「生まれてくる子の肌の色について、彼(ヘンリー王子)の家族から懸念を示された」 米CBSテレビの番組のインタビューで、アフリカ系の血を引くメーガン妃に対し英王室が差別したかのような暴露発言が波紋を広げている。
一躍、悲劇のヒロインとなったメーガン妃だが、発言の信憑性に疑いが出始めると、以前から彼女を批判していた身内の言葉こそ信憑性があるとの声も。
こうなると、はたして誰の話が正しいのか。 【写真】真っ赤なドレスに身を包んだ「女優時代のメーガン妃」 ***
当初、メーガン妃の告発は、勇気ある発言という声が少なくなかったというのは、英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子氏だ。
「米国では特にそうでしたね。人気司会者でアフリカ系女性のオプラ・ウィンフリー氏ということもあり、ヒラリー・クリントン元国務長官や女子テニスのセリーナ・ウィリアムズ選手、歌手のビヨンセなど著名人からも彼女を応援する声があがりました。
米国で人種差別を公にすることは、水戸黄門の印籠を出すようなものですから」
家族のメーガン評
英国でも彼女を応援する声はあった。
「インタビューの放送直後のアンケートでは、若者の多くは王子夫妻に同情的でした。
もっとも、高齢者の多くは『ちょっと王室にいただけの嫁が、王室を引っかき回すなど無礼だ』といった声が半数以上を占めました。
そして、英国で彼女の発言の検証が始まると、徐々に世論は冷静になり、彼女の発言を客観的に見るようになったようです」
そこで注目されたのが、他ならぬメーガン妃のファミリーだった。
「メーガン妃には父と母、母親の異なる姉と兄がいます。
特に姉サマンサさんは、妹であるメーガン妃を『浅はかな成り上がり者』とし、『彼女は間違いなく、自己愛性パーソナリティ障害』、『彼女を王室に入れると後悔することになる』とまで発言。
兄トーマス・ジュニア氏はヘンリー王子に『メーガンは、あなたが思っているような女ではない』という手紙まで出したと報じられていました。
ロイヤルファミリーとなった妹に嫉妬して、そんなことを言い出したと思われていたのですが、今にして思えば当たっていると思うことが多いのです」
メーガンファミリーとは
改めて、彼女の家族を紹介しよう。
「メーガン妃の唯一の味方と言えるのが母のドリアさんです。メーガン妃とは一卵性親子と呼ばれるほど仲がよく、現在はロサンゼルス郊外の16億円と言われる豪邸で同居しています。
彼女の座右の銘とも言える言葉が『ミルクをタダで与えてはいけない』だそうです。自分を安売りしてはいけない、という意味ですから、タダではしゃべらないということかもしれません。
この教えを受けて育ったのがメーガン妃なのです」 母も一癖ありそうだ。
「父親のトーマス・マークル氏は、もともとハリウッドの照明技師でした。エミー賞のドラマ部門で受賞歴が2度あるという実力者です。
最初の結婚は20歳の時で、1男1女をもうけましたが、11年で破局。4年後に、彼のスタジオでパートをしていたドリアさんと再婚しました。
彼女との間に生まれたのがメーガン・マークルです。ただ彼女が6歳の時に離婚。その後、自己破産してメキシコへ行き、今はアメリカとの国境近くにいるそうです」
そして異母姉のサマンサ。
「メーガン妃より17歳年上の姉で、元々の名前はサマンサ・グラントでしたが、メーガンがヘンリー王子と婚約した17年に、サマンサ・マークルに戻したのは、メーガン妃との関係性を強調するためと言われています。
元々は女優、プロデューサー、シナリオライターなどの肩書きがありますが、いずれも業界人だった父の口利きがあったようです。
現在の肩書きはメンタルヘルスカウンセラーなので、妹の言動に噛みついているのでしょう。
先月には『The Diary Of Princess Pushy’s Sister Part 1(厚かましい王妃の姉の日記 パート1)』という暴露本も出版しています」 “パート1”というのが不気味だ。
そして異母兄のトーマス・ジュニア。 「飲酒運転やDV……、恋人の頭に拳銃を突きつけて逮捕されたこともあるそうです。
バツ2で、家賃滞納でホームレスになったこともあるとか」 なかなか大変なファミリーである。
彼の元妻との息子もタチが悪いという声も。
「兄の元妻トレイシー・ドーリーさんや息子も、メーガン妃の結婚前にインタビューに答えていました。
『私たちは応援してるわ』みたいなことを言っていましたが、ロイヤルファミリーの結婚式に参加したかったのでしょう。
もちろん招待されませんでした。息子のテイラー氏はオレゴン州でマリファナの栽培を生業にしており、その商品に『マークル・スパークル』と名付けました。
“マークル・スパークル”というのは、メーガン妃が王室に入った時、歓迎と期待の意味で使われた言葉なんです。
また、彼女がアーチー王子を出産した後には『アーチー・スパーキー』という商品も出して大儲けしたそうです」
メーガン妃にとっては、頭の痛い身内のはずだ。 「だからこそ、メーガン妃は結婚式に呼ぼうとはしなかったのでしょう。
そもそも彼女はヘンリー王子には『自分は孤児のようなもの』と言っていたそうです。
よほど家族のことを知られたくなかったのかもしれません。ところが、結婚が決まった途端、色々と出るわ出るわ。身内の存在が、兄嫁であるキャサリン妃に対するコンプレックスの原因なのかもしれません」
ところが、メーガン妃の発言の信憑性が疑われ始めた。 「そもそも人種差別発言も、ヘンリー王子は『妊娠前に聞いた』と言っています。
ヘンリー王子から聞いたはずのメーガン妃は『妊娠中だった』と言って、証言が一致しません。
彼女は『王室に入るとパスポートも取り上げられどこにも行けなくなった』と言いますが、海外で遊び回っていたことは周知の事実です。
そんなことが17項目にわたって検証され、明らかになったのです。
すると、それまで嫉妬による発言と思われていた彼女の身内たちの言葉が、やけに的を射た発言だったと思われるようになってきました。もちろん、検証があってこそなのですが……」 もっとも、上昇志向の強いメーガン妃、王室に残っていればいいものを、なぜこんな泥仕合を始めてしまったのだろう。
「彼女も本当は、王室を離れるつもりはなかったのだと思います。しかし、王室の格式の高さにやっていくことができなくなった。
自身の今後のキャリアを考えると、追い出されたように思われることだけは避けなければなりません。
自分を悲劇のヒロインにしたかったのだと思います」 メーガン妃も、結局はマークル家の人々と同じ類いということになるのかもしれない。
「そういうことでしょう。ただ、彼女を呼び込んだのはヘンリー王子です。彼は子供の頃から、ヤンチャどころではありませんでした。
10代の初めから煙草や酒にはまり、14歳でアルコール依存症。マリファナ吸引騒動もありましたし、軍隊に入ってからはパキスタン人の兵士に向かって差別発言をしたことが大問題となりました。
王室に相応しい人と言えたかどうか。現在、英国では、王子の人気も落ち始めているそうです」 デイリー新潮取材班 2021年3月23日 掲載
新潮社
国際 2020年1月28日掲載
ヘンリー王子&メーガン・マークルの挙式(英王室の公式Instagramより )(他の写真を見る)
メーガン妃(38)は野心家にして浪費家。そんなイメージが徐々にではあるが、日本人にも認識されてきたようだ。もちろん以前からイギリスの大衆紙は容赦なく批判し、彼女の“素顔”に迫る報道を続けてきた。
***
速報韓国の明日を占う釜山市長選挙 勝手に争点にされた「日韓海底トンネル構想」のトンデモ
昨年8月、ヘンリー王子(35)とメーガン妃、長男のアーチーくん(0)はお忍びで家族旅行に出かけた。メーガン妃の誕生日である4日に出発し、地中海西部のイビサ島で5日間の夏休みを過ごしたのだ。
そして往復に使われたのはプライベートジェット。これを大衆紙が報じると、イギリスの世論は日本でいう“炎上”状態となった。
メーガン妃とヘンリー王子は環境保護論者としての顔も持つ。公共交通機関である旅客機なら仕方ないにしても、“家族専用”の飛行機が余計な二酸化炭素を排出したわけだ。こうなると言行不一致が問われても仕方ない。
加えて非常に高額な旅行だった。元産経新聞のロンドン支局長で在英国際ジャーナリストの木村正人氏は自身の記事で、プライベートジェットのチャーター代を《片道2万ポンド(約285万円)》、島の滞在費は《12万ポンド(約1700万円)》だったと紹介している。(ヤフー!ニュース個人 20年1月9日「メーガン妃とヘンリー王子が英王室を離脱する 年の半分カナダに移住」)。
結局、ヘンリー王子は謝罪に追い込まれた。9月に「環境に配慮した旅行を推進するチャリティプロジェクト」の発足を発表したのだが、記者の質問にプライベートジェット問題について弁解したのだ。
《「私はここに民間のフライトで来ました。これまでの旅行の99%は民間機を使ってきました。時折、普通とは違う状況のせいで家族の安全を確保しなくてはならないことがあります。本当のところはそのように単純なことなのです」》(ELLE JAPAN公式サイト「ヘンリー王子、プライベートジェットは『家族のため』」19年9月3日)
だが、これで話は終わらない。ハーパスバザーオンラインは8月23日(電子版)、「ウィリアム王子一家、LCCに乗ってスコットランドへ」の記事を掲載した。
《『The Daily Mail』紙の写真とビデオによると、キャサリン妃とウィリアム王子、3人の子供たちがイングランドのノリッジからスコットランドのアバディーンまで民間機を利用したようだ》
《一家5人がイギリスの格安航空会社(LCC)であるFlyBe機から降りて駐機場を歩き、車までエスコートされる姿がキャッチされた》
もちろん「デイリー・メール」もイギリスの有名な大衆紙であることは言うまでもない。
次ページ:英王室と大衆紙の密接な関係
英王室と大衆紙の密接な関係
弟のヘンリー王子とメーガン妃がプライベートジェット、兄のウィリアム王子(37)とキャサリン妃(38)がLCC――とは見事な対比だが、前出の木村氏は「日本人が考える以上に、王室と大衆紙は密接な関係です」と指摘する。
「イギリスの王室は大衆紙の報道に神経を尖らせます。エリザベス女王(93)が起床して真っ先に目を通すのは大衆紙と言われているほどです。ダイアナ妃(1961~1997)の死後、王室は彼女に冷淡すぎると大衆紙が非難すると、エリザベス女王が異例の追悼の言葉を国民に向けて述べたこともありました。弟がプライベートジェットで大衆紙に叩かれたなら、兄はLCCに乗るところを大衆紙に撮影させる。王室のイメージが傷つかないよう、様々な配慮を行っていることが透けて見えます」
ご存知の通り、イギリス王室は1月18日に声明を発表、ヘンリー王子夫妻が今春から王室の公務を行わず、王族の称号「ロイヤルハイネス(殿下・妃殿下)」を使用しないことになったと発表した。
これを受けて時事通信は20日、「『女王の鉄拳』、英社会に衝撃 ヘンリー王子夫妻離脱」との記事を配信した。
《ヘンリー英王子夫妻が王室から事実上「離脱」することについて、英メディアは19日、「(エリザベス)女王が鉄拳を振り下ろした」(民放スカイニューズ)などと一斉に伝えた》
ヘンリー夫妻は「半分は民間人、半分は王子と妃」という立場で今後も活動を続ける意向を示していた。だが女王は、メーガン妃もヘンリー王子も王族の称号は使用を控えるよう求め、女王の代理を2人は務められないと決めた。
つまり「半官半民は無理です。完全な民間人になりなさい」と女王が夫婦に鉄拳を振り下ろしたと受け止められたわけだ。同じく、時事通信の記事から引用する。
《英メディアはこれについて、欧州連合(EU)強硬離脱とメーガン妃を掛けた「ハード・メグジット(強硬な王室離脱)」という造語で伝えた。
大衆紙サンは「女王は王室や王子の地位を与えないと極めて明確にした。彼らはただのヘンリーとメーガンになる」とする専門家の話を紹介。ガーディアン紙は、米動画配信大手ネットフリックスが夫妻の起用に関心を示していると報じた》
イギリスの大衆紙がメーガン妃に厳しい報道を続けてきたのはご存知の通りだ。しかしながら、日本人で記事の内容まで熟知している人は少ないだろう。そのため王室の離脱が取り沙汰されてから、大衆紙はメーガン妃とヘンリー王子をどう報道してきたかは興味のあるテーマだ。
そこで木村氏に「大衆紙が報じた王室離脱に関する記事の見出しで、特に印象に残ったベスト5の作成」を依頼した。するとベスト5だけではなく、次点2本と番外1本も加わって完成となった。さっそくご紹介しよう。
次ページ:まず番外から第3位まで
まず番外から第3位まで
◆番外
「THE FROWN」(しかめっ面の女王)[ザ・サン紙:1月11日]
「今、ネットフリックスでは『THE CROWN』というエリザベス女王を主人公にしたテレビドラマシリーズが大変な人気です。先日はシーズン4の制作が発表されました。この人気ドラマのタイトルである『ザ・クラウン』をもじって、サン紙は女王の顔写真の下に『ザ・フローウン』という見出しを付けたわけです。ヘンリー王子とメーガン妃の要求に女王が困ってしかめっ面。そんなニュアンスを紙面に滲ませました」(木村氏)
◆次点1
「HARRY UP AND GO」(急いでヘンリー王子は去っていく)[メトロ紙:1月10日]
「メトロは名前の通り、地下鉄の駅などで無料配布されているフリーペーパーです。ヘンリー王子の名前は英語で『Henry』と書かれますが、愛称が『Prince Harry』なのです。英語で『急げ』は『Hurry-Up』ですから、『ハリー王子がハリーアップ』というダジャレが成立しているわけです。メトロは王子が王室離脱を急いているようなイメージを見出しに込めたのでしょう」(同)
◆次点2
「GAME OVER」(ゲームオーバー)[メトロ紙:1月17日]
「1月8日にメーガン妃とヘンリー王子が王室離脱の可能性を示唆し、マスコミも世論も大騒ぎになりました。そんな中、ヘンリー王子は1月16日、バッキンガム宮殿でラグビーリーグの抽選会に出席します。既に自宅のスタッフは解雇されており、『離脱は現実のものになりつつある』との観測が強まっていました。こうした状況を踏まえ、メトロ紙は抽選会で撮影したヘンリー王子の写真を1面に掲載し、『ゲームオーバー』の見出しを付けたのです。『これが最後の公務になるかもしれない。もう終わりだ=ゲームオーバー』というわけです」(同)
◆第5位
「KEEP CALM & CURRY ON(註:原文ママ)」(普段通りに続けよう)[メトロ紙:1月16日]
「この日のメトロ紙は1面に兄のウィリアム王子とキャサリン妃が公務でカレーハウスを訪れた時の写真を掲載しました。ヘンリー王子とメーガン妃とは180度異なり、淡々と公務をこなしていると報じたわけです。見出しの『KEEP CALM』は『落ち着いて』という意味ですが、問題は『CURRY ON』です。本来なら『CARRY ON』で『続ける』という熟語になるのですが、夫妻がカレー屋を訪問したため、『CURRY』とダジャレで使ったわけです。ちなみにイギリスでカレーショップはありふれた飲食店で、大衆的で安価なことでも知られています。浪費家とされるメーガン妃を当てこする文脈も読み取ることができるでしょう」(同)
◆第4位
「Smiling in the face of a storm」(嵐に直面しながらも笑顔)/「MARKLE VS MARKLE」(マークル対マークル裁判)[デイリー・メール紙:1月15日]
「大衆紙デイリー・メールは15日の1面に、カナダに滞在中のメーガン妃が微笑を浮かべている写真を掲載しました。これに『嵐に直面しながらも笑顔』との見出しをつけたわけですが、意味に重点を置いて翻訳すると『英王室が嵐の中に巻き込まれているのにかかわらず笑顔を浮かべている』と彼女を皮肉る内容になっています。更にその下に『マークル対マークル裁判』の見出しが掲載されていますが、デイリー・メール紙はメーガン・マークル妃が父親のトーマス・マークル氏に書いた手紙を暴露し、妃から名誉毀損で訴訟を起こされています。この1面で『裁判で父親が重要証人になる』と報じ、離婚裁判を描いた名作映画『クレイマー、クレイマー(原題:Kramer vs. Kramer)』(1979年)のタイトルをもじって見出しにしました」
◆第3位
「MEGXIT」(メーガン妃による王室離脱)[ザ・サン紙:1月9日]
「『Megxit(メグジット)』は日本でも報じられているようですが、この造語を生んだのが大衆紙のサンでした。英国は『British』で、出口は『exit』ですから、『イギリスのEU離脱』を『Brexit』という造語で表現しました。『MEGXIT』も同じ理屈で、メーガン妃の『Meghan』と『exit』を合体させて『Megxit』という言葉を作ったわけです」(同)
次ページ:いよいよ第2位と第1位の発表
いよいよ第2位と第1位の発表
◆第2位
「‘I’ve put my arm around my brother all our lives. I can’t do it any more’」(僕らの人生で、僕は弟の肩を抱き続けてきた。だが、それはもう不可能だ)[ザ・サンデー・タイムズ(タイムス日曜版)1月12日]
「タイムスは日本なら朝日新聞というイメージの高級紙です。しかし、日曜版は別の編集部が作成し、芸能やスポーツ、書評やインタビューといった柔らかな記事が中心になります。日曜版は大衆紙に近いのでランキングに入れました。兄が弟との決別を宣言した見出しになります。思い返すと1997年、15歳と13歳の兄弟が母親であるダイアナ妃の葬儀に参列した写真は全世界に報じられました。イギリスでは『常に2人は一緒で、食事も同じ冷蔵庫から引っぱり出す』ほど仲の良い兄弟として知られていましたから、この記事を涙無しに読めない人も多かったのではないでしょうか。兄弟は共に記事内容を否定しましたが、ウィリアム王子の筋がリークしたと言われています」(同)
◆第1位
「WE’RE ORF AGAIN」(私たち、また休暇なんでございますわよ)[ザ・サン紙:1月8日]
「ザ・サンは1月7日、電子版で『カナダでの6週間の長期休暇が明けたばかりの2人が今年のかなりの部分をカナダで過ごす』という大スクープを報じます。王室記者クラブに所属しない記者が情報をつかみ、王室サイドの『書かないでくれ』という圧力をはねのけての記事でした。
慣例ならクリスマスは女王と共に過ごすべきなのに、メーガン妃とヘンリー王子は年末年始、カナダに滞在しました。これだけでもイギリス世論は『ふざけるな』と怒り心頭だったわけですが、メーガン妃はカナダから動かないとサンが報じ、世論はメーガン妃から離反していきました。
電子版で報じられた翌日、同じ記事が1面に掲載されたのですが、この見出しも凝った内容です。『ORF』は本来なら『OFF』と書かれるべき単語です。つまり『私たちは再びオフ=休暇です』という意味なのですが、イギリスは階級社会で、上流階級は『オフ』を『オーフ』と発音します。それを『ORF』と表記したのです。そして1面に使われた写真は夫妻の2ショットでした。
確かにヘンリー王子は『ORF』と発音する階級に属しています。しかしメーガン妃は、アメリカ人だとはいえ、イギリス人から見ると労働者階級の出身です。『メーガン妃、あなたはORFと発音しない階級の出身であるはずですが、さも自分が上流階級の出身でもあるかのように振る舞っておられるんですね』という嫌味たっぷりの見出しになっているんです」(同)
以上、8本の見出しを見ていただいたが、最後に改めて木村氏に「イギリスの言論における大衆紙の役割」を聞いてみた。
「イギリスの大衆紙が自負する使命は『偽善者の仮面を剥ぐ』ことです。そのために過激な報道も行います。メーガン妃の記事もアメリカのメディアなどは、『人種差別が根底にある』と今も非難しています。しかし、大衆紙も取材をしっかり行い、顧問弁護士がチェックして記事が掲載されます。メーガン妃との結婚が発表された当初、同じ階層に属する労働者階級が喜び、彼らを主要な読者とする大衆紙も歓迎した時期があったのです。それが大衆紙の粘り強い取材で、メーガン妃の浪費癖など真の姿が浮き彫りになりました。大衆紙はイギリスのジャーナリズムにとっても必要不可欠な存在だということを、メーガン妃の報道で改めて示したと言えるのではないでしょうか」
週刊新潮WEB取材班