ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Doc Walker ドック・ウォーカー - Go

2010-01-30 | カントリー(男性)
 まもなくバンクーバー冬季オリンピックが開催されるカナダの、素晴らしい3人組カントリー・グループ、ドック・ウォーカーを紹介します。そう、カナダにもカントリー・フィールドがあるわけで、CCMA(Canadian Country Music Association) Awardsというアワードもちゃんとあります。カナダ出身でアメリカでも活躍している近年のアーティストとしては、エマーソン・ドライブEmerson Drive、テリ・クラークTerri Clark、カントリーゴールド2000に来日したウィルキンソンズWilkinsons(私、見ました)、そして言わずもがなのシャナイア・トゥエインがいますね。かつてのアメリカン・ロックの名グループ、ザ・バンドもレヴォン・ヘルムを除いては皆カナダ人だったから、カナダのアーティストが侮れない事は良く知れれている事。ドック・ウォーカーは90年代後半に活動を開始、2003年の「Everyone Aboard」でようやくカナダでのスターダムを獲得、上記のCCMAアワードでも2008年、2009年と2年連続でグループ賞に輝くという人気絶頂の人たちなのです。その音楽は、ウェストコースト・ロック・サウンドの流れを汲んだ、とにもかくにも親しみやすいオーガニックなアンサンブルとメロディが魅力。男くさい骨太なルックスに似合わず(!?)、なかなかにスマートなカントリー・サウンドを聴かせてくれます。

                    
                           Murray Pulver   Chris Thorsteinson    Dave Wasyliw

 リードシングルの“Coming Home”は、まるでイーグルスのような厚く爽快なハーモニーがフィーチャーされたミディアムの逸品。リード・シンガーChris Thorsteinsonの歌心溢れるバリトン・ボイスも聴きものです。そして、CCMAアワードのAll Star Band賞(ベスト・ナインみたいなの)を、こちらも2年連続で受賞しているギタリストMurray Pulverによるテーマ・フレーズが曲にドラマティックなアクセントを付加しているのです。"From Here"は穏やかでオーソドックスなアコースティック基調のカントリー・ナンバー。バンジョーやペダル・スティール、アコーディオンが控えめにグループの気持ち良いハーモニーをサポートするミディアム曲です。同様にシンプルな"I'm Gonna Make You Love Me"の方は軽快なテンポで和ませてくれます。ここら辺の心地よさって、確かにアメリカ本国のカントリーでは味わえない、オーガニックな魅力に溢れています。私がハマッたのが、セカンド・シングル曲"If I Fall"。彼ららしいハーモニーと哀愁を感じさせるメロディが極上のバランスでミックスした、ミディアムのカントリー・ロック・チューンです。Chris Thorsteinsonと、ランディ・マイズナーを想起させるハイ・トーン・ボイスの持ち主Dave Wasyliw でリード・ボーカルを交換し、変化を付けているところがナイス。後半で聞かれるハーモニーの展開には引き込まれますね。

                    

 “Girls In Their Summer Clothes”は、ブルース・スプリングスティーンのカバー。バンド・メンバーがソングライティングに関わっていない2曲のうちの1曲です。コーラスの響きが美しく、すっかりドック・ウォーカーのナンバーになってます。”ボス”の影響を明言している(歌詞に取り上げている)カントリー・アーティストとしてロドニー・アトキンスがいますが、他にはあまり見受けられませんね。でも、結構ボスが歌ってきたテーマって、現代のカントリー・ミュージックのカバーするテリトリーにマッチしているように思います。本国のメディアでも言われていますけれど、現代カントリーのルーツとしてイーグルスばかりがとかく取り上げられますが、ブルース・スプリングスティーンへのリスペクトがもっとあっても良いと思います。




 ドック・ウォーカーは、まだまだアメリカでの認知度は低いよう。しかし、バンクーバー・オリンピックがらみの音楽イベントにも当然出演するようで、もしかしたらTVでライブを目にする機会があるかも・・・・チョッピリ懐かしさも感じさせる彼らの音楽、知らないのは損だと思いますよ。

 ●ドック・ウォーカーのMySpaceサイトはコチラ


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
注目のグループ! (TravelinSoldier)
2010-04-26 20:45:56
素晴らしいグループをご紹介頂いてありがとうございます。
アルバムジャケットに惹かれたのでAmazonやYoutubeなどで彼らの音楽を試聴をしてみましたが、いいですね!!
アコースティックを全面に押し出したサウンド、リードボーカルのザラザラしていない透き通ったボーカルに絡む絶妙なコーラスなど、すごく私の好みです。
コーラスワークは私が大好きなDixie Chicksを彷彿していて、メロディーも押さえ気味なテンションながらも正統派なカントリーなので、凄く耳障りがいいです。

カナダ出身のカントリー歌手は、あの有名なShania Twainに加え、最近ではデビューしたての新人男性ソロ、Dean Brodyの作品が気に入っていたので結構注目していたんですが、このDoc Walkerは本当に注目株ですね。
男性トリオは、米国で既に大スターになっているRascal Flattsのみ聴いていましたが、サウンドもボーカルもこのDoc Walkerの方が好きですね。

ご紹介頂いたこの「Go」に加え、「Beautiful Life」やセルフタイトルアルバムなど、過去の作品も試聴してみましたが、今のところはずれはないです。

カナダでイシューされたCDなので米国のものより高額になるのがちょっと痛いですが、彼らの最近三作品はとりあえず買おうと既に検討しています。。。
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