Carly Pearce カーリー・ピアース - Every Little Thing

●セルフタイトルのセカンドのレビューをアップしました。

 

2017年、このアルバムでデビューした、男性優位な現在のカントリー
シーンにおいては貴重ともいえる女性アーティスト、カーリー・ピ
アーズ。1990年生まれのまだ28歳。最近カントリー・チャートに名を
連ねているのは多くがマッチョな男性陣。対して、このカーリーは若々

しく、ルックス的にも親しみが湧く女性で、紹介しやすい感じがします。

まず、アルバムのタイトルトラック"Every Little Thing"、切々と
思いを込めて歌うこの印象的なバラードがヒット。シングルとしてゴ
ールドレコードとなる売り上げを達成し、これは２０１５年以降の女
性カントリー・シンガーで最高、そして過去１２年にさかのぼっても
女性アーティストでは３人しかモノにしていない快挙でした。



歌声はキレというよりスモーキーで粘り有るフレージングが特徴的
だなと思ったのですが、御多分に漏れず１１歳の頃から歌ってきたブ
ルーグラスがベースの人のようです。歌手としての夢を実現するため、
１６歳でケンタッキーの高校を辞め、ドリー・パートンのテーマパー
ク、ドリーウッドのレギュラー・シンガーとして仕事を始めます。
しかし、やはり自作曲を歌いたいとの思いから、１９歳でナッシュ
ビルに移動。2016年に ジョシュ・アボットJosh Abbottとのデュエ
ット曲が小ヒットとなる幸運が訪れ、にわかに注目を浴びる事に。
そして、このアルバムのプロデューサとなる Busbeeを紹介され意気
投合、自作曲を製作していきます。その中で生まれた"Every Little
Thing"が、かつてテイラー・スウィフトを世に送り出したBig Machine
の目に留まり、レコーディング契約へと漕ぎつけたのです。



"Every Little Thing"を始めとするバラードの抒情性の一方で、セカ
ンド・シングルになった"Hide the Wine"や、"Catch Fire"のような、
グルーヴィーなミディアム曲も彼女の魅力。結構、ソウルっぽかっ
たりする歌唱共々、一般の音楽ファンからすると、カントリー？って
なりそうな曲想ですが、メロディーのアーシ―な感じなどお気に入り
でカントリー的かな。

"Every Little Thing"もそうですが、カーリーはアルバム１３曲中８
曲でソングライターとしてクレジットされています。”私はストーリ
ーテラーなの。これまで経験してきた私の物語や物事をみんなに伝え
ているのよ”と語る彼女。”もしライブに来てくれたら、私がナッシ
ュビルに滞在してBluebird CafeやThe Listening Cafeでプレイしな
がら８年間過ごした事を必ず感じ取ってもらえると思うわ”

艶やかな華や、確固たる個性はまだ確立していない感じですが、佳曲
が結構そろっていて、女性ボーカル好きの方は一度お試しされたら
と思います。