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ミッチ・ミッチェル

2024-08-08 16:07:03 | drums

ミッチ・ミッチェル Mitch Mitchell


【本名】
  ジョン・グラハム・ミッチェル/John Graham Mitchell

【パート】

  ドラムス、パーカッション、ヴォーカル

【生没年月日】
  1946年7月9日~2008年11月12日(62歳没)

【出身地】
  イングランド ミドルセックス州イーリング

【経 歴】
  ライオット・スクワッド/The Riot Squad(1964)
  ジョージー・フェイム&ザ・ブルー・フレイムズ/Georgie Fame & The Blue Flames(1965~1966)
  ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス/Jimi Hendrix Experience(1966~1969)
  ジプシー・サン&レインボウズ/Gypsy Sun & Rainbows(1969)
  ジャック・ブルース&フレンズ/Jack Bruce & Friends(1969)
  ラマタム/Ramatam(1972~1973)
  ジョージー・フェイム&ザ・ブルー・フレイムズ/Georgie Fame & The Blue Flames(1974)
  ジプシー・サン・エクスペリエンス/Gypsy Sun Experience(1999)



 ミッチ・ミッチェルは、1960年代後半の主要なロック・ドラマーのひとりであり、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのメンバーとして知られる。
 ローリング・ストーン誌が選定した「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のドラマー」では第8位にランクされている。
 1992年、「ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス」の一員としてロックの殿堂入り。2009年にはモダン・ドラマーの殿堂入りも果たした。


 ミッチ・ミッチェルは、1943年7月9日にイングランドのミドルセックス州イーリングで、トーマスとフィリスのミッチェル夫妻のあいだに生まれた。
 10代の頃は子役としてテレビドラマやCMなどに出演しており、1960年にはイギリス映画「ボトムズ・アップ」で主役を演じている。
 そのかたわらドラムの演奏にも興味を持ち、エルヴィン・ジョーンズをはじめ、トニー・ウィリアムス、マック・ローチ、ジョー・モレロなどのジャズ・ドラマーから多大な影響を受け、次第に独自のスタイルを確立してゆく。


 ミッチェルが最初に加入したバンドは、地元イーリング・クラブで結成された「ソウル・メッセンジャーズ」である。
 その後「ピート・ネルソン&ザ・トラヴェラーズ」「フランキー・リード&ザ・カジュアルズ」「ジョニー・ハリス&ザ・シェイズ」「ビル・ナイト&ザ・セプターズ」などのツアーやセッションに参加し、キャリアを積む。
 1964年頃には「ライオット・スクワッド」というバンドでレコード・デビュー。またドラマーがダグ・サンドムからキース・ムーンに交替する前のザ・フーにもセッション・ドラマーとして参加している。1965年にはヴィヴ・プリンスの後任として一時的に「プリティ・シングス」のドラマーを務めた。

 1965年12月には「ジョージー・フェイム&ブルー・フレイムス」に加入、1966年10月まで在籍した。その間1966年にはアルバム「スウィート・シングス」の制作に加わっている。


 1966年、イギリスに渡ったジミ・ヘンドリックスは、自分のバンドを作るため様々なミュージシャンとセッションを行っていた。その年8月、ヘンドリックスのマネージャーを務めていたチャス・チャンドラーから連絡を受けたミッチェルは、ロンドンでのセッションに参加した。
 10月6日に再度セッションに呼ばれたミッチェルは、この時ヘンドリックスに「ジンジャー・ベイカーのように演奏してほしいのかい?」と尋ねると、「ああそうだよ、君の好きなように叩いてくれ」という答えが返ってきたという。
 ヘンドリックスのオーディションのためのセッションにはミッキー・ウォーラーなど多くのドラマーが声をかけられていたが、最終的にはミッチェルとエインズレー・ダンバーが候補に残った。チャンドラーによると、どちらを選ぶか甲乙つけ難く、苦慮したすえ最後はコイントスによってミッチェルが選ばれたそうである。こうしてミッチェルは、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのメンバーとなった。ちなみにダンバーはその後ジョン・メイオール、フランク・ザッパ、ジェファーソン・エアプレイン、ジャーニーなど錚々たるバンドに参加、ロック・ドラマーの第一人者として長年にわたって活躍している。





 ヘンドリックスの革新的で自由度の高い演奏とミッチェルのドラミングは非常に相性が良かったと言える。ジャズに深く傾倒し、高度なテクニックを持っていたミッチェルは、ヘンドリックスの革新的で自由なアプローチに変幻自在に対応し、バンドを支えた。自分の音楽を推進発展させてくれるドラマーが必要だったヘンドリックスにとっては、スピード感と対応力に富んだミッチェルのドラミングはなくてはならないものだったといえる。
 エクスペリエンスはヘンドリックスの圧倒的なパフォーマンスで世界的な人気バンドとなった。
 ミッチェルがエクスペリエンス時代に残したアルバム「アー・ユー・エクスペリエンスト?」「アクシス:ボールド・アズ・ラヴ」「エレクトリック・レディランド」は英米のチャートで全てトップ10入りし、なかでも「エレクトリック・レディランド」は全米1位を記録している。


 ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスはノエル・レディングの脱退により、1969年6月にわずか3年たらずで解散したが、ヘンドリックスはその後もミッチェルを手放さなかった。
 1969年8月に行われたウッドストック・フェスティヴァルには、ヘンドリックスはミッチェルとビリー・コックス(bass)とで結成した「ジプシー・サン&レインボウズ」で出演している。
 また、しばしばヘンドリックスはミッチェルと二人だけでスタジオに入り、レコーディングを行っている。
 1969年末から1970年初頭にかけてのヘンドリックスのバンド「バンド・オブ・ジプシーズ」では、バディ・マイルスがドラマーとして起用されているが、この頃のミッチェルはジャック・ブルース(bass)率いる「ジャック・ブルース&フレンズ」に加わっており、マイク・マンデル(keyboard)やラリー・コリエル(guitar)とコラボレーションを行っている。
 1970年4月~9月に行われたヘンドリックスの「クライ・オブ・ラヴ・ツアー」では、再びミッチェルがドラマーのポジションに戻った。





 1968年12月、ミッチェルは、ローリング・ストーンズのテレビ番組「ロックンロール・サーカス」のために結成されたバンド「ザ・ダーティー・マック」の一員となった。他のメンバーは、ジョン・レノン(vocal, guitar)、エリック・クラプトン(guitar)、キース・リチャーズ(bass)、オノ・ヨーコ(screaming)である。このバンドは「ヤー・ブルース」「Whole Lotta Yoga」を録音している。
 また1969年夏、ミッチェルはマイルス・デイヴィス(trumpet)の家に招待された。その時ジョン・マクラフリン(guitar)とセッションを始めたマイルスに「おい、ドラマー!お前はドラマーだろ?一緒に演奏しろ」と言われた。セッション後、マイルスに「OK、明日2時にCBSに来れるな」と声をかけられたミッチェルは、翌日「ビッチェズ・ブリュー」セッションに参加したということである。


 1970年、バンド・オブ・ジプシーズ解散後のヘンドリックスは、ビリー・コックスを残して新たなバンドを結成するが、その時に参加したドラマーがミッチェルであった。呼び戻されたミッチェルは、1970年9月18日にヘンドリックスが死去するまで彼と活動を共にした。1970年8月にはこのメンバーでワイト島フェスティヴァルに出演している。
 この頃(1970年春)、ヘンドリックスとミッチェルは、グレッグ・レイク(bass, vocal)が企図していた新グループへの参加を打診されている。このプランは実現しなかったが、レイクはキース・エマーソン(keyboard)とカール・パーマー(drums)を迎えて1970年6月に新たなバンドを結成した。このバンドが「エマーソン・レイク&パーマー」である。


 1970年9月にヘンドリックスが急死した後、ミッチェルはエンジニアのエディ・クレイマーとともに残された不完全な音源の編集作業に携わった。ヘンドリックスの死後、「ザ・クライ・オブ・ラヴ」「レインボウ・ブリッジ」「ウォー・ヒーローズ」の3枚のスタジオ・アルバムが発表されたが、ミッチェルはそれらに収録されている曲のほとんどでドラムを叩いている。一方で自身のバンドを結成し活動したが、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス時代ほどの成功は得ることはなかった。





 1972年渡米したミッチェルは、マイク・ピネラ(vocal, guitar 元アイアン・バタフライ)、エイプリル・ロートン(guitar)、ラス・スミス(bass)、トム・サリヴァン(keyboard)と「ラマタム」を結成したが、セカンド・アルバムがリリースされる前にバンドから去った。
 その後「ヒンクリー・ヒーローズ」というジャム・バンドでジョン・ハルゼーとともにドラムを叩いたが、これはミッチェルが他のドラマーと共演した唯一のケースである。
 そのほかコージー・パウエルの代役としてテリー・リード、ジャック・ブルース、ジェフ・ベックらのバックを務めたりしていたが、1974年に「ジョージー・フェイム&ザ・ブルー・フレイムズ」に復帰。この年にはポール・マッカートニーのバンド「ウィングス」のオーディションを受けているが、この時の最終的な結論もコイントスに委ねられ、今回はミッチェルではなく、ジョフ・ブリットンが選ばれた。


 1970年代後半から1990年代にかけてのミッチェルは、イギリスを拠点に演奏を続け、時にはレコーディングを行ったりしていたが、いわばセミ・リタイア状態であった。
 1999年、ミッチェルはビリー・コックス(bass)、ゲイリー・サーキン(guitar)とともに「ジプシー・サン・エクスペリエンス」を結成して活動を始めた。またこの年にはブルース・キャメロンのアルバム「Midnight Daydream」のレコーディングにも加わっている。このアルバムにはビリー・コックス、バディ・マイルス、ジャック・ブルースなど、ヘンドリックスやミッチェルゆかりのミュージシャンが参加してる。





 2008年、エクスペリエンスを記念したツアーがアメリカの18都市で行われた。このツアーにはビリー・コックス、バディ・ガイ、ジョニー・ラング、ロビー・クリーガー、ブラッド・ウィットフォードらが参加していた。ツアーはオレゴン州ポートランドで終了したが、ツアーの終了から5日後の11月12日、ポートランドのボンソン・ホテルの一室でミッチェルが死亡しているのが発見された。62歳であった。正式な死因は明らかにされていないが、睡眠中の自然死と見られている。
 ミッチェルは長年にわたって免疫系疾患とガンの治療を行っており、健康状態は良くなかった。このツアーでは、ミッチェルはそれぞれの公演で2、3曲しか演奏せず、つねにバックアップ・ドラマーがすぐそばに控えている状態だった。ツアー最後のポートランド公演では、ミッチェルの様子があまりにも弱っているようだったので、代役のドラマーが演奏したという。


 「クイーン」のロジャー・テイラー(drums)は、ミッチェルのドラミングを初期のロール・モデルにしていたといい、「ミッチ・ミッチェル、特にヘンドリックスとの初期の作品を聴くのは本当に素晴らしい」と語っている。「カルト」や「ガンズ&ローゼス」のドラマーを務めたマット・ソーラムは、ミッチェルを「史上最も偉大なドラマーのひとり」と絶賛している。


【ディスコグラフィ】(☆=ライヴ・アルバム ★=コンピレーションアルバム)
 
 <ジョージー・フェイム&ザ・ブルー・フレイムズ>
  1966年 Sweet Things(UK6位)

 <ジミ・ヘンドリックス>

  1967年 アー・ユー・エクスペリエンスト?/Are You Experienced(UK2位 US5位)
  1967年 アクシス:ボールド・アズ・ラヴ/Axis:Bold as Love(UK5位 US3位)

  1968年 エレクトリック・レディランド/Electric Ladyland(UK6位 US1位)
 ★1968年 スマッシュ・ヒッツ/Smash Hits(UK4位 US6位)
 ☆1970年 ウッドストック/Woodstock:Music from the Original Soundtrack and More(UK35位 US1位)※録音1969年
 ☆1970年 Historic Performances Recorded at the Monterey International Pop Festival(US16位)※録音1967年
  1971年 クライ・オブ・ラヴ/The Cry of Love(UK2位 US3位)
  1971年 レインボウ・ブリッジ/Rainbow Bridge(UK16位 UK15位)
 ☆1971年 Experience(UK9位)※録音1969年
 ☆1971年 ワイト島のジミ・ヘンドリックス/Isle of Wight(UK17位)※録音1970年
 ☆1971年 ウッドストック2/Woodstock Two(US8位)※録音1969年
  1972年 戦場の勇士たち/War Heroes(UK23位 US48位)
 ☆1972年 ヘンドリックス・イン・ザ・ウエスト/Hendrix in the West(UK7位 US12位)※録音1969~1970年
 ☆1972年 More Experience
  1974年 Loose Ends
 ★1975年 クラッシュ・ランディング/Crash Landing(UK35位 US5位)
 ★1975年 ミッドナイト・ライトニング/Midnight Lightning(UK46位 US43位)※録音1968~1970, 1975年
 ★1978年 The Essential Jimi Hendrix
 ★1980年 ナイン・トゥ・ジ・ユニヴァース/Nine to the Universe(US127位)※録音1969年
 ★1981年 The Essential Jimi Hendrix Vol.2
 ☆1982年 炎のライヴ!! '68~'70/The Jimi Hendrix Concerts(UK16位)
 ★1983年 ベスト/The Singles Album(UK77位)
 ★1984年 キス・ザ・スカイ/Kiss the Sky(US148位)
 ☆1986年 モンタレー・ポップ・フェスティヴァル・ライヴ/Jimi Plays Monterey(US192位)※録音1967年
 ☆1986年 ジョニー・B・グッド/Johnny B. Good ※録音1970年
 ☆1986年 Band of Gypsys 2 ※録音1969~1970年
 ☆1987年 ライヴ・アット・ウィンターランド/Live at Winterland ※録音1968年
 ★1988年 Radio One(US119位)
 ★1990年 Lifelines:The Jimi Hendrix Story
 ☆1991年 Live Isle of Wight '70 ※録音1970年
 ☆1991年 Stages ※録音1967~1970年
 ★1992年 ジ・アルティメット・エクスペリエンス/The Ultimate Experience(US72位)
 ☆1994年 ウッドストック/Woodstock(US37位)※録音1969年
 ★1994年 ブルーズ/Blues(US45位)
 ★1995年 ヴードゥー・スープ/Voodoo Soup(UK83位 US66位)※録音1968~1970, 1995年
 ★1997年 ファースト・レイズ・オブ・ザ・ニュー・ライジング・サン/First Rays of the New Rising Sun(UK37位 US49位)
 ★1997年 エクスペリエンス・ヘンドリックス~ベスト/Experience Hendrix:The Best of Jimi Hendrix(UK18位 US133位)
 ★1997年 サウス・サターン・デルタ/South Saturn Delta(US51位)※録音1967~1970
 ☆1998年 BBCライヴ/BBC Sessions(US50位)※録音1967, 1969
 ☆1999年 ライヴ・アット・ウッドストック/Live at Woodstock(US90位)※録音1969年
 ★2000年 ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス〜アンリリースト&レア・マスターズ/The Jimi Hendrix Experience(US78位)
 ★2001年 ヴードゥー・チャイルド~ザ・ジミ・ヘンドリックス・コレクション/Voodoo Child:The Jimi Hendrix Collection(UK10位 US112位)
 ☆2002年 ブルー・ワイルド・エンジェル~ワイト島のジミ・ヘンドリックス/Blue Wild Angel:Live at the Isle of Wight(US200位)※録音1970年
 ☆2003年 ライヴ・アット・バークレー/Live at Berkeley(US191位)※録音1970年
 ★2003年 Martin Scorsese Presents The Blues:Jimi Hendrix
 ☆2007年 ライヴ・アット・モンタレー/Live at Monterey(全米171位)※録音1967年
 ★2010年 ヴァリーズ・オブ・ネプチューン/Valleys of Neptune(UK21位 US4位)※録音1967~1970, 1987年
 ★2010年 ウェスト・コースト・シアトル・ボーイ~ジミ・ヘンドリックス・アンソロジー/West Coast Seattle Boy:The Jimi Hendrix Anthology 録音1964~1970年
 ☆2011年 ウィンターランド/Winterland(US171位)※録音1968年
 ★2013年 ピープル、ヘル・アンド・エンジェルス/People, Hell and Angels(UK30位 US2位)※録音1968~1970年
 ☆2013年 マイアミ・ポップ・フェスティヴァル/Miami Pop Festival(US39位)※録音1968年
 ☆2015年 フリーダム~アトランタ・ポップ・フェスティヴァル/Freedom:Atlanta Pop Festival(US63位)※録音1970年
 ★2018年 ボース・サイズ・オブ・ザ・スカイ/Both Sides of the Sky(UK8位 US8位)※録音1968~1970年

 <ラマタム>
  1972年 ラマタム/Ramatam(US182位)

 <レコーディング・セッション>
 *Martha Veléz
  1969年 Friends and Angels
 *ロジャー・チャップマン/Roger Chapman
  1980年 Mail Order Magic
 *Greg Parker
  1986年 Black Dog
 *David Torn
  1996年 What Means Solid, Traveller?
 *Junior Brown
  1998年 Long Walk Back
 *ブルース・キャメロン/Bruce Cameron
  1999年 Midnight Daydream


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