ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

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モーガン・ウォレン Morgan Wallen がルーク・ブライアンのコンサートにゲスト出演~そして、アメリカ黒人差別の起源のこと

2021-08-05 | Morgan Wallen モーガン・ウォレン レビューまとめ

★モーガン・ウォレンの新曲"Don’t Think Jesus"がリリースされました★

 

今年1月のリリース以降、今もビルボード200でトップ10内にランクインし続けている「Dangerous:The Double Album」が衝撃のチャート・デビューを果たした直後、本人のNワード発言ビデオが公表され、活動謹慎に追い込まれてしまったモーガン・ウォレン。その彼が、7月30日のルーク・ブライアンのコンサート(ナッシュビルのブリジストン・アリーナ)にゲスト出演し聴衆を沸かせたようです。

 

この日ルークは、ゲストとしてジェイソン・アルディーンフロリダ・ジョージア・ラインのタイラー・ハバードらをゲストに迎えており、このカントリー界の超大物3人がモーガンを迎えました。この様子はYoutubeにもビデオが投稿されています。アコギの弾き語りで"More Than My Hometown"と"Whiskey Glasses"の2曲を演奏したようで、聴衆の大合唱からはモーガンが待ち望まれている事がうかがい知れます。

 

 

モーガンは5月にも、ナッシュビルにあるキッド・ロックのバーで演奏してた事も報道されています。7月には、ABCネットの「グッド・モーニング・アメリカ」に出演し、インタビューに答えています。そこで、Nワードを頻繁に使っていない事、差別的な意図はなかった、と弁明し、Nワードを発した状況については、゛その時僕の周りに多くの友達が居て、くだらない事をしゃべっていたんだ。僕たちはふざけていたんだよ。それは無知の現れの様に聴こえるし、それに由来しているんだ゛

 

謹慎中は、ブラック・ミュージック・アクション連合(BMAC)のメンバーや、ゴスペル・シンガーのBeBe Winansらと話し合い、アルバムの売り上げから50万ドルをBMACや関連団体に寄付しています。ABC局のインタビューでは、カントリー・ミュージックに人権問題があると彼が信じるかを問われ、゛僕は本当にそういう話に触れた事がなくて、考えた事もないんだよ゛と答えたそうです。

 

 

ジョーン・C・ウィリアムス氏が「アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々」で述べるところによると、現代につながる醜い人種差別的思考は、南北戦争後に南部のエリートが自分たちの地位を守るために、新たに解放された黒人に対抗させようとして、下層白人に「おまえたちは黒人ではない」という尊厳だけを与えて彼らに低賃金契約を受け入れさせたことで生まれたのであり、それが現代も尾を引いていると云います。そしてエリート白人層は人種差別の責任を別の階級の白人に転訛する事で安心しており、そうして下層白人層を差別するエリート白人層は、人種差別に反対する事で進歩的である事を見せようとしている、という意見も本国で有る事は心に留めておくべきと思います。なお、ここでいう下層白人層(或いは中間労働者層)とは、白人至上主義者とは関係なく混同すべきでない、との事です。

 

その黒人層から生まれたのがブルースで、下層白人層から生まれたのがカントリーと言えるのですから、そもそも黒人層とカントリーは遠くなりがちなのが理解できます。しかし、カントリー業界やアーティスト自体に人種差別があるとは思えず、カントリー・ミュージックの生みの親の一つ、カーター・ファミリーのギター・スタイルは黒人ミュージシャンから教わった伝説が語られますし、チャーリー・プライドという黒人のレジェント(アワード・ショーのホストも務めた)もいます。昔のソウル・ミュージックの時代でも、黒人アーティストがナッシュビルでカントリー・ミュージシャンと録音する事もありました。コーラスを黒人シンガーが務める事はしょっちゅうです。ただ、一部のファンにそういう差別主義を強烈にする人がいて、そのクレーム対応みたいなことで配慮する事があるのかしらと、あくまで個人的な憶測にすぎないのですが、感じています。複雑で難しい問題と思っています。



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