昨年の夏、友人といつもの太陽カレーでランチを食べた。友人は「カレーの後のコーヒーは旨いぞ」と言ったから、つられてコーヒーを飲んだ。なるほどイケル。
それまでは、胃弱だから「コーヒーは胃に悪い」と思い込んでいて極力避けていた。そのときは、「コーヒーは皮膚ガンの予防効果がある」という近日のニュースを知っていたので試してみたかったこともあった。それからコーヒーを飲む習慣になった。
問題はその後に毎月渡航することになったフィリピンだ。食べ物はあきらめていたけれど、コーヒーのことは考えていなかった。コーヒーはことのほか繊細な飲み物で、習慣化すると普段飲んでいるコーヒーとの多少の味の違いがはっきりと判るのだ。
太陽カレーさんのコーヒーはコクが深く、スターバックのコーヒーでは物足りない感じがしてハズレくじを引いたようだ。フィリピンへ渡航した当初は借りているアパートの近くにあるホテルのコーヒーだけを何も考えず飲んでいた。
フィリピンへ行けば毎朝散歩に出かける。一日のなかで運動するのはこれだけだから30分以上は歩くことにしている。市街の中心にグリーンベルトという飲食店が多く出店している商業施設があり、ここは散歩コースのひとつだ。そこに、The Coffee Been & Tea Leafという米国本社のコーヒーチェーン店がある。
ある日、そのコーヒー店に早朝から米国人らしき人間がポツリポツリ入店してコーヒーを飲んでいることを発見した。「これはひょっとしたら」と思い、勇気を出してそこでコーヒーを飲んでみたら、これならイケル味だった。神は我を見捨てなかった。
アパートからグリーンベルトまではかなりの距離があり毎朝散歩に出かけるワケにもいかない。コーヒービーンはチェーン店だからもう少し近場にないかと調べたら、ちょうどいい距離にあった。おお、神に感謝しながらそこでコーヒーを飲んだ。
ところが
「全く味が違う、とても飲めるシロモノではない」
神様どころか地獄へ落ちた気分だった。
しかしながら、そこはフィリピン。チェーン店だから同じ味と考えたほうが間違いだった。大いに反省し、こだわりをなくして謙虚な生活を心掛けることが肝要だ。
それから、グリーンベルトにはハバナカフェっていう地元の有名店がある。現地在住、アジアの格闘王Jetさんのブログで、そのお店は、まったく別のコーヒーの楽しみ方があることを知った。多分に18禁で方向性を誤りそうだから、詳細は割愛。
フィリピンはコーヒー1杯も一筋縄では行かない想像を絶する国だった。