テレビを騒がせている、
スポーツ選手のご夫婦のお子さんの引き渡し問題ですが、
「“保全”って何?」というご質問を複数いただきましたので、
一般的な「日本」の手続きでの、
子の引き渡し関連の「保全」について書きます
【超・簡単に】
保全は、
お急ぎの暫定的な手続きで、
保全の申立てが認められると、
「仮に、子供をこちらに戻せ~!」と、スピーディに動ける。
大事なことを、
時間をかけてゆっくり裁判所が決めているときに、
それじゃ間に合わないよ!と、
暫定的ながら、
スピード対応を求めるのが保全。
ちなみに、「保全」は種類が星の数のように多く、
今回のように、「子の引渡し」のみに「保全」があるわけではありません。
夫婦の一方が子供を連れ去り、
それに対して、こちらに子供を返して欲しいという場合、
子の監護者指定 ・ 子の引渡し審判
という名前の申立てを裁判所にします。
(さらにこれらを「本案」と呼びます)
さて、
裁判所から、
幸いにも「子供をこちらに引き渡せ」と言われたとします。
(分かりやすく言えば「勝った」場合です)
しかしながら、
日本は三審制ですので、相手が「納得いかない!」と、
高等裁判所に 即時抗告 をすることができます。
いうなれば、やりなおし希望です。
即時抗告をすると、つまりは結論がペンディングになるので・・・、
「勝った!」というのも、お預けです。
「子供をこちらに引き渡せ」と言ってもらったのに、
それが実現できなくなります。
ここでポイントになるのが「保全」です。
子の監護者指定 ・ 子の引渡し審判申立て
と併せて、
審判前の保全処分申立て 保全
も申立てしておきます
そうしますと、
子の監護権者指定 ・ 子の引渡し審判の結論が、
ゆっくり進んだ場合(保全と同時並行することも多いですが)、
あるいは、
東京高裁に送られ、まだ最終的な結論が出ていない場合でも、
保全のほうで勝っておけば、
暫定的・一時的・仮に、子供をこちらに返してくれと言うことができます
あおい先生が弁護士らしい感じのことを言ってる・・・!!!
難しい話をしている!!!
最終的に、
子供がどちらの親の方にいるべきか・・・が決まる前であっても、
保全で勝てれば、
一時的に子供が手元に戻される・・・ということです
(任意に戻してもらえないと、執行の問題になります)
んんん???
じゃあさ、
お母さんが子供を連れてっちゃったとするじゃん?
で、お父さんが、
子の監護権者指定 ・ 子の引渡し審判
と、
審判前の保全処分申立て
をして、
保全処分で、「仮に、子供をお父さんのところに戻しなさい」ってなるとするじゃん。
でも、でも、
そのあとで、
子の監護権者指定 ・ 子の引渡し審判が出て、
「やっぱり、子供はお母さんのところに」
ってなる可能性があるてこと!?!?!?
そのとおりです。
お子さんの気持ちを考えると、望ましくないのですが、そのとおりです。
私が扱った件ではありませんが、
実際の案件でそのようになった件を見たことがあります・・・!!!
◆◆菅沼法律事務所◆◆
弁護士 生井澤 葵(埼玉弁護士会所属)
埼玉県越谷市越ヶ谷1丁目11番35号
吾山ビルⅡ 4階
電話:048-969-3801
(お電話の際には「ブログを見た」と言っていただけますと、
スムーズです)
◆プロフィール◆
埼玉県越谷市の弁護士
中央大学法科大学院兼任教員(「生活紛争と法」「法文書作成」「民事模擬裁判」担当)
JADP認定夫婦カウンセラー
離婚問題、不貞問題についての相談を多くいただいております。
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