旧・鮎の塩焼キングのブログ

80年代を「あの頃」として懐かしむブログでしたが、子を亡くした悲しみから立ち直ろうとするおじさんのブログに変わりました。

冒険小説 ハテナの交竜奇譚 第2話その6 『ダンジョン・アタック前編』 〜《ウォーグ》の洞穴〜

2025-02-03 15:06:00 | 小説

亡き次男に捧げる冒険小説です。


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〇六

 世にも珍しい機械仕掛けの生命体。《オートノーム》はテーリの詰問を遮った。

「余計な詮索はいらない。私たちはお前たちの役に立った。お前たちは感謝した。それでいい。」

《オートノーム》の言葉からはこれ以上、相棒を困らせないでくれという強い警告が秘められていた。テーリはゴクリと唾を飲んだ。ヴァッロは《オートノーム》の言葉でいつもの調子を取り戻した。

「お前たちは感謝した。それでいい。」

キリッとした表情で言い返してきたので、さしものハーラとナーレも苛立ちを覚えた。悔しいが《オートノーム》の言葉は正論だった。ヴァッロと《オートノーム》は自分たちのために親切にしてくれた。そんな相手を責め立てる非礼を正当化するほど、テーリたちは傲慢ではない。しかし、怪しい者を警戒するのは当たり前だ。さて、どうしたものかとテーリが言葉に詰まった瞬間、ガシャンと皿が割れる音がした。



 奥で仲睦まじく食事をしていた老夫婦がいつの間にか諍いを始めていた。

「だから儂は自分の食べたいように食べてるだけじゃ。余計なことはせんでくれ。」

「あなたのためを思ってしています。汚らしく食べるのはおやめなさい。」

「儂を耄碌したと馬鹿にして!」

世話を焼かれるのが気に食わない老夫が憤って声を荒らげる。老婦人も負けずと静かに、そして威圧的に言い返す。実の両親の夫婦喧嘩も見られたものではないが、他人のそれも同等だな。親のいるハーラとテーリは同じことを考えていたが、孤児だったナーレだけは違った。どちらが勝つのかなぁと、喧嘩の決着をワクワクしながら見守っている。静かに椅子を引き《オートノーム》とヴァッロが老夫婦に近づいていった。

 義兄弟の三人は腰を浮かせた。まさか怒鳴りつけたり、小突いたりしないだろうな。そんなヴァッロたちに失礼な想像をしてしまったが、老夫婦に近づいた二人組の様子を見て、義兄弟の三人はすぐに椅子に腰掛け直した。ヴァッロはなにやらにこやかに話している。ハマニャッだけは聞き取れたが、後の会話は聞き取れなかった。終始和やかに会話をしていた。威圧的だった《オートノーム》も礼儀正しく、老夫婦にペコペコと頭を下げている。少し慇懃過ぎないかと、ハーラは心配になる程だった。申し訳ありませんでした、いやいやと老夫婦とヴァッロたちはお互いに恭しく頭を下げると、食堂は元の静けさを取り戻した。


【第2話 〇七に続く】

次回更新 令和7年2月5日水曜日 


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《オートノーム》からの意外な申し出。どうするハテナ義兄弟??


風邪ひいて寝んね

2025-02-02 22:29:00 | 日記

一昨日の金曜日に弟とこの先のことを話し合いました。


兄のこと。

母のこと。


弟と喫茶店で2時間半も2人きりで話し込んだのはこれが初めて。


小さな頃は仲が良かったのですが、高校生あたりから私の傍若無人な振る舞いに耐えかねた弟が離れていき、長らく微妙な距離感で生きてきた兄弟でした。


そうはいっても家族の危機に手と手を繋ぎ協力できるのが、血の繋がりってやつですね!


そんな感じで、実家を支える苦労を吐き出し、お互いの家庭の状況やら、お互いの陰キャ感を確認し合いながらの話し合いはなかなかに充実したものでした。


そして、その代償が「風邪」!!

またまたひきましたよ。喉が痛すぎる。

というわけで、昨日は風の前兆に怯えながら、結構アクティブに動き回っていたのですが、今日はダウンしました。


昨日までの元気な私。

結婚祝いと長男の成人祝いと次男(故人ではありますが)と三男の誕生日祝いと三男の合格祝いをごちゃ混ぜにした、パーチーでございます。でも、もうこの時は喉がダメな感じでした。


今日は朝起きたら、喉も頭も激痛でござる。


妻との買い物もキャンセル。

三男と約束した「お父しゃん油そば」もキャンセル。


ただただ寝て、悪夢にうなされた1日でした。


悪夢その1

亡くなった父が訳のわからないサンダルを買ってきて、旧実家に銀杏の葉っぱをばら撒き、歩き回る夢。父は必死にそのサンダルの良さをアピールしていましたが、私には皆目理解できませんでした。


悪夢その2

山田邦子とガチ喧嘩!職場の先輩という設定で山田邦子が登場。相談したらメチャクチャにディスり出したので、理詰めで追い詰めていくという夢。別に山田邦子は好きでも嫌いでもないのになぁ。


悪夢その3

職場の集会でトラブルに巻き込まれる。嫌な時に指名される私。何とか周囲を抱き込み、誤魔化し通す私。我ながら見事に窮地を脱する。ありがとう、周りにいた顧客の皆様。


寝た気はしませんでしたが、これでだいぶ元気になりました!


『ハテナの交竜奇譚』第4話中編を書き上げたのが今日唯一の功績でしょうか。明日から推敲に入ります。


そんなこんなで土日が終わり、また明日からお仕事と母と兄の世話が始まるとです。


あーあ、家庭生活が新たなフェイズに入ろうとしている。疲れの取れない鮎の塩焼キングでございました。


ではでは、また明日ー!



冒険小説 ハテナの交竜奇譚 第2話その5 『ダンジョン・アタック前編』 〜《ウォーグ》の洞穴〜

2025-02-01 08:20:00 | 小説

亡き次男に捧げる冒険小説です。


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〇五

 耳がプルプルと震えながら後ろ向きに折り畳まれ、尻尾がドリルのように小刻みに回る。取り乱したヴァッロから滲み出る愛くるしさに、ハーラとナーレはいつの間にか骨抜きになっていた。ただ一人テーリだけがヴァッロの小動物的な愛嬌に耐え、詰問を続けた。

「『チッチ様』の狙いはなんだ?言えヴァッロ!吐いて仕舞えば、オデは僕たちの役に立つんだぜ?」

オロオロとあたりを見回すヴァッロ。突然、ヴァッロの身体を抑える腕が生えてきた。テーリたちがギョッとしてよく見ると、金色の小さな塊がヴァッロの隣に座っていた。三人とも初めて出会う人種であった。《オートノーム》、機械仕掛けの《小人》であった。



【第2話 〇六に続く】

次回更新 令和7年2月3日月曜日


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食堂で不意に起こった夫婦喧嘩に首を突っ込むおかしな二人組。ことを荒立てなければ良いのだが。