●2010年You Get What You Giveのレビューはコチラで●
何者だ、Zac Brown。
ビルボードのカントリー・シングル・チャートで、シンプルなシャッフル・ビートと媚びのない本物感溢れるサウンドを持つ"Chekin Fried"が、あれよあれよという間に1位に躍り出たZac Brown Band。誰それ?ってくらい、その名に馴染みのなかった彼らのサード・アルバム「The Foundation」からのリード・シングルなのですが、このアルバム、聴いて引っくり返りそうになりました!Zac Brownによる乾いた音色で時にアンティークな響きも感じさせる、超絶テクニックの早弾きアコースティック・ギターを中心とした、南部ミュージックのごった煮サウンド。つまり、カントリー・ミュージック~ブルーグラスを基軸としてメキシコ、テキサス、カリブ海、さらにファンク・ビートも取り込んだ多様性が、確かな演奏テクニックによってガッチリとまとまっているのです。そして、Zac Brownの良く伸びるアーシーなテナー・ボーカルと、ソングライティング(殆どがZacのオリジナル)の上手さにも脱帽。一見パットしないフツー(失礼)そうな連中がヒットを飛ばしてしまうなんて、ホントに痛快です。ZBBの音楽って、かつてのロック・バンド、リトル・フィートあたりを、よりカントリーにシフトしたってとこかな。あるいは、ボブ・ウィリス&テキサス・プレイボーズの現代版か・・・
右から二人目がZac Brown
Zac Brownはジョージア州Dahlonegaの出身。元々はレストランのオーナーで、自家製のソースと味の良い南部料理で地域では知られた存在でした。そして、数年間、その得意のギターとポップ音楽に関する百科事典のような知識を武器に音楽活動をした後、4年前に凄腕ミュージシャンを集めZac Brown Bandを結成。サポート・アクトとして、Sugarland, Travis Tritt, Willie Nelson(カントリー)、ZZ Top, Lynyrd Skynyrd, The Allman Brothers Band(ロック)、BB King, Etta James(リズム&ブルース)などとツアーを共にして、ジワジワとその存在をアピールしていったのです。Zac Brownは言います。「僕たちの事を全然知らない観客の前で演奏して、そして終る頃には皆が僕たちの歌を歌ってくれてるなんて、ほんとにクレイジーだよね」その観客は、忠実なカントリーファンからジャム・セッション好きまで様々で、彼らのサウンドと同様、安易なカテゴライズは不可能。そのくらい彼らの演奏には、多くの音楽ファンを魅了してしまう魅力とパワーに溢れているのです。年間200回、そしてバンド結成以来3000回のライブをこなしてきた実績が、何よりもそれを物語ります。
オープニングは心地良い浜辺の風景も感じるメキシカンな"Toes"。"What Ever It Is"はストレート・カントリー・スタイルのミディアム曲、そしてお次の"Where The Boat Leaves From"はというと、ファンキーで締まったリズムとカリブ海のマッタリしたノリがドッキングした快調なナンバーに。途中3拍子のリズムを挿入させる小技も粋なアイデアです。"Mary"はパワー・ブルーグラス、ハイスピードなフラット・ピッキング・テクニックが冴え渡ってます。どの曲も、Zacが実に気持ち良さそうに歌っている。"It's Not OK"はアップテンポのウェスタン・スィングって感じかな。ただただノリが良いだけでなく、スロー・ナンバーもジックリ聴かせてくれて、"Free"や、ギターのアルペジオが美しい"Highway 20 Ride"など、ホロリと来ますヨ。Zacの歌声の温かさが際立ちますね。ラストの"Sic'em on a Chiken"は、ブレイクでクイーンのブライアン・メイのようなギターが飛び出してチャーリー・ダニエルズ調に転換する、思わず笑っちゃうノベルティ・チューンです。なお"Jolene"は、ドリー・パートンの名曲とは同名異曲。
Zac Brownは音楽活動だけでなく、自身によるチャリティ基金を起こし、子供達の為のキャンプを運営しているそうです。彼はこれをライフ・ワークと考えています。「僕は自分の持っているものにとても喜びを感じているんだ。~僕がいなくなってからも、何か役に立つものを後世に残したいんだよ」エライ!
●Zac Brown BandのMySpaceサイトはコチラ●
最新の画像[もっと見る]
- ケイシー・マスグレイヴス Kacey Musgraves - Deeper Well 10ヶ月前
- ギャビー・バレット Gabby Barrett - Chapter & Verse 11ヶ月前
- タイラー・チルダース Tyler Childers - Rustin' in the Rain 1年前
- 2023年 第57 CMA アワード -CMA Awards- 受賞者発表❣ 1年前
- ナンシー・グリフィス・トリビュート - More Than a Whisper – Celebrating the Music of Nanci Griffith 1年前
- 2023年 第57 CMA アワード -CMA Awards- ノミネート発表 1年前
- ブレット・ヤング Brett Young - Across The Sheets 1年前
- エル・キング Elle King - Come Get Your Wife 1年前
- エル・キング Elle King - Come Get Your Wife 1年前
- メーガン・モロニー Megan Moroney - Lucky ~ "Tennesee Orange"がヒット中の新星 2年前
いいですね。これはライブが見てみたいです。
まだカントリー初心者ですが、最近その面白さに完全にハマってます。
日々アメリカポピュラー音楽の奥の深さ、層の厚さに圧倒されてます。
彼らのようなバンドが売れるのもおもしろい。
勉強させてもらいます。
torldorさんお好みには、ズバリの音ですね。メディアでキッチリ紹介すれば、アメリカン・ロック・ファンやカントリー・ロック/ファンの方々あたりにも気に入る人は結構いると思いますよ。ソウル愛好家にも受けたりして。
ま、偶然かもしれませんしね!
今年のナッシュビルのCMAファンフェアを見に行くので、出演するアーティストをチェックしていたらこのZBBを知りました。
http://www.cmafest.com/2009/
曲を試聴してとても気に入りました。絶対見てくるゾ!
ZBBの記事には今でもコンスタントにアクセスを頂いており、彼らのサウンドへの関心の高さを痛感しています。
ファンフェアは10年前に一度行ったきりです。当時とはかなりメンツが変わっている一方、いまも変わらず活躍を続けベテランになっているアーティストも少なくないです。ライブだけでなく、特設ブースでは間近でアーティストに触れ合える、おおらかな南部ならではの素敵なイベントですよね。是非楽しんできてください。