「では、民主主義とはいったいなんだろう。
多くの人々は、民主主義というのは政治のやり方であって、自分たちを代表して政治をする人をみんなで選挙することだと答えるであろう。それも民主主義の一つの表れであるには相違ない。
しかし、民主主義を単なる政治のやり方だと思うのは、まちがいである。民主主義の根本は、もっと深いところにある。
それはみんなの心の中にある。
すべての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心
それが民主主義の根本精神である。」
自民党の憲法草案では、個人の価値を軽く(差別的に)みているように見えます。
「個人」を「人」と変更している。動物との区別で人、という意味??
なぜ「人」とひとくくりにするのか。 、、、続けます。
「人間の尊厳さを知る人は、
自分の信念を曲げたり、ボスの口ぐるまに乗せられたりしてはならない
と思うであろう。同じ社会に住む人々、隣の国の人々、遠い海のかなたに住んでいる人々、それらの人々がすべて尊い人生の営みを続けていることを深く感ずる人は、すすんでそれらの人々と協力し、世のため人のために働いて、平和な住みよい世界を築きあげてゆこうと決意するであろう。
そうして、すべての人間が、自分自分の才能や長所や美徳をじゅうぶんに発揮する平等の機会を持つことによって、みんなの努力でお互いの幸福と繁栄をもたらすようにするのが、政治の最高の目標であることをはっきりと悟るであろう。
それが民主主義である。そうして、それ以外に民主主義はない。」
「これからの日本にとっては、民主主義になりきる以外に、国として立ってゆく道はない。
これからの日本人としては、民主主義をわがものとする以外に、人間として生きてゆく道はない。」
「それは、自分からすすんでその道を歩こうとする人々に対してのみ開かれた道であり、その人たちの努力次第で、かならず繁栄と建設とに導く道である。」
「われわれ日本国民は、自らすすんで民主主義の道を歩み、戦争で一度は見るかげもなくなった祖国を再建して、われわれ自身の生活に希望と繁栄とを取り戻さなければならない。」
「実行できるところを、直ちに生活の中に取り入れていっていただきたい。なぜならば、民主主義は、本で読んでわかっただけでは役に立たないからである。言い換えると、
人間の生活の中に実現された民主主義のみが、ほんとうの民主主義なのだからである。」
国民一人一人が大事にされなければいけない。「個人」が大事なのだと思います。
当事者である国民一人一人が、自分の事(自分の愛する人の事)として、
どんな社会にしたいのか、どう生きたいのか、
しっかりと見つめ直さなければ危うい時期にきてしまっているのではないか、
と思います。
(昭和23年文部省著 「文部省著作教科書 民主主義」はしがき より引用しました)
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