米軍、イラン精鋭組織の司令官殺害 イランは「暴挙」
- 2020/1/3 12:46 (2020/1/3 14:06更新)
![トランプ米政権はイランのソレイマニ司令官を敵視してきた=ロイター](https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXMZO5402143003012020MM8002-PN1-3.jpg?auto=format%2Ccompress&ch=Width%2CDPR&fit=max&ixlib=java-1.2.0&s=4c68e480b5559c55a4646ff76677fc73)
トランプ米政権はイランのソレイマニ司令官を敵視してきた=ロイター
【ワシントン=中村亮、ドバイ=岐部秀光】米軍は3日、イラク首都バグダッドをミサイルにより空爆し、その場にいたイラン革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」のカセム・ソレイマニ司令官を殺害した。米国とイランの双方が確認した。イランのザリフ外相は「危険で愚かな暴挙」と反発し報復を示唆した。米トランプ政権誕生で対立が深まった米イラン間の緊張は、一気に高まりそうだ。
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殺害は米国のトランプ大統領の指示を受けた措置で米国防総省は「海外の米国人を守るためだ」と説明した。ソレイマニ氏が中東地域で米外交官や米兵を標的に攻撃を企てたと主張した。2019年12月31日にイラクの米大使館襲撃も同氏が承認していたと指摘。米国務省によると、イラクでは19年秋以降に駐留米軍などを標的にした攻撃が10回以上あったが、これらもソレイマニ氏が指揮したものだという。
一方で国防総省は空爆について「将来的なイランによる攻撃計画を抑止するためだ」と指摘し、防御的措置だと説明した。コッズ部隊はイランの対外工作を担う組織。米国はイランの中東地域での影響力拡大に向けた中心的役割を担っているとみなし、ソレイマニ氏を敵視してきた。
イランのザリフ外相はツイッターで「暗殺がもたらす事態の責任はすべて米国にある」と警告し、報復を検討している立場を強調した。イランの国営テレビはソレイマニ氏が「殉死した」と速報した。
イラクのイスラム教シーア派の親イラン武装勢力ハシェド・アルシャービによると3日にバグダッド国際空港へのミサイル攻撃があり、ソレイマニ氏のほか、同勢力の幹部アブマハディ・ムハンデス氏も死亡した。
ソレイマニ氏の殺害はトランプ政権のイラン政策を転換させるものだ。トランプ氏は19年6月に米国の無人機が撃墜された際にイランへの空爆を直前で中止。9月に起きたサウジアラビアの石油施設への攻撃をイランが実行したと断定したが、軍事攻撃は見送っていた。
革命防衛隊はイランの最高指導者であるハメネイ師の直属組織で、コッズ部隊はその中核を占める。イラン強硬派が米国に対する報復を主張するのは確実だ。仮にイランや同国傘下の武装組織の攻撃で米国に死傷者が出れば、対立は制御不能の軍事衝突に陥るリスクもある。
すでに不安定な状況に陥っているイラクの行方も一段と不透明になる。中東情勢がさらに緊迫するのは避けられない。
日本の主権揺るがすゴーン被告の逃亡
- 2020/1/3付
- 日本経済新聞 朝刊
まさに驚くべき事態というほかない。特別背任などの罪で起訴され、裁判を控え保釈中だった日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告が日本から秘密裏に出国し、レバノンに逃亡した。
元会長は「海外渡航の禁止」を条件に保釈を認められており、東京地裁は保釈を取り消した。
ゴーン元会長はレバノンで日本の司法などを批判し、「裁判から逃れたのではなく、不公平さと政治的な迫害から解き放たれた」などとする声明を出した。…
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