ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

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Maren Morris マレン・モリス - Girl 

2019-03-17 | Maren Morris マレン・モリス レビューまとめ

2016年のメジャー・デビュー・アルバム「Hero」とデビュー・シングル
"My Church"で鮮烈にカントリー界に登場したマレン・モリス。その当時
 のことは、最近アップしたインタビュー記事でご紹介しましたが、待ち
に待ったセカンドのリリースです。やはりこの3年いろんなコラボでの
交流がありましたが、やはり大きかったのが、昨年2018年、エレクトロ・
ポップのZeddと組んだ"The Middle"だったでしょう。 その成功を見れば、
この曲で彼女の虜になったオーディエンスに向けた作風にするのは、当
然の事だろうと思います。



リード・シングルの"Girl"は、印象的なギター・リフで重厚なビートを
刻み、ここらは「Hero」を想起させる部分も有りますが、全体としては
華やかにあか抜けて、シンセサイザーやプログラミングの現代的なサウ
ンド、ダンス・ビートが幅を利かせます。これは、前作のBusbeeに加え
て、アデルやベックとのコラボで知られるGreg Kurstinがプロデュース
に参加した効果でしょう。マレンの歌声には艶やかな甘さやR&B的な柔軟
さがあり、アップ・テンポでは溌剌とした歌を聴かせてくれます。そん
な中で流れるようなミディアムの"A Song for Everyone"での和みのマレ
ンが個人的には収穫と云えるお気に入り曲です。



ここでの彼女自身の歌唱、「Hero」の頃に対してスタイルを調整した
ように思います。"The Middle"からそうでしたが、声のピッチを上げ
ているのです。これによって、ソウルフルな力強さ、滑らかさやふくよ
かな甘さが出ていると感じます。その一方で、「Hero」の作品、その筆
頭が"My Church"ですが、当時のピッチの歌唱で感じられた深い陰影や
”啓示的”と云いたい奥行き有る響きが聴かれなくなっています。"My
Church"を初めて聴いたとき、その冒頭から深み有る一撃で引き込まれ
た記憶がありますね。

 これで思い出されるのが、レディ・アンテベラムのボーカル、チャール
 ズ・ケリーの話
。彼はしわ枯れ声で、元々高めのピッチで歌ってい
たらしいのですが、ヒラリー・スコットと出会い、彼女とのハーモニー
の為に歌う声を低くした結果、レディAの魅力となる気骨ある歌声を発
見したと語っていました。となると、マレンはピッチを高くして、カン
トリーから離れてしまおうとしてるのか。。。



このクロスオーバーへの志向を感じさせるアルバムの中で、ダウン・ホ
 ームの王道と云えるブラザーズ・オズボーンと"All My Favorite
People"で共演しているのは見過ごせません。このトゥワンギー以外の何
物でもないギターがフィーチャされた、ライブ感溢れるプレイでは、カ
ントリー・ガールならではの魂を聴かせてくれます。ジョン・オズボーン
のギターとマレンの掛け合いも飛び出してカッコイイ!サザン・ロックだ。
この曲を含む前半にはブランディ・カーライルをフィーチャした目玉曲
"Common"も有りますね。とにもかくにも、このバラエティに富んだ意欲作
と云えるアルバムがどう彼女をグレードアップさせるのか、興味深く見守
りたいです。



 
 


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