このブロブも、平成の2007年に始めて、途中中断も有りましたが、新た
な令和の時代を迎える事が出来ました。これからも、一般には情報は得に
くいですが、アメリカン・ミュージックの世界では大きな位置を占めるカ
ントリー・ミュージックの情報を、引き続きご紹介できれば、と思います。
実に"ストレート"なタイトルと、それを忠実に表現した作品集となった、
ジョージ・ストレイト、30作目のスタジオ・オリジナル・アルバム
です。そして、一番最初に目に飛び込んでくる、ジャケットの朽ちかか
ってるかのように見える建物。これ、ど真ん中で存在感を放ってる看板
にあるとおり、”Broken Spoke”という、テキサス州オースチンにある、
ジョージが”世界一お気に入りのホンキー・トンクだ”と賞賛した有名な
ホンキー・トンク・バーなのです。アルバム・コンセプトを表現するの
にこれ以上の舞台はないでしょう。なお、テキサス州旗の下のゴルフの
グリーンみたいな処は、本来はコカ・コーラのマークが掲示されてます。
さすがに、これは隠さないと。。。
音楽的には、基本はいつも通りの、ウェスタン・スウィングのエッセン
スを取り込んだホンキ・トンク~ストレート・カントリー・スタイルで
すが、ホンキー・トンク・バーでのライブの雰囲気をイメージしてか、
装飾音が少なめで実にスッキリしたサウンドに聴こえます。注目は、ソ
ングライティングで13曲中7曲がジョージ自身の単独作である事。さ
らに3曲が息子Bubbaの作品という"身内"によるもので、ジョージ自身
が今、本当にやりたい音楽を創ってみました、って感じが良いですね。
リード・シングルにもなったオープニングの"Every Little Honky Tonk
Bar"は、これぞカントリー!と言いたいミディアムのシャッフル・ナン
バー。続く”Two More Wishes"で盟友Jim Lauderdaleの作品もしっか
り入っています。”神とカントリー・ミュージックは、決して変わらず、
あなたが必要な時にそこに居てくれる”と歌われる"God And Country
Music"では、孫のハーヴェイ・ストレイトをフィーチャ。名曲感たっ
ぷりです。"Codigo"はメキシコのテキーラ・ブランドの事のようで、
メキシカンな雰囲気が楽しいです。"The Weight Of The Badge"は市
民の安全の為に一生を捧げた警官への賛辞を歌う重めのスロー。そし
てラスト"Sing One With Willie"は、タイトルそのまま。ウィリー・
ネルソンとジョージの豪華デュエットによるカントリー・バラードで
締めくくられます。
このシンプルな作品集が、ビルボード・カントリーで初登場1位、Top
200でも同4位という成績を収めるのは、ジョージ・ストレイトの
衰えない人気の凄さの賜物だ、となるのでしょうが、それだけでない
意味も有るように思います。それは、カントリー・ミュージックの"自
己調整機能"です。世の移ろいやトレンドの流れで音楽スタイルは変化
していくものですが、EDMもどきのヒット曲が溢れる中でも、こんな
トラディショナルなストレート・カントリーを歌う人が常にいて、多
くの聴衆に支持され、決して消える事がないのです。本当にシンプルで、
目新しさは少ないのですが、現代にあって非常に印象的なアルバムだ
と感じます。それに、ジャケットにジョージの姿が載らない事も、とて
も画期的な事件だと言えるでしょう。
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