現在、「Fearless フィアレス」からのセカンド・シングル"White Horses"がヒット中のテイラー・スウィフト。昨年末NHK-BSで放送されたアメリカン・ミュージック・アワードでは、その"White Horses"のパフォーマンスがフィーチャーされ、彼女の歌う姿が日本のTVでオンエアされましたね。ベンチに座ってジックリ歌ったので、CMAアワードの"Love Story"よりも落ち着いた歌声で安心(?)しました。CMT.comのアンプラグド・ライブでは、弾き語りでナイスなパフォーマンスをしていましたので、力はある人だとは思っています。
その"ラブ・ストーリー Love Story"では、印象的な8ビートのバンジョーが曲のイメージを決定付けていましたね。カントリー~ブルーグラス風の草の根感はそれほどなくて、ビデオで見られた中世ヨーロッパ的な雰囲気とマッチングするものでした。実はこのバンジョー、ロシア人が弾いているんです。カントリーでロシア人って、意外で驚きました。プレイヤーの名は、Ilya Toshinsky。Bering Straitというモスクワで結成されたグループのリーダーです。Ilyaはデビュー作「Taylor Swift」にも一部で参加。「Fearless」では、バンジョー・パートを一手に引き受けています。
Ilya Toshinsky
Bering Straitのメンバーは、Ilya Toshinsky (リードギター, バンジョー); Sasha Ostrovsky (スティール・ギター、ドブロ); Alexander Arzamastsev (ドラム); Sergei Olhovsky (ベース); Natasha Borzilova (ボーカル、ギター); and Lydia Sainikova (キーボード)の6人。モスクワでクラシック音楽を勉強していた若者達が集まり結成されました。リーダーのIlyaが初めてナッシュビルに来たのが1992年、14歳の時。Tennessee Banjo Institute主催のイベントに参加したのです。その1年後、米露の文化交流プログラムの一環で、バンドとしてオークリッジを訪れます。そして1994年、International Bluegrass Music Association(IBMA) conventionで演奏する為に再びアメリカの地を踏みます(なお、このイベントには、日本からも有能なミュージシャンの方々が多く参加しています)。この時期、ソ連の社会主義体制が崩壊したことを受けて、彼らは成功のための活動拠点としてアメリカのカントリー・フィールドを選ぶのです。2003年にUniversal Southからのセルフ・タイトルのデビュー・アルバムをリリース、カントリー・チャートでは17位まで上りました。これは、彼らの苦難の道のりを描いたドキュメンタリー「The Ballad of Bering Strait」~就業ビザの為に日々の生活費を稼ぐ為の仕事を見つけるにも苦労し、バンドのマネージャーは破産寸前まで追い込まれるほどだったそう~によるところが大きかったようです。2005年に「Pages」をリリースしています。
(※Bering Straitについて、NHK-FMのCMAアワード放送でのコメンテイター松田武久さんから情報をいただきました。彼らがカントリーに親しんだ理由は、彼らの親達が原子物理学でアメリカに留学していて、持ち帰ったCDによってカントリーに親しんだそうです。さらに、Ily Toshinskyのお兄さんが東京工業大に留学していた事があり、当時そのお兄さんから松田さんにBering Straitを日本でも売り込みたいと相談があったのだそうです。そのときは、日本では難しいよ、と丁重に断られました)
Bering Strait
彼らのサウンドは、実に素直なアコースティック・ポップ。歌声は粘り腰のない、アンニュイさも感じるそれ。時にロシア語のフォーク調の曲を織り交ぜて変化をつけています。その中で注目したいのが、セカンド「Pages」で聴ける、フリートウッド・マックのカバー"You Make Lovin' Fun"。クリスティー・マクヴィ作の名曲ですが、このAメロのバックに、Ilyaによる例の8ビートのバンジョーが聴けるのです。これぞ、ルーツ・オブ・"Love Story"サウンドってな感じです。やはりヨーロッパでクラシック音楽の基礎を持つ人だから、アメリカ人ではチョッと出せないサウンドが自然と身についているのでしょうし、そこらに目を付けられて、フレッシュなサウンドが求められるテイラーのセッションに招かれたのではないでしょうか。
売れ線の音楽って、ついつい簡単に”ポップだ”なんて片付けられるのですが、本当は多くのマジョリティの心を掴む音楽を作るのが一番難しいと思います。それは、他のどんな”商品”を開発するのと変わらない、仮説と試行錯誤と決断の賜物なのでしょう。安易に作る事も出来るのでしょうが、そういう音楽は結局それなりのものにしかならない。数十万、百万単位の人々に、「なんか新しい!楽しい!スゴイ!」と感じてお金を払ってもらえるものが何かなんて、簡単に分かるものではありません。今回のエピソードのように、あまり多くの人には知られていない新鮮なセンスを持ったミュージシャンを見つけてくるとか、いい曲にいち早くアクセスしてゲットするとか、幾つかのドラマが重なって初めて本当のメガヒットが生まれ、時代をリードしていくのでしょう。"Love Story"でのIlya Toshinskyの演奏には、そのドラマの一つが垣間見えて、興味深く感じました。
●Bering StraitのMySpaceサイトはコチラ●
その"ラブ・ストーリー Love Story"では、印象的な8ビートのバンジョーが曲のイメージを決定付けていましたね。カントリー~ブルーグラス風の草の根感はそれほどなくて、ビデオで見られた中世ヨーロッパ的な雰囲気とマッチングするものでした。実はこのバンジョー、ロシア人が弾いているんです。カントリーでロシア人って、意外で驚きました。プレイヤーの名は、Ilya Toshinsky。Bering Straitというモスクワで結成されたグループのリーダーです。Ilyaはデビュー作「Taylor Swift」にも一部で参加。「Fearless」では、バンジョー・パートを一手に引き受けています。
Ilya Toshinsky
Bering Straitのメンバーは、Ilya Toshinsky (リードギター, バンジョー); Sasha Ostrovsky (スティール・ギター、ドブロ); Alexander Arzamastsev (ドラム); Sergei Olhovsky (ベース); Natasha Borzilova (ボーカル、ギター); and Lydia Sainikova (キーボード)の6人。モスクワでクラシック音楽を勉強していた若者達が集まり結成されました。リーダーのIlyaが初めてナッシュビルに来たのが1992年、14歳の時。Tennessee Banjo Institute主催のイベントに参加したのです。その1年後、米露の文化交流プログラムの一環で、バンドとしてオークリッジを訪れます。そして1994年、International Bluegrass Music Association(IBMA) conventionで演奏する為に再びアメリカの地を踏みます(なお、このイベントには、日本からも有能なミュージシャンの方々が多く参加しています)。この時期、ソ連の社会主義体制が崩壊したことを受けて、彼らは成功のための活動拠点としてアメリカのカントリー・フィールドを選ぶのです。2003年にUniversal Southからのセルフ・タイトルのデビュー・アルバムをリリース、カントリー・チャートでは17位まで上りました。これは、彼らの苦難の道のりを描いたドキュメンタリー「The Ballad of Bering Strait」~就業ビザの為に日々の生活費を稼ぐ為の仕事を見つけるにも苦労し、バンドのマネージャーは破産寸前まで追い込まれるほどだったそう~によるところが大きかったようです。2005年に「Pages」をリリースしています。
(※Bering Straitについて、NHK-FMのCMAアワード放送でのコメンテイター松田武久さんから情報をいただきました。彼らがカントリーに親しんだ理由は、彼らの親達が原子物理学でアメリカに留学していて、持ち帰ったCDによってカントリーに親しんだそうです。さらに、Ily Toshinskyのお兄さんが東京工業大に留学していた事があり、当時そのお兄さんから松田さんにBering Straitを日本でも売り込みたいと相談があったのだそうです。そのときは、日本では難しいよ、と丁重に断られました)
Bering Strait
彼らのサウンドは、実に素直なアコースティック・ポップ。歌声は粘り腰のない、アンニュイさも感じるそれ。時にロシア語のフォーク調の曲を織り交ぜて変化をつけています。その中で注目したいのが、セカンド「Pages」で聴ける、フリートウッド・マックのカバー"You Make Lovin' Fun"。クリスティー・マクヴィ作の名曲ですが、このAメロのバックに、Ilyaによる例の8ビートのバンジョーが聴けるのです。これぞ、ルーツ・オブ・"Love Story"サウンドってな感じです。やはりヨーロッパでクラシック音楽の基礎を持つ人だから、アメリカ人ではチョッと出せないサウンドが自然と身についているのでしょうし、そこらに目を付けられて、フレッシュなサウンドが求められるテイラーのセッションに招かれたのではないでしょうか。
売れ線の音楽って、ついつい簡単に”ポップだ”なんて片付けられるのですが、本当は多くのマジョリティの心を掴む音楽を作るのが一番難しいと思います。それは、他のどんな”商品”を開発するのと変わらない、仮説と試行錯誤と決断の賜物なのでしょう。安易に作る事も出来るのでしょうが、そういう音楽は結局それなりのものにしかならない。数十万、百万単位の人々に、「なんか新しい!楽しい!スゴイ!」と感じてお金を払ってもらえるものが何かなんて、簡単に分かるものではありません。今回のエピソードのように、あまり多くの人には知られていない新鮮なセンスを持ったミュージシャンを見つけてくるとか、いい曲にいち早くアクセスしてゲットするとか、幾つかのドラマが重なって初めて本当のメガヒットが生まれ、時代をリードしていくのでしょう。"Love Story"でのIlya Toshinskyの演奏には、そのドラマの一つが垣間見えて、興味深く感じました。
●Bering StraitのMySpaceサイトはコチラ●
再放送の予定はありますか?
うちBS見れないけど。
bigbirdさんの情報量の多さと感性や表現力にはいつも感心しています。
love storyのバンジョーの音色は本当に心地よくて私も気に入ってます。
バンジョーがいきているせいか、アルバム中の他の楽曲とは雰囲気が違う感じも好きです。
http://jp.youtube.com/watch?v=Sf4AqzueZxU&feature=related
bigbird307さん、"You Make Lovin' Fun"、聴いてみたいです。
こちらはアメリカの生放送番組「Good morning America 」に出演したときの映像です。アメリカでの人気ぶり、アイドルぶりが伝わって来ます。
http://jp.youtube.com/watch?v=o8lt-DKzip8
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=1906285&GOODS_SORT_CD=101
Bering Straitについて、NHK-FMのCMAアワード放送でのコメンテイター松田武久さんから情報をいただきました。
グループメンバーの親達が原子物理学でアメリカに留学していて、持ち帰ったCDでカントリーに親しんだそうです。さらに、Ily Toshinskyのお兄さんが東京工業大に留学しており、そのお兄さんから松田さんにBering Straitを日本でも売り込みたいと相談があったのだそうです。そのときは、日本では難しいよ、との話しをされたそうです。
Bering Straitの情報もありがとうございます。アマゾンで頼めるみたいなので、近いうちに注文するつもりです。
4月22日、メモしました!!!
来日希望!
でもツアーが始まるみたいですね…来れるかな…
http://www.amazon.co.uk/Fearless-Taylor-Swift/dp/B001O3XKLI/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=music&qid=1234181976&sr=8-1