ヘンリー王子とメーガン妃 英王室はすべての称号・肩書きを剥奪すべき 英紙調査で9割が回答
著者:森 昌利
タグ: メーガン妃, ヘンリー王子, 森昌利, ロイヤルファミリー
世界を驚かせたヘンリー王子とメーガン妃の“引退宣言”から1年。英大衆紙はまたしても、2人が称号を維持すべきか、エリザベス女王は王子に英軍の名誉職を返すべきかなどについて意識調査を実施した。結果は今回も英国民の9割が夫妻に対して否定的な考えであることが判明。王子は軍務に強い思い入れがあるとされており、昨年3月には最後の軍行事を終えた車中で茫然自失の表情を浮かべている王子と、憤怒の表情を浮かべる妃の様子が話題となったこともある。
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英国民の大半はパトロンの辞退さえも希望
昨年1月に英国王室主要メンバーからの離脱を公表し、昨年3月末日に英国王室を離れたヘンリー王子とメーガン妃夫妻。夫妻は使用していないものの、現在もHRH(His Royal Highness/Her Royal Highness)の称号を保持している。また、王子の王位継承順位は6位のままで、夫妻は王室関連の慈善団体でパトロンを務め続けている状況だ。
英大衆紙「デイリー・エクスプレス」は今月15日から20日にかけて、夫妻に関する意識調査を実施。2万5974人から回答を得た。同紙は現地時間1月2日にも夫妻の称号剥奪のみを問うミニ調査を実施し、12時間で何と2万5488人が投票した結果は92%に当たる2万3506人が「YES(剥奪すべき)」だった。
今回の調査にも「ヘンリー王子とメーガン妃はHRHの称号を維持すべきか」との設問が登場。「NO(すべきではない)」は92%(2万3717人)、「YES(すべき)」は7%(1777人)、「分からない」は1%(293人)だった。やはり、英国民は依然として剥奪を強く望んでいるようだ。
「エリザベス女王はヘンリー王子に英軍名誉職を返すべきか」との設問では89%(2万2965人)が「NO(返す必要はない)」、9%(2205人)が「YES(返すべき)」を選択。「分からない」は2%(598人)だった。王子は王室を離れる際に「海兵隊元帥」「名誉航空司令官」などの軍関係の名誉職をすべて辞任している。10年に及ぶ軍隊経験を誇りにしているとされる王子だが、英国民は復帰に「ノー」を突き付けた格好だ。
また、「ヘンリー王子とメーガン妃は今後も慈善事業のパトロンを続けるべきか」との設問でも、90%(2万3184人)が「NO(続ける必要はない)」と回答。「YES(続けるべき)は7%(1841人)、「分からない」は3%(728人)だった。昨年の王室離脱時に行われた“メグジット”会談で、夫妻は王室に関連する慈善事業でパトロンとして活動を継続することが許された。しかし、「もはややってほしくない」という考えの英国民が大勢を占めている。
回答した人からは夫妻への辛辣な声も寄せられている。
「プライバシーを求めて(英王室を)去っていった2人は今、あらゆるメディアに登場し、関係を断った過去を利用して大金を得ている。偽善と強欲。肩書きをすべて削除してほしい」
「王位継承者からも外れるべき。彼らは女王と英国を侮辱した。2人の偽善的な詐欺師から、すべての肩書きやパトロン業務を剥奪してほしい」
「パトロンはここ(英国)にいるべきだ。彼らは米国に住んでいるし、お金を稼ぐのに忙しいのだろう」
調査の度に英国民の反発ぶりが明らかになる状況。ヘンリー王子とメーガン妃にはもう、英国での居場所がないのかもしれない。
(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)
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【写真】最後の軍行事からの帰りの車中 茫然自失のヘンリー王子と怒りの表情のメーガン妃
ヘンリー王子は政治に口を出したいなら称号返上を “親しい”王室作家が苦言
著者:森 昌利
アンジェラ・レヴィン氏といえば、2018年に上梓したヘンリー王子の自叙伝「Harry:A Biography of a Prince」の著者として知られる作家。王子と親交があることでも有名だが、そのレヴィン氏がこのほど、親しいからこその苦言を呈した。英紙の取材で、英王室の称号を放棄することへの決断を迫ったという。
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称号を保持したままでの経済活動は「できなければ、するべきでもない」と専門家
このほど英大衆紙「デイリー・エクスプレス」の取材に応じたレヴィン氏は、ヘンリー王子が米誌のインタビューで、1月6日に米ワシントンで起きた暴動に関する発言をしたことについて警鐘を鳴らした。この時、王子は「米国で民主主義が攻撃された。ソーシャルメディアを通じて組織が構成されました。これは暴力的な過激思想につながります」などと述べていた。
英王室は政治的中立の立場を保っており、王族が政治に関する発言をすることはタブーとされている。王室を離脱したとはいえ、こうした発言をした王子に対しレヴィン氏は「もしも彼(ヘンリー王子)が自由に米国内の問題に関する発言をしたいのなら、王室のすべての称号を放棄し、米国の市民権を得るべきです」と主張した。
確かに、王子は英王室の主要メンバーから“引退”して以降、公務や軍関連の役職から退いている。その一方で、現在も王位継承権は6位であり、エリザベス女王から授与された「サセックス公爵」の称号もしっかりと保持したまま。
称号を保持しているからこそ、「アーチウェル」という新しい慈善団体の発足や、夫妻が世界的企業の「ネットフリックス」や「スポティファイ」と契約を締結できたとレヴィン氏は考える。しかし同氏は、そうした“特権”を保持しながらの自由な経済活動は「できませんし、するべきでもありません」と主張する。
また王子といえば昨年、メーガン妃とともに出演したビデオメッセージで、米大統領選に関する発言をしたとして批判を受けた。王位を保持したままでの度重なる政治的発言は、“親しい”王室作家にとってもさすがに目に余るものだったのだろうか。
(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)
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【動画】ヘンリー王子とメーガン妃 米大統領選について発言し波紋を広げたビデオメッセージ 王室作家は発言を続けたいなら称号を放棄すべきと主張
英国で感染者激減ロックダウン効果 ワクチン接種急速に進み4月には日常取り戻せる見通しも
7月23日の東京五輪開会式まで半年を切ったが、新型コロナウイルスの感染拡大は収まらず、開催へさまざまな悲観論が出ている。昨年12月に新型コロナの変異種が確認され、感染が急拡大していた英国の森昌利通信員が国の現状を「見た」。
英国を襲った新型コロナの第2波は昨年末の12月29日、1日当たりの感染者数が8万1522人(英国政府公式サイト)を数え、死者数も1日1000人を超えた。政府は1月5日、昨年3月以来、2度目の全国的なロックダウン(都市封鎖)を実施。最短でも2月15日まで国民生活に厳しい規制が敷かれる。
ロックダウン下では同居する家族以外との面会は1回1人だけ。基本的に1日1回の運動目的以外、不要不急の外出は禁止だ。食料品や生活必需品を取り扱う店で買い出しを行う場合はマスクを着用し、2メートルのソーシャルディスタンスを保つ。
政府が容認する外出理由に「家庭内の虐待」という項目が設けられているが、抑制された生活でDV(家庭内暴力)の増加が深刻な問題となっていることが原因だ。しかし、厳しいロックダウン効果は確実に表れ、1月第4週現在では感染者数が最新1週間の1日平均で3万7535人まで落ち、死者数も1日平均599人まで下降した。
もう一つの明るいニュースはワクチン接種が急速に進んでいること。英高級紙「デイリー・テレグラフ」によると、1回目のワクチン接種者が先週だけで170万人を突破。このペースを続ければ、高齢者や基礎疾患を持つ1400万人の接種が3月中にも終了し、4月には普通の生活が取り戻せる見通しも出てきている。(英国・森昌利通信員)
ヘンリー王子とメーガン妃 “王室引退”からの活動は「どう考えてもやりすぎ」 PR専門家が苦言
著者:森 昌利
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ヘンリー王子とメーガン妃夫妻が自身のインスタグラムで英王室主要メンバーからの“引退”を表明してから1年、正式に離脱してから9か月が過ぎた。その間、米国に移住し15億円超とされる豪邸に暮らし始めたかと思えば、非公式自伝の出版に政治的発言、米動画配信大手「ネットフリックス」との巨額契約締結、“売名行為”と批判を浴びた米ロサンゼルス国立墓地訪問など、次々と話題を提供してきた。そしてこのほど、そんなヘンリー王子夫妻の1年に対し「どう考えてもやりすぎ」と指摘する人物が現れた。
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PR専門家にとって夫妻はこの1年の活動を「急ぎすぎた」印象
ヘンリー王子夫妻に苦言を呈したのは、PR専門家のニック・イーデ氏。英大衆紙「デイリー・エクスプレス」によると、メーガン妃がヘンリー王子と知り合う以前、英ロンドンで妃と仕事をともにしていた人物という。「エクスプレス」紙はこのほど、同氏がニュース専門チャンネル「スカイ・ニュース」との取材で語った内容を紹介している。
イーデ氏は開口一番で「もちろんセレブリティなら自叙伝を出版し、映画にも出演するでしょう。そうしたことが青写真として描かれていることは分かります」と語り、米国移住後の夫妻の活動に理解を示した。
ただ一方で、夫妻に対し「あらゆることを性急に進めている印象」も抱いたという。その理由については「メーガン妃は元Bクラスの女優で、ハリー(ヘンリー王子の愛称)は王室のメンバーだったことを覚えているでしょう。彼(ヘンリー王子)は政治活動家でなければ、彼女(メーガン妃)は人権活動家ではありません」と説明。まずは、2人が時間をかけて本質的な活動を積み重ねる必要があると指摘している。
王室離脱後の“実績”がまだ十分にない中で、自分たちの発言力や影響力を強めようとする2人の活動に危うさを感じているようだ。
“王室引退”後のヘンリー王子夫妻といえば、第一次世界大戦の終戦記念日(11月11日)に最も近い日曜日「リメンブランス・サンデー」に米ロサンゼルス国立墓地を訪問して戦没者を慰霊したものの、カメラマンを伴っていたことから“売名行為”と批判を浴びたことが記憶に新しい。こうした批判も、イーデ氏が指摘するように一歩一歩、地道に活動を積み重ねていれば避けられたのだろうか。
(イギリス・森昌利/Masatoshi Mori)
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【写真】ヘンリー王子とメーガン妃 「売名行為」と批判された墓参の様子 活動を急ぎすぎなければ批判を避けられた?