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アメリカとイランの対立が激化していますね。一時的に戦争の緊張は緩和したものの、予断を許さない状況にあると言えるでしょう。ところで、私は今回の一連の事件を見ていて幼少期のあることを思い出しました。

その時ちょうど、テレビでアメリカとイラクかイランかどちらかの戦争について伝えているニュースが放送されていました。純真だった?頃の私は親に無邪気にこう尋ねたのです。

「これはどっちが悪いの?」

すると、私の親はこう答えました。

「国と国同士の間の戦争にどっちが悪いはないんだよ」

しかし、今私が同じことを聞かれたら、断固こう答えるでしょう。

アメリカとイスラエルが悪い

I wrote decades ago that those who call themselves “supporters of Israel” are in reality supporters of its moral degeneration and probable ultimate destruction.

(私は数十年前に、「イスラエルの支持者」だと言う人々は、実際には道徳的堕落と究極​​の破壊の支持者であると書きました。)

ノーム・チョムスキー

日本のメディアはぜ~んぶ一緒

新年早々の1月3日、アメリカ軍がイランのソレイマニ司令官を殺害し、国際情勢の緊張が一気に高まりました。日本のメディアは殺害というアメリカのやり方に対し批判的な見方を示しているようですが、そもそも「なぜアメリカはそれほどイランを敵視しているのか」と言う部分に関する明確な言及はほとんどされていません。

とあるNHKの記事では・・

イランに対して、なぜそこまでするんですか?

そうだよね。トランプ大統領は何の目的でイランを追い詰めているのか。一体どういう勝算があって、どういうゴールを描いてやってるのかは、ちぐはぐしていて、よくわからない部分があるんです。

分からないんですか。

アメリカ VS. イラン(前編) なぜ対立するの?

・・。でもね、これは嘘です。分からないんじゃなくて、「言えない」がメディアの姿の正しい捉え方なのです。なぜかというと、日本の大手メディアは右も左もすべて一緒、親イスラエルだからです。

イスラエル支配の実態

「イスラエル・ロビー」と言う言葉がありますが、この私的な政治集団が米政界に対し絶大な権力を有しているのは、周知の事実です。

AIPAC(米国イスラエル公共問題委員会)を中心とする米国イスラエル・ロビーの影響力の強さは、「前例がない」とまで形容されてきた。

SYNODOS

ですから今回の件から、イスラエルを排除するのは、主人公の出てこない物語を読むようなものなものです。しかし、事実メディアや著名言論人はイスラエルのイの字すら伝えようとしません。そして、当の本人は目論見通りにこのご様子。

イスラエルはイランがソレイマニ司令官の殺害への報復としてアメリカの同盟国イスラエルを攻撃すると警告していることに神経をとがらせています。

ネタニヤフ首相は5日、閣議で「ソレイマニ司令官は中東各地でテロ計画を立案し実行してきた。今回、トランプ大統領が断固たる行動を取ってくれたことに感謝し、全面的に支援する」と述べました。

一方でネタニヤフ首相は、ふだんは強調しているイランへの強硬姿勢は一切口にせず、関係閣僚や与党議員にはこの問題でかん口令を敷いています。

NHK NEWS WEB

だんまりで責任逃れです。そう言えば、今年の4月にこのような出来事もありましたね。

盲目のトランプ米大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相のいいように先導されている――。米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)がそんな風刺画を掲載したところ、「反ユダヤ主義だ」との批判が相次ぎ、2度にわたり謝罪に追い込まれる事態になった。

朝日新聞デジタル

メディアや著名人はイスラエルが怖くて仕方がない、これはまさに世界のタブーなのです。

そう言えば、トランプを阿保だとか、精神異常だと言っていた人も沈黙ですね。彼らはなんなんでしょう。今回こそ、こう言う最高のチャンスじゃないですかね。

「だからいつも言ってたじゃないか、あいつは危険だって!」

なんで急に言えなくなるんですかね?

誰が本当のことを教えてくれるのか

では、「本当のこと」を語ってくれる権威ある人物は、ただの一人も存在しないのでしょうか。いえ、私は一人だけ知っています。このタブーに挑戦する勇気のある偉人を。それがマサチューセッツ工科大学名誉教授で言語哲学者のノーム・チョムスキーさんです。

彼はその著作『誰が世界を支配しているのか』の中で、支配者イスラエルの悪行ぶりを徹底的に叩いています。

自称「世界一倫理的な軍隊」であるイスラエル軍がどれほど立派なことをしたかは、一二分に報告されている。駐米イスラエル大使に言わせれば「ノーベル平和賞もの」だ。七月末までに殺されたパレスチナ人は一五〇〇人にのぼり、二〇〇八~九年のイスラエル軍による犯罪的なガザ攻撃「キャスト・レッド作戦」より多い。死者の七割は民間人で、数百人は女性や子どもだった。イスラエルの民間人三人も死亡した。

他にもたくさんありますが、紹介は仕切れません。では、本題のイランに関する言及です。

米国とその同盟国は、何があってもまっとうな民主主義がアラブ世界に生まれることを阻止する考えだ。

なるほど、これだけでアメリカがイランを「悪の枢軸」と呼ぶ理由が、はっきりとわかりましたね。

そして、国際政治学者の高橋和夫さんは、『中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌』の中でこう書いています。

「本質的な意味での国家はイランだけだ」と肌で感じる。歴史的に成立した国家を、国家意識を持った国民が支える-いわゆる国民国家として成り立っているのは、イランただ一国と言ってもいい

1979年のイラン革命は、民衆が蜂起して親米政権を倒し、シーア派の最高指導者ホメネイ氏に権力を託したという出来事です。彼はその後に厳格なイスラム文化を規範としたようですが、いったい、それのどこが悪いと言うのでしょうか? アメリカ、イスラエル流の言い分は完全に出鱈目です。

纏めるとつまり、パレスチナ国民の支持を受けた安定的な本当の国家、イラン。これこそが、アメリカ、イスラエルの安全の脅威だという訳です。さて、もうこれでアメリカのイラン敵視の理由が完璧に分かりましたね。

本質は「弱いものいじめ」

ですから、お読みの方も薄々感づいていらっしゃると思いますが、この一連の出来事の本質はいじめです。私たちは国際ニュースを通じて弱い者いじめを見せられているのです。

NHKのニュース9では専門家がこう語っていました。

「イランは司令官を殺害されているので、もっと大きく報復したいはずだが、アメリカが強いために出来ない」

これはいじめですよね?

「気づかないふりをしていた」

先程のNHK教育のいじめの特集で、高校生がそう語っていたばかりです。

でも殺害されたスレイマニ氏はテロリストだったんじゃあって? そんなの嘘に決まってんじゃないですか。

スレイマニは軍人だが、彼のこの数年の活動の多くは、イラクやシリア、レバノンなどに対するイランの影響力を拡大したり、サウジやクウェートなどとの関係を改善するなど、外交官としての任務だった。

(中略)

しかし、さらに一歩踏み込んで考えると、イラン革命防衛隊の任務はシーア派を殺戮してきたISアルカイダと戦うことであり、防衛隊はテロ組織どころか逆に「テロ組織と戦う組織」だ。防衛隊のテロ指定自体がトランプ特有のお門違い策の一つだった。米国は覇権国だから、イラン防衛隊をテロ組織指定するお門違いな不正な策が世界的に黙認されてきた。

田中宇の国際ニュース解説

アメリカは歴史上数々の事件、大きなものではトンキン湾事件やイラク戦争で、大ウソつきであることを自ら暴露してしまいました。信じる方には、あなたは嘘つきの言うことを信用するのですか?という疑問の言葉しか思い浮かびません。

ハータミー大臣は5日日曜、テヘランでの儀式の中で、「隣国を訪問したある国の高級司令官に随行したその受け入れ国の関係者の暗殺を指示することは、国際法規への違反であり、歴史上、このような犯罪例は見られない」と語りました。

また、こうした犯罪行為に断固として対抗しなければ、傲慢な敵はこうした犯罪を繰り返すだろう」と強調しました。

イラン国防軍需相、「米のテロ行為の責任は全世界にある」

ですから、彼の言い分はよくわかります。「いじめはなかった」黙認ではなく、一緒に戦えと彼は言いたいのでしょう。さらに彼はこうも語っています。

さらに、ソレイマーニー司令官が抵抗の戦線にて戦い、テロ組織ISISを消滅させたことに触れ、「ISISは消滅する予定ではなかった。それはアメリカがこの組織を結成し、長期間に地域に駐留させようとしたからだ。だが、抵抗勢力はこの世界覇権主義の陰謀を見事に退け、それを失敗に追い込んだ」と語りました。

ISISの創設者はアメリカ、もはやこれも事実として確定的であり、それが加わることにより状況は、まさに「醜悪」以外の何物でもなくなるのです。

支配される者、されない者

私たちは敗戦後、アメリカ、イスラエルからの支配を甘受し、今の豊かさと幸せを手に入れました。しかし、イランの民衆はその強い宗教的信念からそれをはねのけたため、今の不条理な状況に置かれていると言えます。

私たちは彼らに比べて賢い選択をしたと言えるでしょう。しかし、身も心もすべて従っていいのか大きな疑問が残るというのが、ここ数年この分野を探ってきて強く思うことです。

イランの権力者は本当に愚かで邪悪なのでしょうか? 私にはどうもそうは思えません。民衆が選んだのであれば、それは本当の指導者であるはずです。少なくとも、私たちの指導者は自分たちで選んだ人達ではありません。

究極なことを言えば、顔みたら分かるよね?って私は言いたいのです。念のために書きますけど、安倍首相のことじゃないですよ。

じゃあイランは正直者なのかって? いや、彼らも嘘つきです。なぜなら、「米国人を80人殺した」という大嘘で世界を騙したのですから。

イルナー通信によりますと、チョムスキー氏は4日土曜、アメリカの世論調査会社ギャラップの調査結果に触れ、「アメリカは他国との醜悪な対立により、今や世界平和にとって最大の脅威とみなされている」と述べています。

また、「アメリカ共和党は今や、強硬的な反逆者と化している」とし、「アメリカの政府関係者やアナリストなどの反イラン的なプロパガンダとは逆に、我々が求めている自由なメディアからは真実は報じられてこない」としました。

米言語学者チョムスキー氏、「米は世界の平和にとって最大の脅威」

知ることくらいは、最低限の人間的権利として、せめてもの反抗心として有していたい、私はそう願います。世界のタブーに挑戦し、その願いをかなえてくれる勇気あるチョムスキー氏は、まさに偉人と言っていい人物でしょう。

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