ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

マルティナ・マクブライド(Martina McBride)  Waking Up Laughing

2007-09-15 | Martina McBride マルティナ・マクブライド レビューまとめ

 私の大好きな女性シンガー、Martina McBrideの2007年の作品です。前作がカントリークラシックのカバー集という企画ものだったので、オリジナル曲の新作としては「Martina」以来4年ぶりです。今回のトピックとしては、彼女自身が作曲にかかわった曲が3曲ほど入っている事です。そのうちの1曲がシングルカットの"Anyway"。彼女自身は作曲には乗り気でなかったのですが、ツアーで前座をやっていたウォーレン・ブラザーズ(Warren Brothers)がこの曲のコーラス部分だけを持ってきて彼女に共作を依頼し、完成したそうです。マルティナらしいドラマッチックなすばらしいバラードです。アルバム全体としても、いつもながら佳曲が並んでおり、じっくり楽しめます。オープニングからギターがかっこよく、ちょっとソリッドでルーツ回帰的なサウンドだと感じます。その”If I had your name"のエンディングでは、ビートルズの"I'm only sleeping"のようなギター逆回転音が少し聞かれ、ハッとしました。また、中盤、一瞬ですがボーカルにリバーブがかかるところは"Eleanor Rigby"みたい。オフィシャルHPからのメール・マガジンでは、「ストリングスのアレンジがビートルズ的で、コンソールにいる連中はFab Fourが大好きなはずだ」と熱く語られていました。もちろん、きれいなバラードや、オーソドックスなカントリー曲もあります。現在、これまたMartinaが作曲に絡んだ"How I Feel"がヒット中。カッチリ引き締まったギター・サウンドが基調のミディアム曲。私的には、Leslie Satcher作のミディアム"For These Times"がお気に入り。コーラスが特に好きです。

 Martinaの旦那JohnがBBSに出したコメントを元に他のお勧め曲を紹介しますと・・・美しいバラード"Trying To Find A Reason"では、Keith Urbanがハーモニー・ボーカルとギター・ソロで参加、アルバムのハイライトになっています。JohnはKeithの奥さんNicole Kidmanと電話で話したらしく、彼女もこの曲が気に入ってると言ってたそう。他では、"Love Land"がJohnのお気に入り。理由は、歌詞が詩的だから。ライターはRachel TibideauとTom Douglas。Rachelは小品"I'll Still Be Me"も共作しており、Marinaのソフトなボーカルが堪能できます。Tom Douglasは過去"Love's The Only House"や"God's Will"を提供しており、Martinaお気に入りのソングライターといったところ。

 このマルティナ、いまやカントリー界のトップに君臨していてわが国でもファンが増えていますが、以前は日本の生粋(?)のカントリーファンの方々にはあまり取り上げられなかったように記憶しています。90年代はトリーシャ・イヤーウッド(Trisa Yearwood)の方が評価が高かったですね。歌い上げ派、声量まかせはもう一つ好きでない、という声も聞いた事があります。私は、彼女は結構ソウルシンガーの影響が大きいに違いないと思っています。正式なレコーディングはされていないのですが、ライブでジョニー・ナッシュ(Johnny Nash)の”I can see clearly now"(直接には、映画「クール・ランニング」のサントラ、ジミー・クリフ盤の方をカバーしたものと思われますが)を取り上げているのを聴くと、そのフレージングはソウルのそれです。実は一度生でライブを見る機会を得たのですが、本当に安定したボーカルは圧倒的でした。

 私は以前、ソウル、とくにサザン/ディープ・ソウルに親しんでいたので、マルティナの声には頼もしさを感じたのですが、ソウル好きの方は是非一度マルティナをお聞きになっていただけたらと思います。

 ●このアルバムに続くオリジナルアルバム「Shine」のレビューはコチラ



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