●最新作「Time, Tequila, & Therapy」を取り上げました
2018年のCMAアワードで遂にグループ賞を獲得し、今やカント
リー・グループのトップを行く存在となったオールド・ドミニ
オン。その地位を確立した2017年のセカンド・アルバムです。
ココ10年近くは、レディ・アンテベラム、ザック・ブラウン・
バンドそしてリトル・ビッグ・タウンが固めていた牙城を、こ
のユニークな肌触りを持つグループが崩したのです。そして!
待望の3枚目が今年10月25日にリリースされる事も決定して
います。
メンバー5名中、4名がバージニア州出身なので、州の通称である
”Old Dominion”をバンド名にしたよう。なかなかアーシーなバ
リトン・ボイスにも関わらず軽快でポップ味のある歌唱を聴かせる
Matthew Ramseyが、デトロイト出身のTrevor Rosenと2003
年にナッシュビルで出会った事が核となり、2012年に現在の
メンバーが揃いました。バンド活動をしながら、メンバーはそれ
ぞれヒット曲を著名なアーティストに提供していきます。例えば、
●Matthew Ramsey
バンド・ペリー "Chainsaw"
●Brad Tursi
ルーク・ブライアン "Light It Up"
ランディ・ハウザー ”Whiskeysippi"
●Trevor Rosen
ケルシー・バレリーニ "I Hate Love Songs"
ブレイク・シェルトン "I Really Shouldn't Drink Around You"
クリス・ヤング "Neon"
バンド・ペリー "Better Dig Two"
●Ramsey & Rosen
ダークス・ベントリー "Say You Do"
と、これだけでも、いかに優れたソングライター達かが分かり
ます。
と裏方活動で成果を上げていた彼らでしたが、ケイシー・マス
グレイヴスのプロデューサーShane McAnallyと組んで製作し
たシングル"Break Up with Him"が注目を浴び、2015年に入
りビルボードのカントリー・エアプレイで1位(シングルで3位)
となった事が快進撃の始まりでした。その年にリリースされた
デビュー・アルバム「Meat and Candy」はカントリ・アルバ
ム3位となり、"Snapback"や"Song for Another Time"のシ
ングルを立て続けにトップ5に送んだのです。
そして、このセカンド・アルバムは、更に勢いを増し、カントリー・ア
ルバムで堂々1位。サンプリング・ビートとメランコリックな
マンドリンのミックスが新鮮な"No Such Thing as a Broken
Heart"、クールなメロウ曲"Written in the Sand"、切れのある
ギター・カッティングが小気味よい"Hotel Key"らがシングルで
いずれもトップ5まで達しています。
カントリー・バンドのサウンドというと、かつてのアメリカン・
ロックの王道、ウェストコースト・サウンドか、或いはサザン・
ロックのスタイルを下敷きに、そこに艶やかなギター・サウンド
でポップさを引き立てる、というのが定石だったと思います。
しかし、このオールド・ドミニオンの音はそう言うのとは一味違
い、ダウンホームだのアーシ―さだのルーツなどをあまり感じさ
せない、なんとなく軽妙洒脱で緻密なサウンドを展開しているの
です。むしろ、ニュー・ウェーブからアダルト・コンテンポラリ
ーなポップを思わせるサウンド。そして、そこに乗る、Matthew
Ramseyのクールで軽やかなバリトンが実にその雰囲気にマッチ
しているのです。
既にニューアルバムからのシングルも、“Make It Sweet”、“One
Man Band”とヒットしており、期待が膨らみますね。
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