動きに出ている。これは、米国政府がイラク国内で現在起きている安全保障上の危機に対応ができないからだと、安全保障防衛委員会メンバーは語った。
Iraq Demands Cancellation of US Security Agreement

上記オリジナル記事の写真は、イラクに侵入・占領したトルコ陸軍の車列です。トルコ陸軍のイラク北部侵入に対して、米国が黙認・背後で支援していることにより、事実上の占領状態になっており、それにイラクが苛立っているのです。

以下の動画はトルコ軍のイラク占領動画です。

※イスラム国を支援する為にイラクへ侵攻したトルコ陸軍

 

ビデオトルコはISIS beheadersを助けるためにイラクに侵入します

 2015/12/08 に公開

※イラクのイスラム国陣地に陣取ったトルコ陸軍救援部隊

 ビデオイラクのトルコ陸軍のISISベース

2015/12/05 に公開

イラクのトルコの侵攻を支援クルド宣伝ビデオ

報道のポイント

イラク国内の安全保障がトルコ軍によって脅かされているにも関わらず、米国が明確な態度を示さないので、イラクとしては米国との間で結んだ安全保障防衛条約の破棄を考えている。

イラク安全保障防衛委員会のメンバーである Hamid al-Mutlaq は
「米国はイラクとの安保条約を真剣に遵守しようとしておらず、イラク政府および国会は、米国との安保条約破棄を米国に要求しようとしている。イラクは今後、自分達の息子たちによって防衛する。トルコ軍は聖なる我が国土から撤退しなければならない。トルコ軍の撤退を実現させるために国連安全保障理事会に訴える
と述べた。

まずイラクは、トルコおよびイスラム国支援をしている米国に再考を促す。同時並行的に、安保理にトルコ軍の侵攻について提訴する。安保理でトルコ軍の撤退が決まらない場合は、ロシアとの共同軍事行動を取って、トルコ軍をイラク領土から排除するつもりです。

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イラクが安保理に提訴すれば、「米国のIS支援」は国際問題に

(1)米軍がシリア国内に設置した米国空軍基地。もちろんシリア政府と国交はないので、米国の国際法違反であり、他国への侵略、占領となります。

(2)トルコ軍がイラク国内に設置したトルコ空軍基地。もちろんイラク政府の許可を得ていないので、トルコの国際法違反であり、他国への侵略・占領となります。

(3)イラク北部の都市モスル。トルコ陸軍が侵入した場所です。もちろんイラク政府の許可を得ていないので、トルコの国際法違反であり、他国への侵略・占領となります。ここから南下するとイラクの首都バグダッドに至ります。赤枠がバグダッドです。

イラクが国連安保理に提訴すれば、ロシアが衛星写真や航空写真による非常に詳細な大量の証拠を提出し、米国が仲直りをしたと主張しているイランも証拠を提出することになり、大きな国際問題となります。

大国の中国もイラクの主張に賛同するでしょう。国連安保理で審議されることにより、米国のイスラム国支援の構図が誰の目にも鮮明になるはず。サウジアラビアはイスラム国の支援国であり、イスラエルはイスラム国の石油の輸入国の1つ。米国は今まで舞台裏に隠れていましたが、こうなってくるとどうするのか?見ものです。

イラクが米国から離脱すれば米国民は怒るはず。大きな戦費を費やし、死んだ兵士の血で確保したイラクを外交で失うことになるのです。米国にとって重要な中近東の一角を失うだけでなく、イラクがロシアの同盟国になってしまうのですから。

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